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勝手気まま我儘-1

Author: よつば 綴
last update Last Updated: 2025-04-24 06:00:00

 ノーヴァのちんこを喉奥にねじ込まれて目が覚めた。

「んぶっ、ぉがッ、ぁ゙え゙っ····」

「あ、起きた。おはよ、ヴェル」

「お゙ぇっ、がはっ、ごぼぇっ····」

「あぁ、ごめんごめん。喋れないよね」

 ノーヴァはちんこを引っこ抜き、俺の前髪を掴んで持ち上げた。

「おはよう、ヌェーヴェル」

「お、おは····ゲホッゴホッゴホッ」

「さ、もう1回いくよ。口開けて」

 なんだかキレている様子のノーヴァ。挨拶を終えると、再び喉の奥まで一気に突っ込む。

 チラッと視界に入ったのだが、俺の横にはノウェルが泡を吹きながら倒れていた。ヴァニルが俺のケツに腰を打ちつけながら、片手間に回復をしている。

 どういう状況なんだ。

「お前の所為だぞ、たらし野郎」

 声の主を探すと、椅子に縛られたイェールが抜け出そうと藻掻いていた。

「んんんっ!? ぅぶぇっ」

 ノーヴァの腰を押して逃げようとしたが、頭を押さえられ逃げられなかった。

 俺が激しく嘔吐くと、ノーヴァは嬉々として腰を強く打ち込む。昂った笑顔が厭らしくも愛らしい。だが、あまり見る余裕はない。

「そのまま吐いていいよ。アッハハ、ヴェル、お漏らし止まんないね」

「ノーヴァ、こちらも奥をヤりますよ。噛み千切られないよう、気をつけてくださいね」

 言い終えるが早いか、ヴァニルが結腸をぶち抜いた。あまりの衝撃に目が眩み、ノーヴァのモノを咥えながら吐いた。と言っても、ごく小量の胃液が出ただけだったのだが。

 どれだけ苦しかろうが嘔吐いていようが、ノーヴァは容赦なく俺の喉奥を抉り潰す。全く息ができなくなった俺は死を覚悟した。

「ヴァニルさん、いい加減にしないとそろそろ死にますよ。どうせ、また回復すれば良いと思ってるんでしょうけど。まったく····愛する人に、

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     ヴァニルは俺のケツに爪を食い込ませ、力一杯奥を抉って言う。「こういう強い刺激がないと、ヌェーヴェルはイけないんですよねぇ」「あ゙ぁ゙ぁ゙ぁっっ!! ケツ、イッひゃう····ヴァニル、お゙ぐっ、ぎも゙ぢぃぃ!! ノウェル、ごめっん゙ん゙っ! 俺、もう····酷くされないと、イ゙ッ、けなぃあ゙ぁ゙っっ····」 懸命に話す俺の邪魔ばかりするヴァニル。奥を抉るだけでなく、千切れてしまいそうなほど乳首を抓りあげる。「そういう身体になってしまったんですよね。だから、お嫁さん探しも諦めたんですものねぇ。··はは、恥辱にまみれる貴方は最高に愛らしいですよ、ヌェーヴェル。ここまで躾けた甲斐がありました」「悔し··けど、もう、戻れにゃ··ふあぁっ····女でイけない··って····お前らじゃないと、満足できないって····わかってるんだよぉ····」 ボロボロと溢れる涙。必死に抑えてきた感情が、精液や潮と共に際限なく溢れ出してくる。「だったらいい加減、跡を継ぐのもやめて私達に溺れたいと言ったらどうです? いつでも連れ去ってあげますよ」 ヴァニルは、俺の首をねじ切れそうなほど振り向かせ、深いキスをした。「ん、あ··はぁ····あにぅ····あにぅ······」「ん? 何ですか?」「なんでお前が、

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