LOGIN「おう、全員──気合い入れろ!これより森の調査に向かうぞ!」
レクスの掛け声と共に皆が一斉に声を出す。 『おー!!』 レクス率いる調査隊は、俺を含めて10名。 近接・中距離・遠距離や索敵のバランスが緻密《ちみつ》に整えられ、魔術の構成に一切の無駄がない。 探知・索敵役には五感強化魔術の使い手が配属されており、魔力を感知できるフェルータの家系の男も参加していた。 アーコブとレクスが直々に選んだ隊。 ──まさに精鋭の名にふさわしい布陣だった。 「散開!!」 レクスの号令で、隊が動く。 声が届くギリギリの十メートル間隔で並び、森を横断して進む。 これしきのペースで遅れをとるほど、俺は柔《やわ》な人生を送ってきてはいない。 見た目は貧弱な少年かもしれないが、体力と、いざという時に逃げるための高速歩法には絶対の自信がある。 俺は常《つね》に息一つ乱さず、隊の速度について行った。 数分後──数十メートル先にビッググリズリーが現れた。 それを視認した隊員から掛け声が飛ぶ。 だが、誰も勝手には動かない。 まずは上の判断を待つ。 それが組織で動く場合の鉄則だ。 「頼む、クソガキ!!」 「……!」 レクスの指示が飛んだ瞬間、俺はぴたりと足を止め、腰のナイフを抜いた。 そして、冷たく狙いを定める。 ビッググリズリーはまだこちらの気配に気づいていない。 「シッ……!!」 短く呼気を吐き、ナイフを振るう。 その瞬間、俺の奥底から鋭い殺気《こきゅう》が漏れ出した。 空気を切り裂くように放たれた斬撃。 俺のどす黒い殺意《いのり》が魔力によって不可視の刃となり、目視すら困難な速度で熊の首を捉える。 ――たった、一撃。 熊の巨大な頭部が容易く宙を舞い、鮮血を撒き散らしながらどこかへ飛んでいく。 頭を失った巨体が、遅れて地に崩れ落ちた。 だが、隊は止まらない。 俺も熊が動かなくなった事を確認すると、すぐに走りを再開させ、隊の列へと追いついた。 俺のポジションは遠距離担当。 斬撃魔術の発動速度を活かし、開幕の先制攻撃役を任されていた。 一撃の殺傷力はあっても、広範囲を制圧するような火力はない。 俺の魔術は、あくまで「個《ひと》を殺す」ことに特化した呪われたモノだ。 俺自身、正面から殴り合うような消耗戦など望んでいなかった。 小一時間ほど走った先で、川に出た。 「──水休憩にするぞ!」 レクスの声に、隊員たちは散開して水を確保する。 周囲の警戒と水分補給のローテーション。 俺の順番が最後に回ってきて、川辺へ向かったとき。 上流から──何かが流れてきた。よく分からないが、ただの流木では無さそうだ。 「レクスさん!何かが川から流れてきます!」 「何だ、クソガキ!何が流れてる!?」 レクスの怒声が響く。 俺は確認するため……いや、違う。 自分でも理由が分からないまま、俺は躊躇《ためら》わず川へ飛び込んでいた。 暗殺者としてあるまじき、リスク度外視の反射行動。 靴とスラックスが水を吸って重くなるが、そんなことは些末な問題だった。 ゆっくりと『それ』を引き寄せる。 掴んだ手触りは──人間の肌。 木などではない事は視認できた。 そして、流されてからまだ時間が経っていない事もなんとなくだが、わかる。 引き寄せたそれは、布に包まれた小さな体。幼い少女だった。 俺は、数秒間、完全に動きを止めた。 濡れた髪。閉じた目。鼻。青ざめた唇。 ──それは前世で、見覚えのある顔だった。 「……なんで──お前が?」 心臓を直接鷲掴《わしづか》みにされ、無理やり止められたかのような錯覚。 思わず、俺をこの世界へ突き落とした『死神』に胸骨を砕かれた記憶がフラッシュバックする。 息が荒くなる。 現実が乖離《かいり》していくような目眩《さっかく》に襲われ、その場に倒れ込みたくなる。 意識とは裏腹に、呼吸と脈拍だけが青天井に速度を跳ね上げていく。 俺がこれほどまでに動揺したのは、血に塗れた前世を含めても、生まれて初めてのことだった。アーコブに思考を読まれた時の比ではない。 「おいガキ!何固まってんだ! さっさと来い!」 レクスの怒声で、強引に意識を引き戻される。 岸に上がると、レクスは俺の腕から少女をひったくり、平らな場所へ寝かせた。 俺は震える手で少女の胸に耳をあて、心臓の音を探る。 「……死んでるか?」 レクスが一切の感情を排した、冷徹《れいてつ》な声で問うてきた。 心臓の音が聞こえない。口元に耳を当てるが、呼吸の音もない。 俺は少女の胸に両手を当てた。 そして、極限まで調整した正確な圧力で、発勁《はっけい》を打ち込む。 「──ぐぼぉぅ!!」 人を内側から破壊するために極め抜いた暗殺の技術。 それが、この時ばかりは正確に心臓に衝撃を与えて鼓動を再開させる“命を呼び戻すため”の技術《わざ》として、少女の心臓を叩いた。 それが功を奏《そう》したのか。 大量の水を吐き出しながら、少女が激しく咳き込む。 呼吸が、始まった。 騒ぎを聞きつけた隊員たちが、次々と駆け寄ってくる。 俺は脳の損傷を確認するために、少女の瞼を持ち上げて瞳孔《ひとみ》の動きを見た。 その指先が震えそうになるのを必死に抑え込む。俺の心臓の脈打つ速さは、まだ……上がり続けていた。 しかし、少女の顔と瞳孔の色をはっきりと見た瞬間──集まった隊員全員が、息を呑《の》んだ。 「……憤怒の民だ……」 「本当に? 初めて見たぞ」 「これ……どうするんだ……?」 銀髪。そして、見開かれた藍色の瞳孔。 “憤怒の民”──。 七元徳と対をなし、七つの大罪と呼ばれる魔法の始祖の末裔。 この世界に来て日が浅い俺でも、その名前だけは聞いたことがあった。 人ならざる者、呪われた血、怒りの象徴。 そんな忌まわしい伝承が、確かにこの世界にはある。 だが、レクスの判断は早かった。 「全員、悪いな。調査はここまでだ。この子を連れて帰るぞ」 誰も、異論を口にする者はいなかった。 静かに──隊は帰路につく。 怒りとはなにか……。 それがやがて、世界を飲み込む陰謀の渦の中心になるなど、この時の彼らは知る由もない。 そうして、アーコブが命じた“調査”は唐突に終わった。 しかし、俺の心に渦巻く動揺は、収まるどころか激しさを増していくばかりだった。 “憤怒の民”という忌まわしい伝承。 だが、俺の心を縛り付け、動揺させているのはそんな伽話《でんしょう》のような呪いではない。 腕の中で微かに息をする、この幼い少女の顔。 それが、俺の血塗られた過去に刻まれた──『あの顔』と瓜二《うりふた》つだったという、残酷な現実だった。 一体、この世界で何が起きているというのだ……? これは俺を弄《もてあ》ぶために、あの死神が用意した悪趣味な演出なのか。 それとも。 創造主が俺に与えた、残酷な慈悲なのか……?レクスの瞬間移動による強烈な吐き気をどうにか押し殺し、平静を装って門へと近づいた俺は、学園都市《ノウズ》へ足を踏み入れようとした瞬間、ある違和感に足を止めた。 五メートルはあろうかという重厚なレンガの門が、すでに開かれていたのだ。 巨大な体を揺らしながら荷物を持ち上げて歩くレクスに、その疑問を投げかけようとした。 だが、彼はまるで俺の思考を先読みしたかのように口を開いた。 「不思議に思うことはない。あのババアからすれば、俺たちはもう“到着を知っている客”だ。もし着いた時に門が閉まっていたら、それは『お前はこの都市にふさわしくない』って意味になる」 (なるほど……) 俺は心の中で、七元徳“勤勉”の魔術についてひとつの推論を立てる。 俺の視線に気づいたレクスは、『さて、どういう推測を立てる?』とでも言いたげな顔でこちらを窺っていた。 知識と予言の領域──。 アーコブの魔術が、大地から高純度の鋼を錬成し、武器として射出する「物理と物量の極致」であるならば。 彼女の魔術は、対象の一挙手一投足、あるいは未来の情報を断片的に読み解くような「予知」に近い力ではないか。 もしその両者と同時に敵対すれば、相性次第でいともたやすく完封される。恐るべき理不尽だ。 「……“勤勉”様の魔術は、未来予知に近いものですか?」 「まぁ、これまでの状況からそこまで至ったのなら、及第点だな」 俺の分析に採点を下すレクスの背中を追い、開かれた門をくぐる。 その先で、ひとりの女性が腕を組んで待っていた。 白髪に、尖った長耳。 若々しい容姿とは裏腹に、その視線には何百年もの時を圧縮したような重厚な圧がある。 「来たか……レクス」 「よぉ、ババア。アーコブのじいさんに頼まれてなきゃ、二度と顔なんて見たくなかったぜ。自ら出迎えなんて、珍しいじゃねぇか」 「えっ? レクスさん、この人が“勤勉”なんですか?」 俺の問いに、レクスは無言で頷く。挨拶をしようと口を開きかけたが──それよりも早く、上から言葉を被せられた。 「いい。お前が“偽名”を使っていることすらも知っているぞ、ソル……? 久しぶりに、私の知識欲が刺激された」 「あー、始まった……」 レクスが背を向け、うんざりしたように嘆息する。 何が始まるというのか。
「なんで“勤勉”なんかに助力を求めなきゃいけないんだよ。アーコブのじいさん」 レクスが開口一番に不満を漏らした。 その顔つきは普段以上に強張《こわば》っていて、どこか余裕がない。 そして、その瞳は一瞬……ほんの僅《かす》かにだが、悲しげな色に染まったように見えた。 俺の気のせいだろうか? 「レクス、そう言うな。あの少女が事情を話せない以上──“勤勉”の力を借りるしかないんだ」 アーコブが諭すように言うが、レクスはそれでも首を縦に振らない。 「……そう言われてもな」 普段ならなんだかんだ文句を言いつつ、最終的にはアーコブの指示に従うレクス。 だが今回は、露骨に渋っている。 (珍しいな……) 彼は軽口こそ叩くが、アーコブの指示に妥当性を見つければ必ず従う男だ。 だが今の彼には、衛兵隊の長という役割を忘れるほど明確な嫌悪感が滲み出ている。 否、もしかしたら従うという選択から、どうにかして逃避しようとしているかのようだった。 “勤勉”という呼称に、俺は心当たりがない。だが、推測はできる。 アーコブは自らを“忠義”の元徳と名乗っている。ならば、“勤勉”も同じ七元徳のひとつ。 大戦を勝ち抜いた始祖の末裔のひとり──それが今回、力を借りる相手なのだろう。 「アーコブ様……“勤勉”という方は、レクスさんがこれほど嫌がるくらい、“人格”に問題があるのでしょうか?」 俺がそう訊ねると、アーコブの目が泳いだ。 レクスは「けっ……」と短く息を漏らし、顔を逸らす。その横顔には、先ほどは上手く確認出来なかった、暗く重い何かが宿っていた。 やはり何かある。俺はそう確信した。 何故なら、アーコブの顔にも言葉を選ぶような困惑の色が垣間見えたからだ。 普段の彼なら、絶対にこんな顔は見せない。 「えーと……彼女は、少し『特殊』でね」 「何でもかんでも、短所を見つけては矯正しようとする。自分を完璧な魔術師だと思い込んだ、いけすかねぇ狐婆《きつねばばあ》だよ!!」 アーコブの言葉を遮るように、レクスが吐き捨てた。 これもまた、珍しい反応だった。 (もはや間違いない) “勤勉”という人物とレクスの間には、過去に何かがあったのだ。 「言い過ぎだよ、レクス。彼女の『あの魔術』のせいで、他者
フェルータの祖母と母、そして服を無理やり着せられたフェルータが、目を赤くして俺の向かいに座っている。 さっきから、重苦しい沈黙が続いていた。 母親と祖母の二人に挟まれ、尋問《じんもん》される形になっているというのに、フェルータは時折《ときおり》、鼻をすするだけで、頑なに口を閉ざしている。 『フェルータ? 説明しなさい!!』 厳しい口調で祖母が問い詰める。だが、フェルータは口を開こうとしない。 まるで、自らの内に秘めた何らかの覚悟を、無言で主張しているかのようだった。 『何があったの? 言わないと分からないわよ?』 今度は母が優しい声をかける。 その声に押されるように、フェルータはとうとう自身の犯した罪を暴露《ばくろ》した。 「……ソル様の貞操《ていそう》を、奪おうとしました……」 フェルータがしぶしぶ答えると、二人は目を伏せ、深く考え込んだ。 仮にも主《あるじ》の客人である俺に手を出そうとした。その事実を前に、身内としてどう言葉をかければいいのか分からないのだろう。 やがて、フェルータがゆっくりと口を開いた。 「私はもう……職《ここ》を辞めさせて──」 だが、フェルータが言い切る前に、俺は強引に言葉を挟んだ。 ここで止めなければ、彼女は永遠に何処かへ行ってしまう。 取り返しのつかない事態になる。そんな恐怖にも似た感情が俺を支配した。
「……えーと。まず聞きたいんだけど……君は、名前は?」 少女を怖がらせないよう。 俺は暗殺者時代に培った、人を安心させる笑顔を作った。 声はなるべく柔らかく。掴みはこれでいいだろう。 そう思っていた。 だが、返ってきたのは、俺の想像の余地すら破壊する無機質な響きだった。 「えーと? まず? んー? なまえ?」 純粋な目で、言葉の音だけをオウムのように繰り返す。 (……ふざけているわけじゃない) 俺は一瞬、どうしていいのか分からなくなりレクスに視線を移した。 だが、レクスはただ黙って視線で促す。続けろ──と。 「君は……《境》の者かな? 憤怒の民、って呼ばれてるけど」 「きみは? じょう? のもの? ふんぬ、の……みん?」 最後の確証を得るために踏み込んで聞いた。 だが、結果は同じ。 意味を持たない「音」だけが、空洞に響くように返ってくる。 「……言葉が、通じてないわけじゃない。発音はできる。けれど、意味を何一つ知らない──」 まるで赤子に向かって話しているような感覚。 彼女は、記憶も、言語も……なにも持っていなかった。 レクスが低くうなりながら言う。 災いを呼ぶという少女に、記憶がない。事情の聞き出しようがない。 普通なら、村人達の動きをどう抑えるか途方に暮れるレベルだ。 「ともあれ、アーコブじいさんに報告だ」 「……俺が行く」 思わず素の言葉遣いが出てしまったが、レクスは気にすることなく頷いた。 「分かった。判断が出るまで、民衆の動きは止めておく」 そう言うと、レクスは足早に部屋を後にした。 部屋に残るのは、俺と少女だけ。 眠っていたはずの記憶が、喉の奥からせり上がってくる。 俺は暗殺者としての仮面を無理やり顔面に縫い付け、最後の抵抗で笑顔を作ろうとしたが……。 すぐに。 パリン、と。 音を立てて、俺のすべてが砕け散った。 「なんだ、これ……」 「ん……?」 少女は、不思議そうに小首をかしげる。 その瞬間、言葉にならない嗚咽が込み上げた。俺は叫んでいた。 「俺だよ……××××だよ。……覚えてないのか? お前は……俺の……俺の……俺の……っ!!」 (俺が『愛した』人だ!!) 最後の言葉はもはや言葉にならない。
「…………」 少女が眠るベッドの横で、俺はじっと彼女を見つめていた。 その寝顔は、昔話に出てくるお姫様のように静謐《せいひつ》だった。 だが、それとは裏腹に、俺の心の内ではとてつもない荒波が吹き荒れていた。 「なんで……お前が…………」 誰にも聞こえないほどの小さな声。 だが、自分の耳にははっきりと残酷に響く。 綿で生殺しにするかのように首を締め付けるような息苦しさを覚えた。 いくら呼吸をしてもこの息苦しさが終着点が見えない。 ……まるで地獄のような時間だった。 心臓が鼓動を打つ度に『あの惨劇』がフラッシュバックする。 そして誓いの言葉を伝える言葉が頭の中で幻聴《こうかい》のように聞こえた。 だから俺は、この出会いの意味から無理やりにでも意識を逸らそうとした。それでも、どうしてもひとつの思考に囚《とら》われてしまう。 「いや、それより──これは偶然なのか?」 ……いや、偶然なはずがあるものか。 ただ“似てる”じゃ済まされない。 これは、誰かの……意志が、絡んでる。 俺の直感がそう警鐘《けいしょう》を鳴らしていた。 何とか動揺を押し殺しながら、俺は少女の顔を見続けた。 傍から見れば、熱心に看病をしている心優しい青年に見えるかもしれない。 ……実際、扉の隙間《すきま》からそう見つめている者がいた。 ―――――――――――― (なんで──急に、そんなふうに……) 他人を前にした時は、常に心の内を隠し、平静を装うはずの青年が……。 今はひとりの少女に対し、ひどく心を乱《みだ》して見つめている。 その様子が、彼女の胸の奥を冷たい刃のようにえぐった。 “問いかけたい” 彼女は、そう思った。 何故? 何故? 何故……? 私があんな状態になったら彼はあのように心配してくれるのだろうか? そうやって彼の気を引こうと思う自分がいる時点で自分自身に自己嫌悪が覚えた。 (醜《きたな》い……けれど、考えてしまう) なぜ、そこまで彼に執着するのか? その理由は、自分自身がずっと胸の奥に抱えていた『孤独』と向き合っていたからだ。 この村で生まれ育ち、主《あるじ》に仕《つか》えて死んでいく。 外の世界を知らず、ただ役目のためだけに生きる。
「おう、全員──気合い入れろ!これより森の調査に向かうぞ!」 レクスの掛け声と共に皆が一斉に声を出す。 『おー!!』 レクス率いる調査隊は、俺を含めて10名。 近接・中距離・遠距離や索敵のバランスが緻密《ちみつ》に整えられ、魔術の構成に一切の無駄がない。 探知・索敵役には五感強化魔術の使い手が配属されており、魔力を感知できるフェルータの家系の男も参加していた。 アーコブとレクスが直々に選んだ隊。 ──まさに精鋭の名にふさわしい布陣だった。 「散開!!」 レクスの号令で、隊が動く。 声が届くギリギリの十メートル間隔で並び、森を横断して進む。 これしきのペースで遅れをとるほど、俺は柔《やわ》な人生を送ってきてはいない。 見た目は貧弱な少年かもしれないが、体力と、いざという時に逃げるための高速歩法には絶対の自信がある。 俺は常《つね》に息一つ乱さず、隊の速度について行った。 数分後──数十メートル先にビッググリズリーが現れた。 それを視認した隊員から掛け声が飛ぶ。 だが、誰も勝手には動かない。







