株主たちは一人、また一人と席を立ち、会議室から出ていこうとしていた。清臣がトップとはいえ、圧倒的多数の株主が団結して反対票を投じれば、社長の権限をもってしても覆すことはできないのだ。まさにその時、会議室の重厚なドアが押し開けられた。炎真が、落ち着き払った足取りで中へ入ってきた。「バイオニックロボットを前倒しで実用化することで生じる利益の差額は、この桐生炎真が全額補填する」彼の声は決して大きくはなかったが、まるで雷鳴のように全員の鼓膜を震わせた。「何だと?!」「炎真様、それは天文学的な数字ですよ!」「ビジネスでこれほどの大赤字を自らかぶるなんて、正気ですか……」清臣の瞳が揺れ、極めて複雑な視線を向けた。「炎真、本気で言ってるのか?」「ああ」清臣は彼を脇へ引っ張り、声を潜めて言った。「お前ってやつは……彼女のために全財産を投げ打つつもりか?そこまでする価値があるのか、なんて無茶をする奴だ」炎真の薄い唇がわずかに吊り上がり、見えないほどの微かな弧を描いた。彼は静かに言った。「あいつが俺にコーヒーを一杯奢ってくれるからな」清臣は言葉を失った。炎真は続ける。「ノクターン財閥内のカフェを貸し切ってくれ。人を払い、少し綺麗に飾り付けておいてほしい。あいつは青系が好きだからな」……一方その頃。柚希は納得がいかなかった。「私、会議室へ行って交渉してくる!もし彼らが前倒しでの実用化に同意しないなら、ノクターン財閥のチーフを辞任するわ。それに、今後の完全版の開発も降りる」「チーフ!バイオニックロボットの最大の難関はもうあなたが突破してるんですよ。残りの部分は、チーフがいなくても、他の誰かに引き継げば完成できるんです。少し時間がかかるだけで。今彼らと交渉しても勝ち目はないし、あなたのキャリアをふいにするだけですよ!」柚希にも当然分かっていた。もしノクターン財閥に来たばかりの時なら、彼女には十分な交渉材料があった。しかし今は……「でも、やらずに諦めたら、一生良心が咎めるわ」柚希は決然と外へ向かって歩き出した。その時、柊馬がドアの前に現れ、柚希の行く手を遮った。彼は複雑な眼差しで彼女を見つめ、少し躊躇ってから口を開いた。「行く必要はない。バイオニックロボットのプロジェクトは、二日後に予定通り前倒しで
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