ライトに照らされた金茶色の髪がきらめく。青い瞳が弦から離れて、時々綾を見つめていた。少女の恋心は梅雨の湿気のよう。憂鬱だけど、止めることはできなかった。それから、この曲は綾にとって眠りにつく前の一曲になった。別れてからは、クラシック曲もハープの音色も、聞けなくなってしまった。二人はレストランでランチを済ませ、綾は湊への手土産を買うため、ショッピングに出かけた。土地勘がない綾は、健吾に頼るしかなかった。健吾は断らなかった。「いいよ。その代わり、夜は俺と食事だ」綾は二つ返事で頷いた。ここに来てからずっと健吾と食事を共にしているのだから、今さらな条件だった。綾は資産価値のある宝飾品を買い、湊には腕時計を選んだ。明里にはデザイナーズブランドのバッグ、同僚たちにはラムウール製品をそれぞれお土産に買った。健吾はポケットに両手を突っ込み車に寄りかかりながら、綾が大小の紙袋を車に詰め込むのを眺めていた。「俺へのお土産は、ひとつもないのか?」綾は微笑んで言った。「夫のカードで買ったのよ。あなたはいらないでしょ」別にケチなわけではない。健吾にプレゼントを渡せるような、そんな立場じゃなかっただけだ。ビアンカは自分のことを良く思っていない。なのにその夫にプレゼントなんて贈ったら、何を言われても自業自得だ。健吾は鼻をこすりながら、端正な顔を不機嫌そうに歪めた。余計なことを聞いた。車で屋敷に戻ると、綾は買ってきたものを寝室へと運んだ。階下に降りると、外からゴゴゴという轟音が聞こえてきた。洋館の左手にある広場に、ヘリコプターが停まっていた。中には健吾が座っている。綾は目を丸くした。あのヘリコプターは飾り物だと思っていたからだ。健吾が綾に向かって叫んだ。「乗れ」「どこへ行くの?」綾は少し躊躇した。健吾がヘリを操縦できるなんて知らなかったからだ。万が一なにかあったら、ただの怪我では済まない。「島に食事に行くんだ。まさか約束を破る気じゃないだろうな?」「私がそんなことするわけないでしょ」綾が健吾の隣に座ると、眼下に広がる絶景に、さっきまでの不安はすっかり吹き飛んでいた。綾は親指を立ててみせた。「あなたにこんな特技があったなんて、知らなかったわ」健吾は、感情の読めない横顔で言った。「俺のこと、よく
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