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11話

مؤلف: 東雲桃矢
last update تاريخ النشر: 2026-09-18 20:00:23

 ベルメリオの正体を知った翌日、ルベルはメイド長に呼び出された。

「ルーさん。あなたは今日から、騎士団の宿舎で働いてもらいます」

「騎士団の?」

 騎士団と聞いて思い出すのは、ベルメリオのこと。きっと彼が手配してくれたのだろう。

「部屋も宿舎になりますので、今すぐ荷物をまとめて宿舎に移動してください」

「はい、分かりました」

 寄宿舎に住み込むと聞いた瞬間、心が軽くなった。寄宿舎と城は同じ敷地内にあるが、かなり距離がある。

 アーロは腐っても王子。公務で忙しくて、わざわざ嫌がらせをするために、寄宿舎に来る暇などないだろう。これはアリアにも言えることで、彼女もまた、寄宿舎に来る暇はないはずだ。何より、男だらけでむさ苦しい場所など、彼女が足を踏み入れるわけがない。

(よかった、距離を置けるのね……)

 ルベルは荷物をまとめに行くために、地下室に向かう。途中、アリアと鉢合うと、彼女はルベルを睨みつけた。

「騎士様のところに行って、守ってもらえると思
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  • 十字架の傷〜愛と傷を重ねて〜   19話

     セキナは一旦部屋に戻り、薄桃色の可愛いバッグを持ってきた。「これ、前にあんたの部屋にいた子が忘れてったバッグ。この前遊びに来た時に渡したら、使う機会ないからってくれたんだよ。けど、私が使うには可愛すぎるし、ほとんど新品だから、捨てるのももったいないだろ? あんたが使っておくれ。そのまま財布を持ち歩いてたら、盗まれちまうからね」「ありがとうございます」 ルベルは素直にバッグを受け取って、財布をしまう。大金が入った財布をそのまま持ち歩くのは、不安だった。「出かける前に、少し食べていきな。市場は活気があるから、気圧されちまうしね」 セキナと一緒に厨房に行くと、彼女はサンドイッチを作ってくれた。「さ、お食べ」「はい、ありがとうございます」 野菜と分厚いベーコンがはさまったサンドイッチはバランスが取れているが、肉まみれのあのサンドイッチが少し恋しくなった。 食事を終わらせて外に行くと、ベルメリオが待っていた。「すいません、おまたせしてしまって」「大して待ってないから気にするな。そのバッグは?」 ベルメリオはベリルが肩にかけているバッグを、訝しげな目で見る。「前にいたメイドさんの忘れ物だそうです。セキナさんからもらいました。御本人もセキナさんも、もう使わないそうで」「そうか。よく似合っている。行こうか。もう市場が開いてるはずだ」「はい」 城を出て市場に行く。セキナが言ってた通りとてもにぎやかで、見てるだけでもわくわくする。「欲しいものはあるか?」「えっと……、あまり考えてなくて……」「それなら、一通り見て回るか」「はい」 ふたりで市場を見て回る。ルベルは産まれてこの方、店で買い物をしたことがなかった。商人が城に商品を運び、そこから選ぶだけだった。だからこうして店に行くのは新鮮だ。(ベルにあのこと、伝えなくちゃ……) ルベルは立ち止まり、ベルメリオの袖を軽く引く。ベルメリオは不思議そうな顔をして

  • 十字架の傷〜愛と傷を重ねて〜   18話

     翌朝、紙袋を開けてワンピースを取り出すと、底に財布が入っていた。開けてみると大金が入っている。「こ、こんなに!?」 昨晩ベルメリオは、支払われてこなかった3年分だと思えと言っていた。彼が言っていた通り、3年分と考えるには少ない額ではあるが、それでも目の前にあるのは大金だ。「断ろうかしら……。でも……」 使用人達の世間話などを聞いて、庶民に近い金銭感覚が身についてきたが、自分自身で買い物をしたことがないルベルは、お金の使い方を知らない。 彼の厚意を考えると断るのは失礼だと思い直し、ワンピースに着替えて髪を整えてから部屋を出る。メイドキャップで髪を隠そうと思ったが、あまりにもワンピースと合わないため、おろして行くことにした。 同じタイミングで部屋を出たセキナと鉢合った。セキナはルベルを見るなり目を輝かせ、隠し続けていた赤髪を見る。「おや、可愛いじゃないか! それに、立派な赤髪だねぇ。メイドキャップで隠すのがもったいないよ!せっかく髪留めあるんだから、使えばいいのに」「セキナさん……。おはようございます。でも、この国では赤髪は嫌われてますから……」「あっはっは、実はここでは、そんなことはないのさ」「え?」 ルベルは耳を疑った。ヘルシャフトの城で短期間王女として過ごしていた時期があったが、それでも使用人達はどこか冷たかった。異国の王女にも偏見の目を向ける城で、赤髪を気にしない人などいるのだろうか?「昨日、騎士は王族や貴族の3男坊から下が多いって話したの、覚えてるかい?」「はい。長男は跡取りとして、次男は念の為に、予備のような存在で家に置かれると……」 自然と眉間にシワが寄る。思い返してもひどい話だ。自分達で産んでおきながら、長男が健やかに育てば邪魔扱いなど、あってはならない。「実はね、長男や次男だった子達もここにいるんだ」「え? なんでまた……」 大抵の国や家は、無条件で長男を

  • 十字架の傷〜愛と傷を重ねて〜   17話

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  • 十字架の傷〜愛と傷を重ねて〜   16話

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    「では、ここは皆様の心の拠り所になっているのですね」 ルベルの言葉にセキナは一瞬きょとんとして、腹を揺らしながら笑った。「あっはっは、そんないい話でもないよ。食い扶持減らしに、ここに子供を押し付けてるようなモンだからねぇ。けどまぁ、同情する必要もないだろ。皆ここに来る時は死人みたいな顔をしてるけど、1ヶ月もすりゃ、生き生きしてるんだからね」「やっぱり、素敵な場所だと思います」「アンタがそう思うのなら、そうなんだろうね」 セキナは嬉しそうに目を細める。「では、他の兵士さんはどちらに?」「あ? あぁ。あいつらは街の傭兵や警備兵さ。一部は城の敷地内に住んでるけど、上澄みだけだし、別の宿舎に住んでる。大半のやつらは、街にいるよ」「そうだったんですね」「さ、おしゃべりはここまで。とっとと洗って、掃除するよ」「はい!」「ふふ、いい返事だ。頼りにしてるよ」 ふたりで約60人分の食器を洗ったあとは、ふたりで5階に行き、部屋の掃き掃除と布団干しをした。 3階から5階は役職を持たない騎士達の部屋で、一部屋にふたりから4人が生活をしている。 5階の布団干しが終わると、ルベルは4階、セキナは3階の掃除をし、2階はセキナに色々教えてもらいながら掃除をしていく。「2階は各部隊の隊長様の部屋さ。といっても、今は騎士団の規模が小さいから、隊長も3人しかいないんだけどね」「多い時は何人いたんですか?」「100人はいたかねぇ。元は貴族の子だから、長男が死んで、家に戻されるヤツもいるのさ」「複雑ですね……」「ははっ、そうだねぇ。ま、平民の私らには関係のないことさ」 2階には6部屋ある。セキナはどこが空き部屋かをルベルに教えながら掃除していく。隊長の部屋は、他の騎士たちの部屋よりも丁寧に掃除をする。「最後は1階。ついでに私らの部屋も掃除するよ。ま、あんたの部屋は綺麗だから大丈夫だろうけど」「まずは団長の部屋さ。あの人、潔癖症なところがあるから、ここは特に丁寧にね。本棚に触ると怒るから、そっちは放置でいい」

  • 十字架の傷〜愛と傷を重ねて〜   14話

    「こんな贅沢品が……」 王女時代には当たり前のものだった品々が、贅沢品に見える。それだけ生活水準が落ちていたと実感し、ため息が出る。アーロ達はそれだけルベルを追い込んでいたということだ。 引き出しを元に戻して厨房に行くと、騎士達は食事を終えたらしく、ひとりもいなかった。「随分早かったね。食器を片付けるのを手伝っておくれ」「はい、分かりました」「まずは油がついたお皿をさげるよ。メインが乗ってたこの皿だ」 セキナは1番大きなお皿を回収していく。ルベルも同じお皿を回収する。「こっちだ、おいで」「はい」 お皿を持って厨房に入ると、ふたつあるシンクのうち、ひとつが石鹸水で満たされていた。セキナは石鹸水の中に回収した食器を入れていく。「油ものはまず、石鹸水につけて油を浮かせる。その間、他の食器を洗っていくよ」「はい、分かりました」「あんたは引き続き、油がついた皿をこっちのシンクに入れていっておくれ」「はい」 ルベルは言われた通り、お皿を回収しては、シンクに入れていく。一段落したところで、あることに気づく。「あの、セキナさん」「なんだい?」 セキナはお皿を洗いながら返事をする。「お皿の数、少ないような気がします。騎士団の方って、数百人規模だったように思いますが……」 ルベルは王女時代にヘルシャフトの行進を見たことがある。その時は数百人もの兵士達が、街を練り歩いていて圧巻されたのを、今も覚えている。 だが、今回収したお皿は60枚前後と、あの行進のことを考えるととても少ない。「あっはっは、騎士と兵士は別だからね」「別、ですか?」「私もそこまで詳しいことは知らないけどね、騎士ってのは、家にいづらくなった貴族の集まりなんだよ。 王族や貴族は、お世継ぎが大事だろ? 長男が事故や病気で死んでも困らないように、何人か子供をこさえるんだってさ。大抵は次男坊までは大事に育てられるけど、それより下の子は厄介者扱いさ。ひどい話だろ? 中に

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