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第105話

作者: 花咲 錦
夏蓮の世話をしている冴島家の家政婦、木村が、熱を下げるために濡れタオルを当てながら気の毒そうに声をかけた。

「夏蓮様、どうかもう泣かないでくださいませ。お体に障りますよ」

「……お義母様は?なんで誰もいないのよ」

都子のことを聞いているのだ。出産したばかりで、本来なら一番人がついていなければならない時期だというのに、飛鳥はおろか、都子すら顔を見せないとはどういうことか。

都子の名前が出ると、木村は困ったように息を吐いた。「それが……星歌様の起こされた騒ぎがあまりにも酷く、キヨ様のお耳にまで入ってしまったようでして。都子様は先ほど、キヨ様からひどくお叱りを受けておられました」

都子も、冴島家において決して安泰な立場にいるわけではない。

姑であるキヨの権力が強すぎるため、彼女が健在である限り、都子が冴島家の真の女主人として実権を握ることはできないのだ。

星歌のせいで自分まで見捨てられていると知った夏蓮は、怒りで歯を食いしばった。

「あいつ、キヨ様にまで返還を要求してるの!?本当に頭がおかしいんじゃないの!?」

「今回は、さすがに星歌様もやりすぎでございますね」

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