子を失って、愛も手放した
七年付き合って、再び自分が妊娠していると気づいた時――彼氏はビップ病室で「本命」の女と一緒にいた。
ドア越しの窓から見えたのは、藤原明人(ふじはら あきと)がその女と裸で向き合い、互いしか見えていない姿。
その瞬間、スマホにメッセージが届いた。
小林佳菜(こばやし かな)の得意げな言葉は、画面から溢れんばかりだった。
「七年も経って、まだ分からないの?あんたなんて、明人さんにとって、ただの『無限の血液バッグ』でしかないのよ!」
心は奈落に突き落とされ、私は海外へ行き、先生の研究チームに参加することを決めた。
けれど――私が去ったあとで、夫である彼はこう言ったのだ。
「お前のこと、好きになった」と。