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恵と佳苗

作者: 影畑凛星
last update 公開日: 2026-07-29 15:30:40

 悟の家を飛び出してから、一か月。

 恵は実家で暮らしていた。

 最初の数日はよかった。

「しばらくゆっくりしなさい」

 母もそう言って迎え入れてくれた。

 だが、その"しばらく"は長くは続かなかった。

「恵、ご飯くらい自分で作ってよ」

 仕事から帰ってきた母が、ため息交じりに言う。

「えー、疲れてるし」

「疲れてるって、今日は家にいたんでしょう?」

「求人見てたの」

「それだけ?」

「ちゃんと探してるもん」

 口を尖らせる恵に、母は呆れたように冷蔵庫を開けた。

 中には飲み物と調味料が少し残っているだけ。

「買い物も行ってないの?」

「お金ないし」

「だったら、お母さんが帰る前に連絡くらいしなさいよ」

「仕事中に連絡なんて悪いじゃん」

「……そういう問題じゃないでしょう」

 

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