ANMELDEN※
あんな事があった翌朝、俺は隣で裸のまま呑気に惰眠を貪るダリアを見下ろしてため息をついた。
この女は一体何者なんだ? 本当に慰み者として招集された女なのか? 何かの手違いで紛れ込んだサキュバスではないのか?
そんな疑問が次から次へと脳裏を過る。
俺は落ちていたドレスをダリアに着せると毛布をしっかりかけて天幕を出た。
戦場へ向かい味方陣営のテントに入ると、そこには別の場所で野営している友人であり部下でもある宰相のアーノルドと、同じく友人で騎士団長のセルクが渋い顔をして戦況図を覗き込んでいる。
「どうだ?」
「ああ、オズ、おはよう」
「オズ、今日はゆっくりだったな。ん?」
セルクは振り返るなり俺の顔を見て首を傾げた。
「なんだ」
「いや、何か今日は随分と機嫌が良さそうだな」
「そうか?」
言われて俺は気づく。確かにいつもよりも身体が軽い気がする。そう、まるで三年前のように。
「言われてみれば……何か良い事あったの」
「特に無いな」
これは嘘だ。良いことならあった。何せどれほど頑張っても、何をしても勃たなかったこの俺の息子が、たった一度とは言え勃った上に射精まで出来たのだから。
けれどこれは絶対に言えない。俺は真顔で答えると、戦況図を覗き込んで地図を指差す。
「ここから攻めてはどうだ。騎馬隊をここに配置し、一気に叩く」
「それは良いけど、そんな技術がうちの騎馬隊にあると思う?」
「ある。もちろん報奨も出す。今回は手強い。ここで叩いておかないと、あちらのマシューが出てくると厄介だ」
マシューは隣国の英雄だ。気高く勇ましく美しい、白亜の騎士と呼ばれる程の剣の腕の持ち主で、あの男が出ると必ず相手国は負けるとまで言われている。
実際マシューが制した戦争は数知れず、今回は初めてうちとの一騎打ちになるという事で話題にもなっていた。
この時代の戦争は、はるか昔の戦争とは違って明確なルールがいくつも設けられている。戦争に負けたからと言ってその国がどこかの属国になる事はないが、国のランクが落ちるのだ。ランクが落ちると世界会議で意見が通りにくくなってしまう。予算が減らされ、それこそ国民を養えなくなってしまう。だから何としてでもこの戦争には勝たなければならない。
俺達はそれぞれに指揮を執り、今日も戦いに明け暮れた。
日が傾き、今日の戦いが終わってアーノルドとセルクと共に近くの温泉に向かい明日の指標を立ててから慰み者のテントであのリストを借りてもう一度目を通したが、そのどこにもダリアという名前は無かった。
※
私はオズワルドのベッドで目を覚ました。あれほど脱ぎ散らかしたドレスを私はしっかりと着込んでいて、ちゃんと毛布までかけられている。
「ふぁ……ねっむい」
結局オズワルドの頑固な屹立が射精するまで朝方までかかってしまってすっかり寝不足だ。
私は大きく伸びをして天幕から出ると、天幕の前に真っ白の軍服を着た兵士が険しい顔をして立っている。
「おはようございます。お勤めご苦労さまです」
そう言って私が天幕から去ろうとすると、目の前を剣で塞がれた。
「駄目だ。今日はお前をこの天幕から出すなと言われている。食事もここに運ぶ。お前は今日は戻れんぞ!」
「はあ、分かりました」
食事を運んでくれるのなら別に文句は無い。
私の反応にキョトンとしている兵士を横目に天幕の中に戻ると、しばらくして食事が運ばれてきた。それはこの世界にやってきてから初めての豪華な食事で、思わずゴクリと喉を鳴らしてしまう。
ところでオズワルドというのはどれほどの地位の人間なのだろうか。こんなにも豪華な天幕を充てがわれるだなんて、きっと思っていたよりもずっと地位の高い人間なのだろう。そんな人が勃たないだなんて、そりゃ誰にも言えないだろう。
「なんか可哀想……仕方ないから治してやるか~」
お店にはオズワルドのような人も沢山居た。虐めてもらわないと勃たない人や、虐めないと勃たない厄介な人たちが。もしかしたらオズワルドもその類なのかもしれない。
目が覚めると気分は大分スッキリしていた。隣にオズワルドの姿はもう無いが、相変わらず私はきっちりとナイトドレスを着込み、きちんと毛布までかけられている。 しばらく大きなベッドを堪能するかのようにそこでゴロゴロしていたが、ふと思い立って天幕の外に出ようとした所で——。「おい! 駄目だぞ。王から——」「出すなって言われてる?」 何だか前にも言われたような気がする。そんな事を考えながら兵士の顔を覗き込むと、兵士は真顔で頷いた。「ねぇねぇ、王はどこへ行ったの? 今日は戦闘の日?」「そうだ。ようやく王が前線に出られるんだ」 それはつまり、王が出なければいけないほどこちらの分が悪いということなのだろうか? 「こっちが負けそうなの?」 何気なく言うと、兵士はギョッとしたような顔をして私の口を手で覆ってきた。「お前、そんな事絶対に! 金輪際口にするなよ! そもそもこちらにはあのオズワルド王が居るんだぞ? 負ける訳ないだろうが!」「そうなんだ……強いんだね、王様」「強いどころの騒ぎじゃない! お前、本当に記憶喪失なんだな!?」「だからそう言ってるでしょ! で、どれぐらい強いの? どうして今まで戦場に出なかったの?」 不思議に思って問いかけると、兵士はキョロキョロと辺りを見渡して小声で言った。「ここだけの話だが、王はこの三年程ずっと調子が悪かったんだ。もちろん戦場に出たらそんな風には少しも見せなかったが、覇気がないというか、憔悴しているというか……でも今回は違う。まるで以前の王のように生気に満ち溢れている。だからもうじき戦争は終わる」「そうなんだ」 ……三年前? いやいや、まさかね。そんな事が関係あるとは流石に思えない。 しかしあのオズワルドが本気で戦う所を見てみたい。「それってさ、どっかから見られないの?」「はあ!? 馬鹿言うな! そりゃ確かに戦場を見に来る観覧席はあるが……お前は駄目だぞ。王に言われているんだ。ここから出すな、と」「何よ、他の人は見られるの?」「まぁな。戦況が気になって戦場の敷地内に入る馬鹿が後を立たないから、うちの国ではもう数年前からそうしている」「戦争なのに、ちゃんとルールがあるんだね」「当然だ。好き勝手やっていたら遥か昔の時代みたいにあっという間に国が滅びるだろうが。戦争にも秩序が必要だ。それを提唱したのがオズ
「私の体温感じてもらおうと思って」 そう言ってオズワルドの乳首に舌を這わせると、オズワルドは低く呻いた。甘く噛むと身体をビクリと震わせる。 とてもではないが、つい二週間前には勃たないと言っていた人とは思えない。「はぁ、っ、男の胸でもこんなになるんだな」「当たり前よ。女だって男だって前戯は重要に決まってる。セックスはどっちも達してこそよ」「っ……そ、そうか。おい、そこで喋るな」 震える唇がくすぐったいのか、オズワルドは呻きながら私の頭を抑えようとするが、それでも強く反抗はしない。「ひもちいい?」「っああ」「それじゃあこっひも」 乳首を舐めながらオズワルドの下履きに手を入れると、オズワルドの屹立は既に半分ぐらい勃っている。亀頭からはジワリと先走りが漏れ出し、私の手を濡らした。「うっ、あ!」 亀頭の先からゆっくりと下に向かって扱くと、オズワルドの身体がビクリと反応して、徐々にあの凶悪なほど太くて長くて大きな屹立が出来上がる。「凄いよね、これ」「っ、そ、そうか?」「うん。こんなおっきいのに硬さも十分だし……これは普通の子泣くよ」「な、なぁ、そこで喋るのは止めないか?」「止めない。私病人だから言う事聞いて」「なに、が病人だ! あと、いつも聞いてるぞ。うっ!」 睾丸を軽く握ると、オズワルドが呻いた。「こういう事された事ないの?」「ある訳、ないだろ! 大体の女は、っ、お前みたいにセックスに意欲的では、はぁ……ない、からな」 余程気持ちが良いのか、オズワルドは吐息混じりに言った。そうか、こんな事はこの世界の人たちはしないのか。それは勿体ない。 いや、前世でもここまでするのは大体私達のような人たちだけだったのだろうが……。 そういう職業についていたのでいまいち普通というものが分からないが、私にずっと彼氏が居なかったのは、きっとこういう事だったのだろう。 完全に勃ったオズワルドに満足した私は、布団を剥ぎ取って下履きを脱がせ直接屹立を口に含んだ。その途端、オズワルドの喉奥からくぐもった声が聞こえてくる。「っ! 熱い、な」「ほうれしょ? きもひ良いれしょ?」「だから! そこで喋る、な、くっ!」 口の中でオズワルドの屹立が大きく膨らんだ。そして次の瞬間、ビクビクと脈動して私の喉の奥に熱い白濁液が流れ込んでくる。 それを私は何も考え
「今回が初めてではない。そうだな?」 三人を見下ろして低い声で言うと、それを聞いて男達が急いで首を振る。「お、俺達は初めてです! 裏ルールがあるってこの女に言われて、金払ったら乱暴にしても怪我させても目を瞑るって、それで!」「ほう?」 男の言葉に女を見ると、女は悔しげに顔を歪めて黙っている。沈黙は肯定だ。「いくらでダリアを買ったんだ?」「に、20マールです」「なるほど。お前たちは王の寵愛を受けている女をたったの20マールで買ったのか。そしてお前はそんなはした金でダリアを売ったのか」 思わず漏れたため息に三人はびくりと肩を揺らす。「ダリアは慰み者だ。俺だけの女でもない。だが、最低限のルールはある。慰み者は誰かに金銭で売買されるような存在ではない。お前たちと同じ、国から雇われている者たちだ。その者達を金銭で売買したり怪我させたり首を締めるなど言語道断。今すぐ荷物をまとめてここから去れ。もしも朝までに去っていなければ、その時はお前たちの首を容赦なく刎ねる」 それだけ言って管理テントを後にした。あの管理の女は前王の代からの管理者だが、きっと前王はこんな事すら許していたのだろう。「こんな夜中にすまないが、あいつらを見張っておいてくれ」「はい!」 その後、俺はダリアのテントに向かい、眠りこけるダリアを抱いて自分の天幕に戻った。※ どれぐらい眠っていたのか、次に目が覚めた時には、私はすっかり見慣れたオズワルドの天幕のベッドで眠っていた。何か隣から生き物の気配がしてふと隣を見ると、そこにはオズワルドがうつ伏せですやすやと眠っている。「……なんで?」 よく分からないけれど、どうやら私はここへ運ばれたようだ。まだ熱があるのか少しボーッとするが、腕の痛みは大分良くなっていた。 そんな私に気づいたのか、それまでぐっすり眠っていたオズワルドが身じろぎして目だけをこちらに向けてくる。「起きたのか」「うん。私、どうしてここに居るの?」「俺が運んだからだ。気分はどうだ?」「ちょっとボーッとする。でも大分良いよ」「そうか。一応報告しておこう。お前に無体を働いた二人は解雇した。俺は慰み者を傷つけて良いとは一言も言っていない。ヤり過ぎて気をやるのと、物理で傷つけるのは違う。それからそれを隠蔽していた奴もだ」「隠蔽してたの? 誰が?」「慰み者を管理し
ふと誰かの気配を感じてうっすら目を開けると、ベッドの脇で静かに本を読むオズワルドが居た。「オズ……ワルド?」「ん? ああ、目が覚めたか」「なんで、ここに……?」 私が掠れた声で問いかけると、オズワルドは本を閉じてこちらに近寄ってきて怪訝な顔をしている。「なんだ、お前。体調が悪いのか?」「どう、だろ……怠い……気もする」 よく分からない。確かにフワフワとした浮遊感はあるが、セックスの後は大体いつもこんな感じだ。 オズワルドは眉根を寄せて私のおでこに手を当てると、さらに顔を顰めた。「凄い熱だぞ。いつからだ?」「わか、ないよ。今、何時? ご飯、残しちゃった……」 机の上には一切手を付けていない食事がそのまま置いてある。「今か? 今は深夜の2時だな。何も食べずに眠ったのか?」「……うん……昼から大量の精子飲んでお腹一杯で……」 ぼんやりとした頭で答えると、オズワルドはまた厳しい顔をした。「とりあえず何か食べろ。すぐに薬を持ってこさせる」「いいよ、大丈夫……皆、休んでるでしょ」 皆も疲れ果てているのだ。起こすのは可哀想だ。そう思って言ったのだが、オズワルドは譲らない。 私を抱き起こして机の上に置いてあったスープを一口だけ自分の口に含むと、無理やり私に口づけてきた。「んっ……んん」「美味いか?」「……うん」 濃厚なスープが喉元を通ると、何だか身体の芯がじんわりと温かくなってくる。「ところで、これはどうした? 昨日はこんな物無かっただろう?」 オズワルドが指さしたのは包帯が巻かれた私の腕だ。ふと見ると巻き直した跡がある。きっとオズワルドが気づいて変えてくれたのだろう。「ああ……昼間相手した奴らにやられたの。本当に凶暴なのね、ここの軍人さんは。あと新しいのと変えてくれたんだ……ありがと」 スープで少しだけ回復した私が言うと、オズワルドは小さく舌打ちをして私を睨みつけてきた。「どうしてそういう事を早く言わないんだ。されたのはそれだけか?」「首、締められた。ほら」 そう言って髪をかき上げると、そこには思っていたよりもくっきりと手形が残っていたのだろう。オズワルドは途端に冷たい目をして立ち上がり、無言でテントを出ていく。 私はオズワルドが何をしに来たのかもよく分からないまま、また深い眠りに落ちたのだった。 ※ もう3
慰み者として戦場にやってきて二週間。「あっ、やっ、許して! も、もう……あ、あぁぁ!」 ここは慰み者のテントだ。私は今、二人の男に抱えられ、お尻の穴と前の穴の両方に逞しい屹立を埋められていた。 この二人は今日は休暇のようで、朝からずっと女を抱き続けとうとう昼頃に私の番になった。時間は既に夜。物凄い精力だ。流石軍人である。 この二人に抱き潰された女子達は可哀想に皆放心状態で戻ってきた。身体のあちこちに傷を作って。「おら! もっと啼けよ!」「前ばっか意識すんじゃねぇぞ! 後ろもぶっ潰してやる!」何が気に入らないのか、男がナイフを取り出した。そしてそれで私の腕を遠慮なく切りつけてきたのだ。「きゃあっ!!!」 流石に驚いた私の蜜壺が、ギュッと締まったのがいけなかった。後ろの男も私の首筋を舐めながら今度は首を締めてくる。「っぐ、がはっ……ちょ、く、くる、しい……」 嬢をやっていた時でもここまでの乱暴者は居なかった。またここでも殺されるのか——そう思ったその時、男たちは低く呻いてようやく私の中に欲望を吐き出す。「あぁ……おい、こいつ名器だな! 王が何度も呼ぶわけだ」「ああ、まじでヤバい……はぁ、流石に今日はもう無理だ……おいお前! この事は口外するなよ!」「ごほっ! っふ、う……」 感じた事の無い感覚に私が首を抑えてぐったりしていると、男たちは満足したかのように私をその場に放りだしてさっさとテントを去っていく。 そこへ慰み者を世話する女性がやってきた。「大丈夫!? 中に出された?」「う、うん、何とか。あと、思いっきり出された」 喉を抑えて咳き込む私の背中を女性はさすってくれる。ついでに水で全身にかかった白濁液を綺麗に洗い流し、怪我の手当までしてくれた。「ありがと」「ううん、いいの……だってこの後はその……王様のお相手、でしょ?」「どうかな。ここの所立て続けに続けて呼ばれたから、流石に今日は違うと思う」 オズワルドは約2週間前にとうとう自分から私を抱けるようになった。それからも練習と称してほぼ毎晩呼ばれていたが、そろそろそれを試すのではないだろうか。何だか寂しい気もするが、元々私は今みたいに乱暴に犯される為にここへやってきたのだ。 私の答えに女性は納得したように頷いた。「今まで王様のお相手をした子は皆、泣きながら帰ってきたの。
「流石に疲れているか」 今日も相手を頼もうと思っていたが、ダリアの勤務リストを思い出して自分の天幕に戻った。 ダリアはここへ来てからただの一度も休んでいない。それほどまでに金に困っているのか何なのか分からないが、彼女にはどうしてもそれほどまでに働かないといけない事情があるようだ。「多額の借金でもあるのか?」 そう思いつつふとベッドに転がると、ふわりとダリアの匂いがする。「っ」 俺はその香りに思わず息を呑んだ。息子が起き上がってしまったのだ。「……冗談だろ」 これはいよいよ本当に壊れてしまったのか? そう思いつつ自分で扱こうかとも思ったが、ふと思い直して天幕を出て慰み者を管理しているテントに向かった。 突然現れた俺を見て管理者は慌てたようにリストを取り出す。「王! 誰かご指名ですか? ダリアはその、今日は少し……」 ダリアが今日は既に休んでいる事は知っているので、言い淀んだ管理係の言葉に俺は首を振った。「今日は違う女を寄越してくれ。誰でも良い」「は、はい!」 これはちょうど良い機会だ。ダリアを自分から抱けるようになったのだから、そろそろ他の女でも試してみようと思ったのだ。 天幕に戻りしばらくすると、一人の女が外から声をかけてきた。「入れ」 いつもの調子で声をかけると女は緊張した様子でやってきて、深々と頭を下げる。その手と足は少し震えていて、それを見て少しだけ萎えてしまった。「お、お初にお目にかかります。わ、私、リサと申します。今宵はどうぞよろしくお願いいたします」「ああ」 名前など毛頭覚えるつもりもないが、一応返事をしておく。それよりもこれ以上萎えないうちにさっさと始めたかったのだが、リサは震える声で自分はどの町からやってきたのだとか、俺の好きな食べ物は何かなどとどうでも良い事を尋ねてくる。 このままではいつまでも始まらないと思った俺は、リサに言った。「もう話は良い。脱げ」「は、はい!」 リサはそう言って後ろを向いてドレスを脱ぎ始めた。丁寧に脱いだドレスをたたみ、コルセットのリボンをゆっくりと解き、下着姿になってベッドに横たわる。 この時点で俺はずっとリサとダリアを知らぬ間に比べていた。 ダリアは脱げと言えばいつも嬉しそうに頷き、むしろ脱げと言わなくても勝手に脱ぎだす。後ろなど絶対に向かない。何なら俺の膝の上に乗っ







