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第145話

Auteur: Hayama
last update Date de publication: 2026-05-08 12:00:00

「……似てる、か」

樹が私の言葉をなぞるように呟いた。

「二人とも、ずっと過去の自分に縛られて、自分を許してあげられないままなんだね」

口にすることで、私自身の胸のつかえも少しだけ取れた気がした。

「確かに、俺たちはあの日の景色から一歩も動けていないのかもしれない」

樹が視線を落とし、認めるように頷いた。成功し、責任を果たし、誰からも立派だと言われる今の彼が、心の中ではあの日の絶望に足を取られたままだった。

「だからさ、もう終わりにしよう? どちらかが悪者にならないと気が済まないような、そんな苦しい答え合わせは。私たちが前を向くために必要なのは謝罪じゃなくて、別の言葉だと思うから」

謝られるたびに、私の心はあの日の惨めな自分に引き戻される。

私が欲
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    「……似てる、か」 樹が私の言葉をなぞるように呟いた。 「二人とも、ずっと過去の自分に縛られて、自分を許してあげられないままなんだね」 口にすることで、私自身の胸のつかえも少しだけ取れた気がした。 「確かに、俺たちはあの日の景色から一歩も動けていないのかもしれない」 樹が視線を落とし、認めるように頷いた。成功し、責任を果たし、誰からも立派だと言われる今の彼が、心の中ではあの日の絶望に足を取られたままだった。 「だからさ、もう終わりにしよう? どちらかが悪者にならないと気が済まないような、そんな苦しい答え合わせは。私たちが前を向くために必要なのは謝罪じゃなくて、別の言葉だと思うから」 謝られるたびに、私の心はあの日の惨めな自分に引き戻される。 私が欲しかったのは、彼の反省でも後悔でもない。ただ、私たちの愛した時間が、間違いじゃなかったという肯定だけだった。 「俺は、花澄に一生許されないことで、自分の罪を繋ぎ止めておこうとしてたんだと思う。でも、そんなふうに真っ直ぐ見つめられたら……もう、意固地になってる自分が惨めで仕方なくなる」 樹は私の目を見つめたまま、ふっと自嘲気味に笑った。 彼の瞳の奥に、ようやく今の私が映った気がした。 「自分を責めて、そんな悲しい顔をするために、私に会いに来たわけじゃないでしょ?」 私は少しだけ小首をかしげて、樹に問いかけた。 私を傷つけた自分を責める彼は、今の私をさらに悲しませていることに気づいていない。樹が本当に私を想うなら、笑っていることが私にとっての一番の救いになる。 「そうだね。花澄を困らせたくて来たわけじ

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    「明日は家でゆっくりしようね」壱馬さんの声は落ち着いていて、無理しなくていいと言ってくれているみたいだった。 その言葉に安心を覚えながらも、胸の奥に小さな罪悪感が芽生える。もし私が元気だったら、ドライブに行っていたはずなのに。そう思うと、壱馬さんの優しさに甘えてしまっている自分が少し情けなくなる。「ドライブ…」ほんの少しの未練を、抑えきれずに零してしまった。わがままを言いたいわけじゃない。むしろ、せっかく気遣ってくれているのに、未練を口にしてしまった自分が恥ずかしい。

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