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第七話「異界の神楽」

Penulis: 北野塩梅
last update Terakhir Diperbarui: 2025-07-11 18:00:38

第七話「異界の神楽」

 女面が、よく通る声で言う。

「私の『お役目』はケイタを通じて神様の言葉を、人々に伝えてゆくこと。この子は特別な才能がある選ばれた子。神様の声を聞ける子なのよ」

 不安定な笛と笙の音が混じりあって、女面の泣き声のようになり、ケイタの聴覚を刺してくる。男面が姿勢を伸ばして舞台の真ん中で、ぐっと顔をあげた。

「そうやってお前は何でも目に見えないものや霊のせいにしていれば、自分をかえりみなくてもいい免罪符にして、現実や問題から逃げているだけだ。自分の行いを反省しなくていいのはラクだからな」

 鋭利な言葉に母は項垂れ、その記憶の光景がケイタをまた刺した。男面が明かりの届かない奥に消えていく。あの日、父は出て行ってしまった。ケイタが神様の声を聞いたから、家族が壊れてしまった。

 過去をなぞり、ケイタは舞台から目を背けようとした。女面がさらに泣き崩れ、神楽囃子はどんどん激しくなっていく。床に伏せた女面が次に顔をあげたとき、その顔は鬼面に変わっていた。恨めしそうに、男面が消えていった暗がりに向かって拳を床に叩きつける。

ケイタは息を止めた。

「なぜあなたは信じない。あなたは神様の声に反したことをしているのよ」

 舞台奥の暗がりに体を向きなおらせた鬼面は、男面を呪うような口調で続ける。

「私たちは選ばれたのよ、ケイタの存在によって。あなたが間違っていることを思い知らせてやるわ」

 鬼面の低い声が地を這うように、それを見ていたケイタに絡みつく。

鬼面は、舞台に残された猿面を優しくうやうやしく撫でる。

「私の元にはケイタがいるもの、神様の声を降ろす特別な力を持つこの子が。選ばれたのよ、私たち」

 そう言うと、猿面の頭を自分の膝の上に乗せた。神楽囃子は打って変わって細い笛の音だけになり、猿面が体を丸めると、音が消えていく。神楽殿を照らしていた四隅の蠟燭も消えた。

ケイタは呆然とした。いま、何を見せられていた? ケイタの記憶にない場面が再現されていたのか?

 父があの日、家を出ていった記憶はあるが、そのあとの母の言葉はケイタの記憶にはない。覚えていた思い出と異なっている。あれからどうなったかは、覚えてない。ケイタと母を置いて家を出ていった父を悪者にしていれば、平和だった。

 母が不安定なったのは父のせい。母がケイタ自身を見なくなったのも父のせい。神社を巡って人を集め、母が神様の声にのめり込んでいったのも、父のせい。生活のために、それでお金を貰わなければならなくなったのも、父のせい。

ケイタのそばの石燈籠が淡くあたりを照らす。力が抜けて、その場にしゃがみ込んだ。

 初めは本当に聞こえていたんだ、温かく小さな声が。いつからか本当に聞こえた声よりも、大人の期待に応える言葉をケイタは口にするようになり、あの声なのかわからなくなってしまった。代わりに聞こえ出したのは、母を介して集まってくる大人どもの思考の声だった。

 なのに母の思考の声だけ聞こえない。怖かった。母が何を考えていたのか、聞こえなくて良かった。ケイタを道具としか見ていなかったら?

気がつかないようにしていた。シャットアウトして蓋をしていたのかもしれない。

神社巡りを始めたばかりの頃は、母の知り合いや友人の小さなグループで参拝していたが、そのうちSNSで同志を集めてケイタにメッセージを降ろさせて、ツアー代をとるようになった。ケイタの同級生の親たちが、自分の子供をケイタに近づけさせないようにしていることを、ケイタは知っていた。ケイタからも同級生に近づくことを、しなくなった。家に帰っても、次の神社はどこへ行くか母が聞いてくる。母がリストアップした神社を適当に指して

「ここに呼ばれているよ」

 と言えば母と、その取り巻きは喜んだ。母が望むメッセージを降ろしているあいだだけは、母もケイタを見てくれた。神様の声を聞ける子供としてもてはやされるのも、今のうちだけだ。終わりは見えている。あと三年もすれば、価値がなくなる期間限定の存在。

 何もかも現実で上手くいかないから、余計に神様からのメッセージに傾倒していく大人どもを見て、ケイタの感覚は麻痺していた。

現実にはあり得ない存在にお墨付きがもらえれば、自分を肯定できるんでしょ?

 神様の使命が与えられたら、自分が必要とされていると安心できるんでしょ?

 身近な人の言葉を聞かずに、神様のメッセージは信じるのか。

 中には、神様のメッセージに夢中になりすぎて、家族が神社巡りのツアー先に怒鳴りこんできた女性参加者もいた。家に帰ったほうがいい。そう伝えるほうが、その女性のためだとケイタはわかっていた。まだ僅かにケイタの中に良心と常識が残っていたことに、その時は驚いた。

「自分の気持ちを抑えつけずに、自分が思った通りに行動して」

 と、実際にはどちらにも取れる言葉をケイタは、その女性に伝えた。それが、せいいっぱいのケイタからのメッセージだった。すると女性は目を潤ませて言った。

「わかりました、それが神様のメッセージなんですね」

 ケイタの言葉として捉えてはもらえないのだ。自分に都合のいいものを人は信じる。その後、女性は家族と縁を切り、経済的に困窮するまで神社ツアーに金を支払い続け、やがて、ケイタの母たちから離れていった。

ケイタはもうあとには引けなくなっていた。大人がケイタに飽きるまで、これを続けるしかない。ケイタの苦しさは一体、誰に話せばいいのだろう。

再び神楽殿に明かりが灯る。ケイタが顔を上げて立ち上がると、舞台の中央に猿面がいた。ケイタに問う。

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