二日後。オーディション用の台本が刷り上がり、新人全員に配られた。ちなみに、山口さんは役者をやることになった。最初は渋ったようだが、「新人が困ってるならしょうがない」と出ることにしたそうだ。それと、キムさんと純子さんは制作のアドバイザー、タイガーさんは衣装・メイク・小道具のアドバイザーをすることになった。 前回の稽古では言われていなかったが、ケンさんが演出のアドバイザーを買って出た。アドバイザーを頼んだ二三年が全員引き受けたので、暇になったと言っていたが、部長だけあって面倒見が良いのだろう。オーディションは五日後に行われることが決まったので、今日はこれから自主練をする。 いつものように柔軟、筋トレ、ストップモーション発声練習を終えたあと、配られた台本の読み合わせをすることになった。全員で輪になって座る。「今回の台本『玉手箱の幻影』ですが、舞台は現代です。主人公は丸橋サトミという女性で、キタムラ商事という札幌に本社がある輸入雑貨の会社で働いている事務員です。この丸橋サトミには婚約者の三上ショウという営業社員がいます。三上が札幌から東北に出張へ行くんですが、岩手での仕事を終えて宮城へ向かう電車で大事故に遭います。三上は頭を打ったんですが、混乱してその場から逃げたあとに倒れます。で、病院に運ばれて目を覚ましたら記憶を失っています。その後退院できることになったんですが、病院代が払えないのでそのまま病院の清掃員として雇われます。 一方、丸橋の方は休暇をとって三上の母と一緒に三上の出張先の岩手へ向かいます。岩手の次の出張先である宮城には現れなかったのでその足跡を追います。で、予想はしていたんですが大事故を起こした電車に乗っていたことはわかったんですが、その事故の死傷者リストには含まれていないことがわかります。というところまでで休暇が終わり、丸橋と三上の母は帰ります。 それから三年が経過して、三上の母は丸橋に婚約の解消を申し出ますが、丸橋はそれを断ります。三上と丸橋の同僚の木戸ジンイチという男が出てきて、木戸から三上はもう帰ってこないので忘れたほうがいいと言われます。丸橋の親友で同僚の城田マイは丸橋を励まし続けていましたが、それが苦しくなってきています。 三上は浦島マモルという新たな名前をつけて暮らしていました。病院の入院代は払い終えましたが、清掃員は続けています。
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