最近、綾はすごく口が達者になった。きっと明里とばっかり一緒にいるからだ。人をやり込めるようなことばっかり覚えてる。明里は、海斗が自分をにらみつけて、中指を立てているのに気づいた。湊と凪が話しているすきに、明里はさっと海斗の手をつかむと、その中指を彼の口にぐいっと押し込んだ。「おえっ!」海斗は指を引っ込めるのが間に合わず、中指がのどを突いてしまった。えずいて、目に涙を浮かべていた。「次やったら、その指、剣で切り落とすからね」凪は海斗をぐっと抱き寄せると、怒ったように言った。「なんてことするのよ、子供相手に!」「しつけを手伝ってあげただけよ。お礼は要らないわ。『親が親なら子も子』って言うもんね。親がこれじゃあ、子供もかわいそう」明里はちっちっと舌を鳴らしながら、同情するように海斗を見つめた。湊はうんざりしたように眉をひそめ、スタッフを呼んだ。「席を替えてもらえますか」人混みが嫌いだし、フェンシングにも興味はなかった。ここにきたのは凪と海斗に付き合うためだったのに、まさかこんな騒ぎになるとは思っていなかった。一行がいなくなると、明里は空気がすんだような気がして、試合に集中することにした。試合は勝ち抜き戦形式だ。勝者はステージに残り、次の挑戦者を待つ。勝ち残った回数で点数が決まるから、体力も精神力もすごく試される。前の選手たちは、最高でも3回戦までしか勝ち残れなかった。そして、ついに綾の出番がきた。白いマスクをつけているから顔は見えない。でも、明里には綾のオーダーメイドのフェンシングウェアが分かった。審判の合図とともに、5年の時を経て、綾が再び剣を構えた。鮮やかなカウンターで、相手の剣をはじき返した。でも、練習から長く離れていたせいか、綾の動きは少しぎこちなく、すぐに劣勢に立たされた。それでも綾は冷静さを失わなかった。剣さばきは相変わらずしなやかで鋭い。最後は意表をつく技で点数をひっくり返し、ステージに勝ち残った。だけど、残念ながら5回戦を勝ち抜いたところで体力が尽きてしまい、惜しくも負けてしまった。試合が終わるころには、もう夜も遅かった。司会者がステージに上がる。「それでは、上位3名の選手を発表します……」湊は眉間を押さえた。「海斗はもう寝る時間だ」海斗を抱き上げると、自分
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