結婚は夢、結局は何も残らない
金持ちの夫は約束した。どれほど外で女と遊んでも、私はいつまでも福井家の正妻だと。
結婚一年目。彼は空港で女優と熱いキスを交わした。
私から離婚を切り出したが、福井基樹(ふくい もとき)は何も言わず、私を部屋に一か月閉じ込めた。
一か月後、私は妊娠していることを知った。
結婚三年目。彼はクラブのホステスに一目惚れし、手をつないで未亜都を遊び回った。
私は二度目の離婚を求めたが、その夜彼はすぐに本家へ戻ってきた。
直後、私は子どもに週一回だけ会える権利を与えられた。
結婚七年目。子どもは五歳になった。
友人の誕生日会に、彼は若い女を連れてきた。
その女は私の席に図々しく座り、私に牛乳を浴びせかけた。
さらに、足が疲れたからと、私に跪いてマッサージをしろと言い出した。
「美香さん、人に仕えるのが一番得意なんでしょう? 私も楽しませてくれないかしら?」
その場の人々は顔を見合わせ、誰も口を開けなかった。
基樹は私に顎をしゃくってみせた。
「聞こえなかったのか?」
私は立ち上がり、友人に申し訳なさそうに微笑んで、ホテルを後にした。
もう二度と振り返らなかった。
今回は、本当に離婚する。