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第7話 哀れな元夫

ผู้เขียน: 相木ふゆ彦
last update วันที่เผยแพร่: 2026-07-22 19:18:00

高山隼人は、川辺美緒と話し込んでいた。

仕事時間だが、隼人も美緒も気にしていない。

美緒は秘書課に縁故採用で、採用されている。強いコネがあるので、堂々と仕事をサボっている。

美緒が彼のデスクに寄りかかり、甘ったるい声で話しかけるのを聞いて、彼はすっかり有頂天だ。

「沙織のやつ、大金を隠してたなんてな。その金を手に入れたら、ヨーロッパに新婚旅行に連れて行って、ブランドバッグもたくさん買ってやるよ」

「本当?嬉し~い!」

美緒は目を輝かせ、それからわざとらしく眉をひそめた。

「でも、オバサンに着信拒否されてるんでしょ。素直にお金を出すかしら?」

「問題ないさ。実家はまだ繋がるし、適当に話せば情報がくる」

美緒と親しくなったのは、去年のホームパーティーからだ。

凄い家庭的な奥さんですね~でも私なんて……。そう切り出してきた美緒の目は、隼人を見て潤んでいた。

同期の中でも、係長に出世したのはまだ隼人だけだ。

尊敬していると言われて、寄りかかられてからは隼人も夢中になった。

思えば、沙織は気に食わなかった。

完璧な妻であり、いつも隼人を支えてくれるがこんな風に甘えたことはない。

母の目さえなければ、いつでも美緒を家に呼ぶつもりだった。

そのための資金は、もうすぐ沙織から手に入る。

「失礼します。高山係長あてに速達です」

部下の一人が、ノックして速達の封筒を持ってくる。

美緒のことは見ないようにして、渡すなり出て行ってしまう。

お茶ぐらい、淹れていけ――隼人の機嫌が悪くなった。

役に立たない部下だと思いつつ、それでも沙織から金が入れば有給で美緒と旅行も悪くない。

気分は再びあがってきた。

なにかブランドもののプレゼントをしてもいい。

自分用に、いい時計でも買おうか。

そう思いながら封筒を見ると、差出人:朝霧法律事務所。朝霧司。

いかめしいその封筒からは、嫌な予感がする。

書類を取り出した隼人は、読みながらどんどん顔が青ざめていくのを止められなかった。

「嘘だろ……どういうことだ、沙織のやつ! 生意気な……」

青ざめていた顔は、怒りのあまり赤黒く変質する。

こんなこと、許されるはずがない。

慰謝料? 横領罪? ふざけている。

「冗談じゃない!」

隼人は勢いよく立ち上がり、椅子が耳障りな音を立てて床を擦った。

「沙織ごときが何様だ!よくも俺に内容証明なんか送りつけやがって!」

「どうしたの、隼人さん?」

美緒はぎょっとした。

「あいつ、弁護士を雇いやがった!」

隼人は怒りで胸を激しく上下させ、顔色は青くなったり赤くなったりだ。

「行くぞ!塔矢フレグランスに乗り込んでやる!社内中に見せしめてやれば、図々しくもいられまい!」

沙織がそんな恥をかかされることに、いったいどこまで耐えられるものか、思い知らせてやろう。

***

「雪中白梅の品質管理事故があったようですが、ある新入社員によって解決したそうです」

塔矢フレグラスと競合する、”ミライ”という香水会社で、その言葉が流れた。

ミライは会合の最中だったのだが、会合の最後でライバル会社の噂を小声で話し込んでいる。

「ふうん、面白いじゃん」

ミライのチーフ調香師である瀬名大地は、思わずつぶやいていた。

雪中白梅の調香リストは、ベースノート以外公開されていない。

大地でさえ、全部嗅ぎ当てられるかというと、正直自信がないほどの複雑さだ。

それを名もなき新入社員が解決したという。

指先で机を叩きながら、大地はその謎の新入社員に思いを馳せた。

何者だろうか。

ここまで短時間で微妙なズレを見抜ける嗅覚の持ち主は、ただ者ではない。

急に、その人物に会いたくなった。

「お疲れ様でしたー」

「ああ、鮎川くん。お疲れ様。今日はありがとう」

沙織は、挨拶をしながら退社しはじめる。

制服を着替えに行く途中、沙織は試香室の前を通りがかった。

閉まり切っていないドアからは、”アデリア”の香りがした。

――ばずだった。

「……違う」

思わず小声で口走る。

アデリアは沙織の調香レシピだったが、香料が違う。

――いった方がいいのだろうか。

これを発売したら、塔矢フレグラスが問題になる。

そうなったら、社長の奏多の責任だ。

「違う?」

ドアが開いて、主任の名札をつけた女性が顔を出した。

沙織の小声は、聞こえてしまったらしい。

「あの……私、今日入社した品質管理部のアシスタントの鮎川といいますが、この香料は」

「新入りのアシスタントが何を知ってるっていうのよ。ここはあなたが口を出せる場所じゃないのよ」

見下された視線と共に、ドアが強く閉められた。

ぴしゃりと締め出された彼女は、間違った香料の香りと共に、その場に立ち尽くした。

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ความคิดเห็น (1)
goodnovel comment avatar
ブラックコーヒー
まぁ、普通はそうなるよねぇ。どうする沙織さん。
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