元婚約者が買ったのは、アンドロイドにされた私
アンドロイドにされてから7年、かつての婚約者だった宮崎隼人(みやざき はやと)が、私を闇市場で競り落とした。
彼は品定めするように私の硬い関節を叩くと、あからさまに軽蔑の眼差しを向けた。
「真奈美、金のためならどこまで落ちぶれるんだ。目立ちたいがために、こんな人形みたいな姿に成り果てて!」
私は機械の眼球を動かし、加工された途切れ途切れの声を出した。
「宮崎さん、触るのは1回10万コインです。もしこの硬さが気に入らないようでしたら、返品も承りますよ」
すると隼人の動きがぴたりと止まった。その目には、言いようのない苛立ちが立ち込めていた。
「うちに来い。紗奈のモデルになれ。あの子は最近スランプ気味でね。お前のこの気味の悪い姿を見れば、なにか閃くようになるかもしれない」
彼は私の体にある継ぎ目を一瞥すると、鼻で笑った。
「昔のお前は、もっと生き生きしていたのにな。今の姿は本当に気味が悪い」
私は硬直した体で、くるりと向きを変えた。
隼人には理解してもらえないでしょうけど、今の私を生かしているこの人形の体は、7年もの間苦しみ続けて、ようやく慣れた檻だ。
それに、隼人はもう忘れてしまったようだが、7年前、愛する女を喜ばせるため、私の全身の骨をその手で打ち砕いて改造室へ送った人間こそが、他の誰でもない、彼自身なのだ。