Home / BL / 名探偵シュウと秘密の校舎 / Ep25:モールの真実(亀裂の深まり)

Share

Ep25:モールの真実(亀裂の深まり)

Author: ちばぢぃ
last update Last Updated: 2025-07-04 11:00:19

星見キッズは、星見モールで起きた刺傷事件の解決に挑んでいた。

被害者の山田美咲は命を取り留めたが、黒いフードの人物が吹き抜けで刺し、2階へ逃走する姿がカメラに映っていた。目撃者が多いにもかかわらず犯人の顔が見られていない謎と、時間的なアリバイの矛盾が事件を複雑にしていた。

犯人は山田美咲の元同僚、佐藤健太郎と判明したが、彼のアリバイが固く、トリックが解けない状況だった。シュウはタクミへの感情が抑えきれず、チームワークが乱れ、メンバー間の緊張が高まっていた。

タクミの家のリビングで作戦会議を終えた星見キッズは、モールでの調査を続けていた。

シャンデリアの反射が犯人の顔を隠したトリックと、佐藤健太郎が裏口から逃走した映像が手がかりとなったが、吹き抜けから反対側のエリアへ5分で移動する時間的な矛盾が解けていなかった。

シュウはノートに書き込みながら考えを整理した。

「佐藤健太郎が犯人なら、吹き抜けで刺した後、どうやって5分で反対側に移動したんだ…? 時間的に無理だ。トリックがもう一つあるはず」

タクミがタブレットでモールの構造図を確認し、

「シュウ、モールの時計塔があるよね。事件の時刻、カメラのタイムスタンプだけで判断してるけど…もし時計が狂ってたら?」と提案した。

「タクミ、すごい着眼点だ! 時計塔の時間がズレてたら、事件の時刻が違う可能性がある…!」シュウが目を輝かせ、タクミの手を握った。

カナエが冷たく言った。「シュウ、またタクミばっかり…。私たちも手がかり探してるんだから、ちゃんと見てよ」

「ごめん、カナエ…。タクミのアイデアがすごくて…」シュウが謝ったが、チームの空気は重かった。

星見キッズはモールの時計塔に向かった。1階の吹き抜けを見下ろす位置にある時計塔は、モール全体の時間を示すシンボルだった。

Continue to read this book for free
Scan code to download App
Locked Chapter

Latest chapter

  • 名探偵シュウと秘密の校舎   Ep29:年末年始の穏やかな日々

    クリスマスの熱気も落ち着き、星見市は年末年始のまったりした雰囲気に包まれていた。街のイルミネーションはまだ輝きを保ち、商店街にはおせちの食材を求める人々や、初詣の準備をする家族の姿が見られた。冬休みに入った星見小学校の生徒たちは、家族と過ごす時間や、近しい友人と過ごす穏やかな日々を楽しんでいた。星見キッズは、公園での刺傷事件を解決した後、一時的に再結集したものの、チームの亀裂は依然として残っていた。シュウのタクミへの感情が原因で、カナエ、ケンタ、リナとの距離は埋まらず、5人が完全に元の絆を取り戻すにはまだ時間がかかっていた。シュウは自宅の暖かいリビングで、家族と過ごしていた。窓の外には雪が積もり、クリスマスツリーの飾りがまだ残る中、母が「お正月用の餅つき、シュウも手伝ってね」と笑顔で声をかけた。「うん、母さん…。手伝うよ」シュウは曖昧に答え、ノートを手に持っていた。ノートには、公園事件の記録と「次はお前が…見つけるまで」「次の事件は新年」という犯人のメッセージが書き込まれていた。「タクミ…。君の笑顔が頭から離れない。でも、みんなが距離を取ってる…。僕、どうすればいいんだ…」シュウはメガネを外し、目を閉じた。母が近づき、「シュウ、最近考え込んでいるみたいね。何かあった?」と尋ねたが、「…ううん、大丈夫だよ。友達とのことで、少し悩んでて…」シュウは曖昧に答え、母に心配をかけたくなかった。 その夜、シュウは家族と一緒にテレビを見ながら、餅を焼いて食べた。父が「シュウ、今年もよく頑張ったな。来年も元気にね」と肩を叩き、シュウは小さく笑った。「うん…ありがとう、父さん。でも、星見キッズのこと…。来年、ちゃんと向き合いたい…」シュウは心の中で呟いた。タクミの無垢な笑顔が浮かび、ショタコンとしての感情が再び胸をざわつかせた。「この気持ちを抑えるか、受

  • 名探偵シュウと秘密の校舎   Ep28:雪の公園の謎(再結集の兆し)

    12月26日、クリスマスの翌日、星見市は新たな事件に揺れていた。星見モール近くの公園で、ジョギング中の田中一郎(42歳)が刺され、意識不明の重体に陥った。現場には「次はお前が…見つけるまで」と書かれた脅迫文が残され、モール事件と同じ犯人の関与が疑われた。星見キッズは分裂状態にあり、シュウが一人で調査に挑んでいた。シュウのタクミへの感情が原因でチームワークが乱れ、カナエ、ケンタ、リナは距離を取っていた。高木刑事がシュウに協力を依頼し、シュウは犯人が自分を標的にしている可能性に直面していた。 シュウは雪が降り続ける公園で、現場を詳しく調べていた。血痕が残る小道、脅迫文が落ちていたベンチの近く、そして雪に残る足跡……シュウはノートに状況を書き込みながら考えを巡らせた。「犯人の足跡は成人男性のサイズ。モール事件と同じ黒いフードの人物…。『次はお前が…見つけるまで』って、僕を挑発してる。トリックがあるはず…」シュウは雪の中を歩き、公園の周囲を注意深く観察した。木々の影、ゴミ箱の裏、凍った池の近く――何かを見逃さないよう目を凝らした。 高木刑事が近づき、「シュウ、何か見つけたか? 犯人が君を標的にしてるなら、危険だ。保護した方がいい」と心配そうに言った。「高木刑事、ありがとう。でも、犯人を捕まえないと…。この脅迫文、僕が解くべき謎なんだと思います」シュウはノートを手に決意を込めた。高木が頷き、「分かった。だが、無理はするな。君一人じゃ心細いだろう…。星見キッズの仲間は…」と尋ねると、シュウが目を伏せた。「…みんな、僕と距離を取ってる。僕が原因で…。でも、一人でやります」シュウは公園の池の近くで、小さなプラスチック片を見つけた。「これ…ナイフの柄の一部だ! 血痕も付いてる。犯人が捨てたんだ…」シュウがビニール袋に証拠を入れ、高木に渡した。「高木刑事、これを鑑定してくださ

  • 名探偵シュウと秘密の校舎   Ep27:クリスマス後の影(新たな危機)

    12月26日、クリスマスが終わった星見市は、各家庭で年越しの準備が始まった。昨夜のイルミネーションがまだ街を彩る中、冬休みに入った星見小学校の生徒たちは家族と過ごしたり、友人との時間を楽しんだりしていた。星見キッズも例外ではなかったが、彼らの間には深い亀裂が走っていた。シュウのタクミへの過剰な感情が原因で、ケンタ、カナエ、リナはシュウと距離を取ることを決め、5人が一緒に過ごすことはなくなっていた。クリスマスの夜、シュウはタクミを遠くから見つめるしかできず、チームの絆は冷え切っていた。  その朝、シュウは自宅の部屋で一人、窓の外の雪景色を見つめていた。クリスマスツリーの飾りが残る近所の家々から笑い声が聞こえ、シュウの心はさらに重くなった。「星見キッズ…。僕が壊してしまった。タクミへの気持ちを抑えられなかったせいで、みんなが離れて行った…」シュウはノートを開き、過去の事件を振り返った。田村悠斗の事件、文化祭の爆弾脅迫、モールの刺傷事件……星見キッズはいつも団結して乗り越えてきたのに、今は一人でいるしかなかった。「タクミ…。君の笑顔が好きすぎて、みんなを傷つけた。どうすればいいんだ…」シュウはメガネを外し、目をこすった。 一方、カナエ、ケンタ、リナは別々に過ごしていた。カナエは自宅で本を読みながら、クリスマスの楽しさを振り返っていた。「シュウとタクミがいないと、なんだか物足りない…。でも、あのままじゃチームとしてやっていけないよね…」ケンタは近所の公園でサッカーボールを蹴り、「シュウがタクミばっかり気にしてたの、辛かったけど…星見キッズ、解散したくないよ」と呟いた。リナはスケッチブックに雪の風景を描き、「シュウの気持ち、分からなくはないけど…。いつか5人でまた笑えたらいいな…」と願いを込めた。タクミは自宅でタブレットを手に、星見キッズの写真を見ながら、「シュウ…みんな…。どうしてこうなっちゃったんだろう

  • 名探偵シュウと秘密の校舎   Ep26:冬休みの距離(クリスマスの街で)

    12月に入り、星見小学校は冬休みを迎えていた。星見キッズは、星見モールでの刺傷事件を解決したが、シュウのタクミへの感情が原因でチームワークに大きな亀裂が入っていた。シュウがショタコンとしての自分を告白した後、カナエ、ケンタ、リナはシュウと距離を取ることを決め、星見キッズが5人で集まることはなくなっていた。街はクリスマスの装飾で彩られ、イルミネーションが輝く中、星見キッズの心は冷たく凍りついていた。シュウは自宅の部屋でノートを手に、過去の事件を振り返っていた。窓の外では、近所の家々がクリスマスツリーのライトで飾られ、子供たちの笑い声が響いていた。「星見キッズ…もうダメなのかな…。僕がタクミのことばかり気にして、みんなを傷つけたから…」シュウはメガネを外し、目をこすった。タクミの無垢な笑顔が頭に浮かび、心が締め付けられた。「タクミ…会いたい。でも、みんながこんな気持ちじゃ、僕がそばにいるのは良くない…」シュウはノートを閉じ、ため息をついた。 一方、カナエ、ケンタ、リナは街の中心にある広場でクリスマスマーケットを楽しんでいた。広場は大きなクリスマスツリーが飾られ、屋台が立ち並び、ホットチョコレートの甘い香りが漂っていた。ケンタがホットドッグを手に、「このソーセージ、めっちゃ美味しい! カナエ、リナ、食べる?」と笑顔で振る舞った。「うん、ありがとう、ケンタ! クリスマスマーケット、楽しいね」カナエがホットチョコレートを飲みながら答えた。リナがスケッチブックに広場の風景を書きながら、「うん、クリスマスの雰囲気、癒される…。でも、シュウとタクミがいないの、寂しいね…」と呟いた。 カナエがカップを手にため息をついた。「シュウ…正直、あの告白には驚いたよ。タクミのこと、そんな風に思ってるなんて…。でも、チームとして動くなら、感情を抑えてほしかった。シュウがタクミばっかり気にして、私た

  • 名探偵シュウと秘密の校舎   Ep25:モールの真実(亀裂の深まり)

    星見キッズは、星見モールで起きた刺傷事件の解決に挑んでいた。被害者の山田美咲は命を取り留めたが、黒いフードの人物が吹き抜けで刺し、2階へ逃走する姿がカメラに映っていた。目撃者が多いにもかかわらず犯人の顔が見られていない謎と、時間的なアリバイの矛盾が事件を複雑にしていた。犯人は山田美咲の元同僚、佐藤健太郎と判明したが、彼のアリバイが固く、トリックが解けない状況だった。シュウはタクミへの感情が抑えきれず、チームワークが乱れ、メンバー間の緊張が高まっていた。 タクミの家のリビングで作戦会議を終えた星見キッズは、モールでの調査を続けていた。シャンデリアの反射が犯人の顔を隠したトリックと、佐藤健太郎が裏口から逃走した映像が手がかりとなったが、吹き抜けから反対側のエリアへ5分で移動する時間的な矛盾が解けていなかった。シュウはノートに書き込みながら考えを整理した。「佐藤健太郎が犯人なら、吹き抜けで刺した後、どうやって5分で反対側に移動したんだ…? 時間的に無理だ。トリックがもう一つあるはず」 タクミがタブレットでモールの構造図を確認し、「シュウ、モールの時計塔があるよね。事件の時刻、カメラのタイムスタンプだけで判断してるけど…もし時計が狂ってたら?」と提案した。「タクミ、すごい着眼点だ! 時計塔の時間がズレてたら、事件の時刻が違う可能性がある…!」シュウが目を輝かせ、タクミの手を握った。カナエが冷たく言った。「シュウ、またタクミばっかり…。私たちも手がかり探してるんだから、ちゃんと見てよ」「ごめん、カナエ…。タクミのアイデアがすごくて…」シュウが謝ったが、チームの空気は重かった。 星見キッズはモールの時計塔に向かった。1階の吹き抜けを見下ろす位置にある時計塔は、モール全体の時間を示すシンボルだった。

  • 名探偵シュウと秘密の校舎   Ep24:モールの謎(深まる謎)

    星見キッズは、タクミの家での泊まり会の翌日、近所の星見モールで起きた刺傷事件に巻き込まれた。被害者の山田美咲は命を取り留めたが、黒いフードの人物が吹き抜けで刺し、2階へ逃走する姿がカメラに映っていた。目撃者が多いにもかかわらず犯人の顔が見られていない謎と、現場に残された「次はお前が…」という脅迫文が事件を複雑にしていた。シュウはタクミへの感情が抑えきれず、チームワークが乱れ始めていた。事件当日、モールでの初動調査を終えた星見キッズは、タクミの家のリビングで作戦会議を開いていた。シュウがノートを広げ、状況を整理した。「黒いフードの人物が吹き抜けで山田美咲さんを刺し、2階へ逃走。凶器は見つからず、目撃者が多いのに顔が見られていない。脅迫文には『次はお前が…』とある。トリックが何か…。高木刑事でも解けない謎だ」タクミがタブレットを手に提案した。「シュウ、2階のカメラ映像、もっと詳しく見る? 何か見落としがあるかも」「うん、タクミ、頼むよ…」シュウはタクミに微笑んだが、他のメンバーの表情は曇っていた。カナエが静かに口を開いた。「シュウ、さっきからタクミの意見ばかり聞いてるけど、私たちの声も聞いてほしい。チームで解決するんだよね?」「そうだよ、シュウ。僕が見つけた柱の傷とか、リナのスケッチも重要な手がかりだと思うんだけど…」ケンタが少し苛立った声で言った。リナがスケッチブックを手に呟いた。「シュウ、タクミのこと大事なのは分かるけど、みんなで協力しないと…」シュウは一瞬言葉に詰まり、ノートに目を落とした。「ごめん…。みんなの言う通りだ。僕が…集中できてなくて」シュウの視線がタクミの無垢な横顔に向かい、心がまた揺らいだ。タクミが「僕、大丈夫だよ。シュウ、みんなで頑張ろう?」と笑顔で言うと、シュウは「うん、タクミ…ありがとう」と呟いたが、内心の葛藤は深まるばかりだった。タク

More Chapters
Explore and read good novels for free
Free access to a vast number of good novels on GoodNovel app. Download the books you like and read anywhere & anytime.
Read books for free on the app
SCAN CODE TO READ ON APP
DMCA.com Protection Status