目に焼き付いているのは、あの一瞬の沈黙とページの重みだ。
僕は構図で“
仁王立ち”の説得力を高めるとき、まず余白とシルエットを重視する。背景情報を極力削ぎ落として人物を黒く際立たせると、視線が一瞬で固まる。視点を下から見上げるローアングルや、パネルをまたいで足元から頭上へと見上げさせる階段状の展開を使えば、身体の大きさと存在感が自然に伝わる。
次に線の密度と筆致を調節する。重要な輪郭には太い線、服の皺や影には緩いクロスハッチを入れて重さを演出する。反応パネルを小さく連続させることで、その立ち姿が生む“空気の変化”を読者に感じさせられる。個人的には、'ベルセルク'の強烈な陰影表現を参考に、光源を限定してドラマを作るのが好きだ。最後に、セリフを極力削り、効果音や空白で余韻を残すと、さらに印象が残ると思う。