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第123話

Auteur: 霜晨月
last update Date de publication: 2026-03-20 17:32:57
「おそらく、彼はお前を憎んではいても、あのような不本意な死に方をさせたくはなかったのだろう」

斉王は言葉を継いだ。その声には、噛んで含めるような響きが滲んでいる。

「静山よ。阮棠や孟小桃を手元に置いたのは、もともと交渉の駒とするためだったはずだ。清河寨の連中など、お前は端から見限っているのだろう?ならば強引に囲い込んで災いの種にするより、いっそ恩を売るつもりで、清河寨の差配を一切合切、周歓に委ねてしまえばいい」

沈驚月はうつむいたまま押し黙った。拒絶もしなければ、承諾もしない。

斉王はその様子を窺いながら、さらに言葉を重ねる。

「あいつが上手くやれば、お前の手間が省ける。しくじれば、その時に改めて取り上げれば大義名分も立つというものだ。今、最も肝要なのは大局を安定させ、陳皇后を失脚させて大権を陛下にお返しすること。周歓と意地を張り合っている場合ではなかろう」

沈驚月は天井を見つめ、その胸を激しく波立たせていた。

沈驚月という男は、その矜持の高さゆえ、これまで他者を見下すことはあっても、見下されることなど一度たりともなかった。他人を掌の上で転がすことはあっても、眼前で無礼を働く者など一人
霜晨月

*1・教坊司:音楽、歌舞、演劇を管理・教習した官庁。罪に問われた貴族・官吏の妻女が「楽戸」として強制的に収容され、歌舞に従事させられた場所としても知られています。

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