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天の配剤

Author: 結城慎二
last update publish date: 2026-09-04 18:00:57

 完全に見えなくなるのを確認させてから、次の指示を出す。

 畑に木の置き盾を設置するのだ。

 障害物としてね。

 戦闘になったらどうしても被害は覚悟しなきゃいけないんだけど、できればあんまり畑を荒らされたくない。

 こうしておけばホルスで荒らされることはなくなるんじゃないかと思ってさ。

 もちろん味方の盾としても使うんだけど。

「ジョー」

「何か?」

「次に来るのは何日後になるかな?」

「ホルスを飛ばして片道五日……そうさな、十四、五日ってところか」

 また僕の誕生日くらいか……。

 呪われてんのか? 誕生日。

「じゃあ、明日から十日間はいつも通りに過ごしてもらおう。クレタとカルホに回覧板を作って回すように言ってくれ」

「かしこまりました」

 と、その場を後にしたのはザイーダ。

 残りのメンバーはじっと僕を見ている。

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 なんか言わなきゃダメ?

「念の為、今日は見

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  • 僕だってチートがあれば苦労なんてしていない    天の配剤

     完全に見えなくなるのを確認させてから、次の指示を出す。  畑に木の置き盾を設置するのだ。  障害物としてね。  戦闘になったらどうしても被害は覚悟しなきゃいけないんだけど、できればあんまり畑を荒らされたくない。  こうしておけばホルスで荒らされることはなくなるんじゃないかと思ってさ。  もちろん味方の盾としても使うんだけど。「ジョー」「何か?」「次に来るのは何日後になるかな?」「ホルスを飛ばして片道五日……そうさな、十四、五日ってところか」 また僕の誕生日くらいか……。  呪われてんのか? 誕生日。「じゃあ、明日から十日間はいつも通りに過ごしてもらおう。クレタとカルホに回覧板を作って回すように言ってくれ」「かしこまりました」 と、その場を後にしたのはザイーダ。  残りのメンバーはじっと僕を見ている。  ?  なんか言わなきゃダメ?「念の為、今日は見張りを四人にして、明日以降通常の二人体制に戻す。解散」 さて、そのいつも通りの十日ってのもダラダラできるわけもなく、フレイラを脱穀したり粉に挽いたり(用水路の水車大活躍)、保存食の仕込みをしたり雑木林で木の実やキノコを採集したりと、まぁ主に食い物周りで大忙しなわけだ。  他には裏の畑の拡張もする。  今年の表の畑はフレイラを秋蒔きできないから、少しでも開墾しとかないとね。  あっという間に十日が過ぎて、十一日目は休息日にした。  肉体労働で疲れた体を休ませて、決戦に備えるためだ。  十二日目からは櫓の見張りを四人に増強しての戦時体制に突入。  十五日目、まだ来る気配がない。  そして、僕の誕生日である十六日目、ついにオルバック軍が姿を現した。  チッ、やっぱり僕の誕生日に事件は起きるのか。(呪われてる?)(どうかしらね?) リリムにははぐらかされたけど、どう考えても天の配剤ってやつじゃねーの?

  • 僕だってチートがあれば苦労なんてしていない    青天の霹靂

    「開けろ! ええい、門を開けんかっ!」 それでハイそうですかと門を開けるくらいなら、こんな態度に出ちゃいないよ。  僕が門の裏で指示を出し、左右の櫓に隠れていたサビーとイラード、シメイとアーシカが姿を現す。  もちろん弓を引き絞り使節団に狙いをつけさせる。  外の様子は上空にいるリリムによって逐一報告が入るから手に取るように判るんだから便利だよ、ホント。  警備の騎士がホルスをなだめ、人夫が逃げ出そうとするのをオルバックJr.が叱咤する。  まぁ、叱咤は門のこっち側にも聞こえてくるけどね。「貴様ら、こんなことをしてタダで済むと思っているのか!?」「まさか、一戦交える覚悟でやってるさ」「なっ、なにっ!?」 こっちは覚悟が決まっている。  でも、あっちは覚悟がついてないようだ。  そりゃそうだ。  代々ずっと百姓は黙って税を納めるものと思っていたんだろうからね。  税を取り立てに来て拒否されるなんて青天の霹靂てなもんだろうよ。  さてさて、問答なんてまどろっこしいので本日は早々にお引き取り願おうか。  僕はシメイに指示を出して威嚇のために荷車に一矢射ってもらう。「こら! 逃げるな! 臆病者!!」 と、声が聞こえる。  リリムの報告を待つまでもなく、人夫が逃げ出したんだろう。  二、三言葉が交わされた後、ジュニアが忌々しそうに「覚えておれ!」 と捨て台詞を吐いで帰っていった。  さ、もう少し屈辱を与えておこう。  僕は念の為集めていた男たちに鬨の声を上げさせる。  勝ち誇って見せたのだ。  これできっと次に来るのもオルバック家になる。  それも大将にジュニアを立ててさ。  功立て名を挙げてこそ騎士ってもんだ。  辺境の集落から税を取り立てられずに逃げ帰ってきたなんて、こんな不名誉ないからね。  騎士の名誉ってのはこの世界でも重要だろ?

  • 僕だってチートがあれば苦労なんてしていない    五日ぶりの温かい飯

    「で、僕のステータスはどうやったら確認できるの?」「なにそれ、美味しいの?」 え?「うそうそ、そんな便利機能現実世界にあるわけないじゃない」 だよねー。「数値が知りたいなら体力測定とかIQ検査でもしてみる?」「それって実際あてになるの?」「参考程度には」 だめじゃん、そんなの。「まぁまぁ。ホラ、そろそろ準備始めなきゃまた木の上で寝ることになるよ」 リリムに言われて気がついた。  お日様がだいぶ西に傾いているらしく、僕の影

  • 僕だってチートがあれば苦労なんてしていない    泣ぬれるは枝の上

    「逃げたのはガキ一匹か」 と、僕の真下で傷だらけのごつい男が言っている。  こいつが盗賊団の頭目と見た。「へい、多分」「多分だと!?」「へ、へ……」 あたふたした下っ端が頭目にぶん殴られ、仰向けにぶっ倒れる。  気絶してろ!  盛大に気絶してろよ、でなきゃここにいることがバレる。  僕の祈りは天に通じたのか、そいつは白目をむいて動かない。「このさらに奥に行ったかもしれませんぜ」「ならいい」 頭目は、一言吐き捨てて踵

  • 僕だってチートがあれば苦労なんてしていない    晩秋の枝の上で八方塞がり

     さて、ここからは前世の記憶をフル活用だ。  襲ってきたのは、十数人の盗賊団。村には女子供を含めて三十人ちょっと。ここは本当に農村の一集落だった。  ん? この世界は前世知識的にどれくらいの文明水準なんだ?  くそっ、ど田舎の未成年じゃ参照知識がなさすぎる。  異世界転生ものならそれなりの環境に生まれ直させろっての。  ──って言っても仕方ないわけで、そもそもテンプレの神様にあった記憶がない。  現世の記憶を手繰り寄せてもなろう系のお作法である知ってるゲーム世界的な場所でもなさそうだ。  あ、もっとも僕、

  • 僕だってチートがあれば苦労なんてしていない    朱夏-ある中年のつぶやき-

    「人生やり直せたらなぁ……」 そう思っていたことが僕にもありました。 ありましたが……。 だからってこれはないんじゃないでしょうか? こんな状態で前世の記憶が蘇るとか、神様の仕業だとしたら「あんたバカぁ!?」って罵ってやりたい。 いいや、一発殴らせろ。 こんな切羽詰まった状態だが、現在の状況を冷静に確認分析だ。 まず、ここは村はずれの雑木林をちょっと入

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