禁欲の貴公子への華麗なる復讐
大手企業の社長である西園寺蓮司(さいおんじ れんじ)は、篤く宗教を信仰しており、禁欲の貴公子と呼ばれている。
それでも彼は私・橘詩織(たちばな しおり)のために戒律を破って、私を溺愛している。
帝都の誰もが、そう信じていた。
だが、彼の「本命」が帰ってきた瞬間、全ては崩れ去った。
雪の中、私は彼に無慈悲に突き飛ばされた。
額から血を流す私に見向きもせず、彼は愛おしそうにその本命を抱きしめる。
「やっと帰ってくれた。もう二度と、あの偽物を見なくもない」
「あの女が、私の真似をしていたピエロ?」
「ただの暇つぶしのおもちゃだ」
蓮司は冷たく言い放った。
私は血に濡れた手で、腕の数珠を引きちぎり、雪の上にばら撒いた。
「西園寺蓮司、修行のしすぎで頭がおかしくなった?
おもちゃや身代わりなんかじゃない、私は復讐に来たのよ!」