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十年目のお別れ、忘れてしまおう

十年目のお別れ、忘れてしまおう

私・姫野真紀(ひめの まき)の誕生日に、彼氏の荒木信吾(あらき しんご)がSNSで「今夜はサプライズを」と予告していた。 ところが当日の午後、目に飛び込んで来たのは、彼と女性のアシスタントが馬に二人乗りしている写真だった。 彼のシャツのボタンが外れ、晒された胸筋には真っ赤な指の痕がある。 【人生初の思い出、彼に感謝】 コメント欄は盛り上がっていた。 【あの胸筋を触れるなんて羨ましい】 【この体勢、なかなか怪しいぞ】 信吾はそのコメントにわざわざいいねまで押した。 私の心は完全に冷めきっていた。 ずっと彼は、そういうことをするのは私だけだと思っていたのに、どうやら誰でもいいらしい。 私は自ら馬を洗い、痕跡を全て消した。 そして馬場を彼に譲ると決めた。 「残りの馬は誰にあげてもいいわよ、好きに選んで」 彼が喜んでいる様子を見ながら、私は家族が決めたお見合い結婚を受けることにした。
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七年目の終わり、雪が溶けた

七年目の終わり、雪が溶けた

新婚の夜、親友の弟が、髪から滴る水を拭いながらふと私に尋ねてきた。「ちょっと大きいけど……大丈夫?」 彼のきれいに割れた腹筋に目を奪われながら、頭の中が真っ白になる。「え?な、何が……?」 私の話が聞こえなかったように、彼は真剣な顔で繰り返す。「大丈夫?」 急な展開に、自分の声まで裏返った。「ちょ、ちょっと待って!そういうの、まだこれからって言ってたでしょ?今日はさすがに急すぎるんじゃ……」 その夜、家のセンサーライトが明滅を繰り返し、夜が更けても消えることはなかった。 元夫の森崎賢吾(もりさき けんご)は家の外でうずくまり、目を腫らして泣いていたが、私は気にすることはなかった。 かつて、私が賢吾の幼なじみとの「形だけの結婚」を認めたとき、彼はそれで私たちの冷戦が終わると信じていた。 ある日、彼から電話がかかってきた。 「俺とみやびの結婚式は体裁だけ。母さんのためにやるんだ。終わったら、必ずお前とやり直す。一緒に暮らそう、約束する」 私は何も答えなかった。ただスマホの画面に表示されたカウントダウンを見つめていた――あと何日でこの家を出られるかを計算するために。 彼は気づいていない。私に黙って離婚届を提出したその瞬間から、私たちの夫婦関係はすでに終わっていたということを。
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99回目の拒絶のあとに訪れる涙

99回目の拒絶のあとに訪れる涙

鷹野家の後継ぎであり、一族のナンバーツーである夫・鷹野怜司(たかの れいじ)は、今日も私の電話を無視した。 白血病の末期を抱えた私は、ふらふらの体で家の顧問弁護士を訪れる。 「すみません、離婚の手続きをお願いします」 その十数分後、怜司と家族たちが大慌てで事務所に押しかけてきた。 怜司は、私の顔を見るなり平手打ちを食らわせた。 「咲(さき)の昇進パーティを妨害したくて、緊急連絡番号を使ったのか?お前、頭はどうかしてるんじゃないか?」 私がしっかりと握っていた診断書は、母に無理やり奪われる。 母はちらっと診断書を見て、あざけるように鼻で笑った。 「またその手?仮病で同情を引いて、みんなの気を引きたいだけでしょ。澪(みお)、あんたは小さい頃から嘘ばかりついてきたじゃない」 妹の咲は、涙を浮かべて怜司の腕にすがる。 「ごめんね、お姉ちゃん。私なんかが昇進しなければよかったんだよね……だから、もう自分や怜司さんを傷つけたりしないで」 私は唇から滲む血をそっと拭って、弁護士をまっすぐ見つめた。 「……私にはもう、家族なんていません。三日後に遺体を火葬できるよう、離婚の手続きを急いでもらえますか」
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七年目に、愛は氷河に沈む

七年目に、愛は氷河に沈む

飛行機が中東のとある都市に着陸したのは、現地時間の午後八時三十分。 背後では戦争の砲火が夜を昼のように照らし出している。私は夫の渡辺舟(わたなべ しゅう)にメッセージを送った。 【着いたよ。迎えに来たから、一緒に帰ろう】 返事はなかった。 慌てて彼の親友、北村真(きたむら まこと)に電話をかけると、相手は言葉を濁した。 「お、お前、本当に中東まで行ったのか?」 耳元で爆発音が響く。私は焦りで目の前が真っ赤になるようだった。 「彼は一体どの地区にいるの?」 電話の向こうで数秒の沈黙。 「実は、あいつ、出国なんてしてない」 風が襟元に吹き込み、冷たさに身震いした。 彼の声はさらに低くなった。「出張だって言ったのは、嘘なんだ」 電話を切ると、スマホに一枚の写真が届いていた。日付は今日。 舟が目を細めて幸せそうに笑っている。腕に女を抱き、誕生日ケーキのろうそくを吹き消しているところだった。 一目でわかった。 彼女は林優奈(はやし ゆうな)だ。 三年前、舟が私に跪いて誓った相手――「もう二度と会わない」と約束した、あの女。 舟はどうやら忘れているらしい。今日が私の誕生日でもあることを。 スマホがもう一度震えた。 【咲季、実は舟、ずっとあいつとは切れてなかったんだ。二人の仲が良さそうだったから、言い出せなくて】 私は画面を見つめた。 【迎えに来たから、一緒に帰ろう】 そのメッセージは、送信エラーで結局送れなかった。 ――それなら、私ももう、彼の帰りを待つのはやめよう。
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99回目の失望――もう愛なんていらない

99回目の失望――もう愛なんていらない

私の名は桐原司紗(きりはら つかさ)。結婚式の当日、妹の桐原瑠月(きりはら りづき)が一時帰国した。 私の両親、兄の桐原遼(きりはら りょう)、そして婚約者の橘川悠真(きっかわ ゆうま)は、皆私を置いて、瑠月を迎えに空港へ向かった。 瑠月が大勢に愛されていることを自慢げにSNSで投稿する中、私は何度も電話をかけたが、冷たく切られるばかりだった。 唯一電話に出た悠真は、「わがままを言うな。式はまた挙げられる」とだけ言った。 彼らは、私が最も楽しみにしていた結婚式で、私を笑い者にしてしまった。周囲から指さされ、嘲笑の的にされた。 私は冷静に一人で全てを片付け、日記に新たな数字を記した――99。 これで99回目の失望。もう彼らの愛など期待するまい。 留学の申請書を書き上げ、荷物をまとめた。 皆は私が大人しくなったと思っているだろうが、実は去る準備をしているのだ。
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幼馴染の、七度目の婚約破棄

幼馴染の、七度目の婚約破棄

幼なじみが初恋の女のために七度目の結婚式延期を決めたそのとき、私・宮本菜々(みやもと なな)はふっと、もうこんなのくだらないと感じてしまった。 病院に駆け込んで山田陽介(やまだ ようすけ)を見つけ、最後の確認をした。 まだ私と結婚する気があるのかって。 彼はベッドに横たわる永井美桜(ながい みお)に、気のない手つきでリンゴの皮を剥いていた。 「菜々、もう子どもじゃない。わきまえろ。結婚式なんていつでもできる。けど、美桜は病気だ、ここは手を抜けない」 皮むきナイフが彼の指先でカリカリと小さな音を立てる。 だが私の耳には耳をつんざくほど響いていた。 「じゃあ、花婿を変えるだけよ!」 彼の手が一瞬止まり、すぐに笑ってみせた。 「好きにしろ!」
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TS:悪役令嬢のモブメイドの俺が霊獣になった件

TS:悪役令嬢のモブメイドの俺が霊獣になった件

主人公はある日、突然、真上から鉄骨が落ちてきて、乙女ゲーの世界で【ウィナフレッド・ディカーニカ】——ウィナとして男から少女へと生まれ変わる。 そうしてウィナはこの異世界で一つの目的を持つ。 それは悪役令嬢であるフィロメニアをバッドエンドから救うことだ。 初対面ではボディーブローを入れてしまったが、十年後、ウィナはフィロメニアの御付きメイドになっていた。 けれど【霊獣召喚】の儀式になぜかウィナは巻き込まれ、フィロメニアの霊獣となってしまう。
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妻を救うために、俺は両目を失った

妻を救うために、俺は両目を失った

彼女を守るため、爆発に巻き込まれた俺は視力を失った。 恩義を感じた彼女は俺との結婚を選んだが、俺の知らないところで新しい男を作っていた。 さらに、心臓病を抱える新しい男のそばにいるため、彼女は盲目の俺を一人で空港に向かわせ、事故が起きるまで放っておいた。 俺が拷問され、バラバラにされたあの夜、妻は自ら新しい男に心臓移植手術を施した。 その後、新しい男が拒絶反応を起こすと、彼女は集中治療室の外で一日一晩、ひたすら祈り続けた。
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娘が十度目に母を拒んだ日

娘が十度目に母を拒んだ日

娘の周防花奈(すおう かな)が十回目の「ママを替えたい」と口にしたとき。 私・周防霞(すおう かすみ)は怒らなかった。 ただ、妙に落ち着いた声で「じゃあ、誰にママになってほしいの」と聞いただけだった。 花奈は迷いもなく答えた。 「沙羅さん」 小田切沙羅(おだぎり さら)は、花奈の家庭教師だ。 そして、夫の周防颯真(すおう そうま)の初恋の相手でもある。 あの日の誕生日パーティーでも、花奈は皆の前で堂々と沙羅にお礼を言い、「ママみたいにずっとそばにいてくれるの」と言っていた。 その幼い顔を見ているうちに、この子は私のことが好きじゃないのだとはっきり分かってしまった。 それから私は、前みたいに花奈と颯真の世話を焼くのをきっぱりやめた。 代わりに、国の極秘プロジェクトに参加する道を選んだ。 あの二人にこれ以上時間を使うくらいなら、国の役に立つ方がずっといい。
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もう彼に四度目のチャンスは与えない

もう彼に四度目のチャンスは与えない

夫である松本悠人(まつもと ゆうと)が浮気から家庭に戻る条件として、私は彼に「あと三回だけ」の猶予を与えた。 浮気相手とキッパリ別れるための、最後のチャンスを。 だが彼は、そのわずかな時間さえ惜しむかのように、あの女と夕食を共にし、手作り体験デートを楽しみ、挙句の果てには夜通しで付き添っていた。 そして戻ってきた後、彼はあの女にまつわるものを全て捨て去り、改めて私の手を取り、こう言った。 「信じてくれ、美咲。もう二度と裏切らない」 私が車で一人の若い娘と衝突した、あの日までは。 女の子は泣きながら電話で助けを求めた。 しかしそこから聞こえてきたのは、悠人の友人の声だった。 「悠人、行くのは止めた方がいいぞ。三回の猶予はもうゼロだろ?今回は確実に離婚沙汰になる」 すぐに、悠人の余裕しゃくしゃくとした声が聞こえてきた。 「美咲(みさき)は孤児だ。生涯誰にも愛されなかった寂しい女。俺よりよっぽど離婚を恐れているさ。 ちゃんと口止めしておけ。これで本当に最後だ」 私は血の海に倒れたまま、全身が凍りついた。 目の前で泣き崩れていたこの女こそ、彼が大事に守っていた愛人、小林由奈(こばやし ゆな)だった。 二十分後、かつて「必ず家庭に戻る」と誓った悠人が、慌ただしく病院へ駆け込んできた。
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