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愛の騎士団、世界の希望となる

Author: 吟色
last update Last Updated: 2025-09-21 06:41:00

ノルディア帝国での成功から三日後、私たちは予想もしなかった出来事に遭遇した。

帝都の大広場に、信じられないほど多くの人々が集まっていたのだ。

数千人はいるでしょう。

そして、みんなが私たちを待っている。

「愛の騎士団様!」

人々が私たちを見つけて歓声を上げた。

「ありがとうございます!」

「愛を取り戻してくださって!」

みんな、感謝の気持ちでいっぱい。

私たちの活動が、こんなにも多くの人に影響を与えていたなんて。

「すごい人数ね」

私は圧倒されていた。

「私たちにこんなに期待してくれて」

「君たちが頑張った結果だ」

カイルが誇らしそうに言った。

「世界中の人が、君たちの活動を見ている」

皇帝も私たちと一緒に広場に来ていた。

この三日間で、すっかり愛情深い皇帝に変わった彼。

「朕の民たちも、心から感謝しております」

「愛の騎士団の皆様のおかげで、この国に愛が戻りました」

人々の前で、皇帝が演説を始めた。

「民よ」

皇帝の声が広場に響く。

「愛の騎士団の皆様に感謝しよう」

「彼らのおかげで、我々は愛の大切さを思い出すことができた」

「愛する人への想いを、再び抱くことができた」

大きな拍手が湧き起こった。

みんな、本当に嬉しそう。

愛を表現できる喜びで、輝いている。

「そして」

皇帝が続けた。

「愛の騎士団の皆様は、これからも世界中を旅されるそうです」

「困っている人々を助けるために」

「愛を広めるために」

また拍手。

でも、今度は少し悲しそうな拍手。

私たちがここを離れることを、惜しんでくれている。

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