華弥子さんとの打ち合わせが終わったあとも、私はしばらく見取り図を眺めていた。最初に見たときは、ただ線が引かれているだけに見えたのに、今は違う。ここにはチューリップが咲く。こっちには古いバラを残す。大きな木の下にはベンチを置いて、その向こうには俊くんが絵を描きたくなるような場所を作る。そう考えると、紙の上にもう庭園があるような気がしてくる。「そんなに気に入ったか?」声をかけられて顔を上げると、俊くんが立っていた。「うん。見てるだけで楽しい」「まだ何もできてねえぞ」「だから楽しいんだよ。これからどうなるんだろうって」「そういうもんか」俊くんが私の隣に腰を下ろす。私は見取り図を少し俊くんの方へ寄せた。「ねえ、ここ」「ん?」「山崎さんが言ってた、あんまり整えすぎないところ」「ああ」「俊くんだったら、何が欲しい?」「俺?」「そう」俊くんは困ったように見取り図を眺めた。「急に言われてもな」「木とか、花とか」「花は分かんねえ」「じゃあ、景色」そう言うと、俊くんの目が少し変わった。見取り図の上を指で辿る。「この木は残るんだよな」「たぶん」「だったら、この辺に低い草花があればいいんじゃねえか」「どうして?」「奥まで全部見えない方が広く感じるだろ」俊くんの指が、庭園の奥へ動く。「で、ここだけ少し抜けてたら、その向こうのバラが見える」頭の中にその景色を思い浮かべてみる。「……綺麗かも」「実際に見ねえと分からねえけどな」「やっぱり俊くん、こういうの得意だね」「昔取った杵柄ってやつだろ」何でもないことのように言っているけれど、俊く
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