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第173話

Penulis: ルーシー
その夜――春日部宅にて。

玲奈が陽葵を連れて帰宅すると、陽葵は真っ先に台所へ駆け込み、朝作った卵クレープを温め直した。

お盆に載せて運び出し、玲奈のそばでじっと味見の反応を待つ。

実際のところ味はさほど良くはなかった。

それでも玲奈は最後まで食べきり、「とても美味しいわ」と繰り返し褒め、やんわりと改善点も伝えた。

陽葵は素直に受け止め、「次はもっと上手に作る」と笑顔で応えた。

夕食を終えた家族は、しばし団らんの時を過ごした。

――その後。

洗面を終えた玲奈がスマホを手に取ると、着信履歴が十数件も残っていた。

すべて、智也からだった。

どうすべきか迷っていると、再び着信。

直感で悟る――これはきっと、ただ事ではない。

ためらわず応答した途端、荒々しい怒声が飛び込んできた。

「玲奈、いったい何をしていた!なぜ俺の電話に出ない!」

いきなりの怒号に、玲奈も苛立ちを隠さず声を荒らげた。

「智也、わたしが何をしていようと、あなたに関係ある?」

「愛莉が病気だ。

すぐに戻って来い!」

智也は言い争いを避け、要件を端的に告げた。

――その一言に、玲奈の心臓は大きく跳ねた。

瞬時にベッドから飛び起き、寝間着のまま部屋を飛び出す。

「どうしたの?昼間は元気だったじゃない!」

階段を駆け下りながら問いかける。

智也の声は落ち着きを取り戻していた。

「宮下の話だと、夕飯を終えたあと腹痛を訴え、ほどなくして食べたものをすべて吐いたらしい」

玲奈は血の気が引く思いで急ぎ足を速めた。

すでに夜は更けていた。

家族を煩わせることなく、自分で車を走らせ小燕邸へ向かう。

屋敷に着くと、宮下がぐったりした愛莉を抱き、居間を行き来していた。

扉を開けた瞬間、安堵と涙が入り混じった声が響く。

「奥様......ようやくお戻りに......」

雨はまだ降り続いていた。

玲奈は傘もささずに駆け込んだため、寝間着は半ば濡れていた。

靴を脱ぐ間もなく宮下のもとに駆け寄り、愛莉を抱き取る。

娘は浅い眠りの中で目を開き、かすかな声を漏らした。

「......ママ」

玲奈はその額に頬を寄せる。

熱はない。

発熱が原因ではなさそうだ。

「愛莉、どこが痛むの?ママに教えて」

小児外科医としての顔に切り替え、丁寧に問いかける。

力の抜けた体を抱
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Komen (1)
goodnovel comment avatar
煌原結唯
直ぐに戻って来い!なんていうから家に居るのかと思えば、自分はドコに居んのさ
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