星音の心の中で、何かが音を立てて外れた。長い間、体の奥にまとわりついていた重い泥のようなものが、どこか遠くへ沈んでいく。こんなにも心が軽くなったのは、いったいいつ以来だろう。誰もが星音を責めてきた。わがままで、身勝手で、恩知らずだから、静真を死なせたのだと。けれど、この世で最も後悔し、最も深く悲しんでいるのは、ほかならぬ星音自身だった。できることなら、自分の命と引き換えに静真を生き返らせたいとさえ、何度願ったか分からない。星音はずっとうつむいていた。誰にも、その表情を見ることはできない。麗子は莉愛へ目を向けた。こぼれ落ちそうな涙が頬に残ったままで、莉愛はひどく気まずそうにしていた。麗子は慌てて話題を変える。「莉愛は今、妊娠何か月なの?この前の健診はどうだった?順調なんでしょう?」莉愛は唇をかみ、答えなかった。安珠から何度も厳しい言葉を浴びせられ、恥ずかしさと怒りで、今すぐこの場から消えてしまいたい気分だった。代わりに歩が答えた。「昨日、妊婦健診へ行きました。NTが少し厚めだと言われたので、1週間様子を見て、もう一度検査を受ける予定です」麗子は心配そうに言った。「それは大変ね。歩、莉愛をきちんと支えてあげて」「はい、そのつもりです」それきり、食卓は静かになった。時折、安珠が星音の皿へ料理を取り分け、体を気遣う言葉をかけるだけだ。暁も星音の皿へ料理を置いた。だが星音は、安珠が取り分けたものだけを食べた。暁が置いたものは皿の端へよけ、一口も手をつけようとしない。暁は怒るより先に、あきれたような笑いを浮かべた。星音の耳元へ顔を寄せ、小声で尋ねる。「星音。俺の箸に、何か病原菌でもついてるのか?」星音は自分の器を手に取り、安珠へ言った。「おばあ様、席を替わってもらえませんか。ここ、なんだか居心地が悪いみたいです」暁は言葉を失った。誰の目にも、星音と暁が喧嘩をしていることは明らかだった。正確に言えば、星音が一方的に暁を拒絶しているのだ。宗太郎は不満そうに鼻を鳴らしたが、安珠の前では何も言えなかった。麗子が遠回しに嫌味を言う。「お義母様がせっかく戻られたのに、誰かさんの不機嫌な顔を見るための食事になってしまいましたね」星音は、もう聞き慣れていた。だが安珠は、勢いよく立ち上がっ
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