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メスガキ無双〜気弱王妃の華麗なる反逆〜
メスガキ無双〜気弱王妃の華麗なる反逆〜
مؤلف: 東雲桃矢

1話

مؤلف: 東雲桃矢
last update تاريخ النشر: 2026-05-08 03:48:25

 知恵と豊穣の国、ルシアーナ。数多の学者を輩出しているこの国は、学業と農業が盛んで、男女問わず学び舎に通い、様々なことを学んでいる。学費がずば抜けて安いことから、他国から移住し、勉学に励む者も大勢いる。

 四季折々の野菜や果実も安値で手に入り、活気もあるため、世界1恵まれた国と言われている。

 そんな恵まれた国の城内で、王妃と娘が、出かける準備をしていた。

「アンナ、忘れ物はない?」

「はい、お母様」

「それじゃあ、行きましょうか」

 薄桃色の淡い長髪を美しく束ね上げた王妃のレイスと、同じく薄桃色の髪を持つ愛らしい姫、アンナ。ふたりは今日から、森の奥にある別荘に移る予定だ。

 世界1幸せな国と言われるルシアーナだが、王妃は幸せどころか、不幸な女性だ。というのも、彼女の夫であり国王でもあるゲイリー・バーネットは、側室のメリンダばかりを可愛がり、レイスとアンナを蔑ろにするのだ。

 はじめは、それほど扱いの差はなかったが、レイスがアンナを産んでから、ゲイリーは冷たくなった。それでも、まだマシな方だった。挨拶を無視される程度だったのだから。

 メリンダがエドワードを産むと、ゲイリーはレイスとアンナを蔑むようになったのだ。

「女は王族にいらない」

 それがゲイリーの口癖になり、アンナには誕生日プレゼントすら買い与えない。それどころか、膨大な量の勉強を強要し、できないと「こんな不出来は俺の子なんかじゃない」と酷い言葉を浴びせるのだ。

 レイスも毎日のように女を産んだことを責められ、メリンダには嫌がらせをされていた。ゲイリーは気に食わなければレイスを殴り、アンナの食事を抜いた。メリンダは顔を合わせる度に嫌味を言い、年齢もひとつしか違わないのに、レイスを年増呼ばわりする。

 エドワードもメリンダに似て性格の悪い子で、アンナの髪を引っ張ったり、転ばせたりと、嫌がらせが絶えない。

 いくらやめるように言っても、3人は嫌がらせをやめない。それどころか、エスカレートしていくばかりだ。

 服やドレスは何着も切り刻まれ、燃やされた。他国の王族との公務の時間をわざと遅く伝えられ、国際問題に発展しかけたこともある。

 使用人達も、ゲイリーや側室のメリンダの肩を持ち、洗剤入りの食事を食べさせようとしたり、、洗っていない服をもう一度着させようとしたりと、やりたい放題。

 自分ひとりなら耐えられたが、アンナにまで手を出されるのなら、これ以上城にいるわけにもいかなかった。幸いレイスの実家は公爵家で、金も別荘もある。秘密裏に母と連絡を取り、数回に分けて必要な荷物を別荘に運んだ。

 今日はピクニックと偽り、別荘に引っ越すのだ。アンナはまだ6歳と幼いため、うっかり誰かに言ってしまう可能性がある。だからアンナも、このことは知らない。

「あ」

 あと数段というところまで階段を降りたところで、アンナが立ち止まる。

「どうしたの?」

「忘れ物!」

「もう、だから忘れ物はないか確認したのに。急いで取ってきて。お母様は、先に馬車に乗ってますからね」

「はーい」

 アンナは元気よく返事をすると、軽快な足取りで階段を登っていく。

(一刻も早くこの城から出たいけど、焦りは禁物よ)

 心の中で自分にそう言い聞かせながら、階段を降りきると、荷物を下ろす。この中には、最低限のお金と宝石。そしてアンナと食べる予定のサンドイッチが入っている。使用人に任せると何を入れられるか分からないので、王妃であるレイスが作ったものだ。

(アンナ、喜んでくれるかしら?)

 荷物に触れながら、アンナとの楽しい時間を想像する。城を出たら公爵家の馬車で移動するのだ。

「きゃ!?」

 アンナの悲鳴に驚いて振り返ると、我が子が階段から転がり落ちてくるのが目に飛び込んだ。踊り場には、両手を突き出したエドワード。

「アンナ!」

「うぅ……」

 アンナはうめき声を上げ、小刻みに震えていた。

「アンナ! 大変……。待ってて、今医務室に運ぶから」

 慎重にアンナの体を抱き上げると、たったったっと可愛らしい足音が近づいてくる。

「おばさん、アンナちゃん大丈夫?」

 エドワードはニヤニヤ笑いながら、アンナを覗き込む。

「エド、あなたなんてことするの!? アンナを突き落とすなんて!」

「えー、なんのことー? 僕知らないよ?」

 できることなら、今すぐこのニヤケ顔を殴ってやりたいが、今はアンナを医務室に運ぶことが最優先事項だ。

「ちょっと、大声聞こえたけど、なんなの?」

「騒がしいと思ったらお前か、レイス。仮にも王妃なんだ、その自覚を持て」

 現れたのはエドワードと同じく金髪のメリンダと、夫のゲイリー。ゲイリーは艷やかな黒髪をひとつにまとめている。

「おばさんが僕のことぶったんだ!」

 エドワードは赤くなってすらいない頬を押さえながら、嘘泣きを始める。

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