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31話

Author: 東雲桃矢
last update publish date: 2026-07-03 14:03:01

 風呂からあがると、少し迷った末に共用の寝室に入る。秋明は既にいて、ベッドに腰掛け、本を読んでいた。

「あがったか」

「えぇ、まぁ……」

「この部屋に、小さなデスクを置こうと思ってる。欲しいものはあるか?」

「えっと、そうね……」

 室内を見回す。最低限の家具しか置いてない、シンプルな寝室を。確かに物足りなさはあるが、一般的な夫婦の寝室に何が置いてあるのか分からないし、特に欲しいものは思いつかない。

「今のところ、特にないわ。まだ、ここで過ごしてないから……」

「そうか。欲しいものができたら、自分で買うなり、俺に言うなりしてくれ」

「分かったわ」

 返事をしてドレッサーに座り、タオルで濡れた髪を拭いていると、タオルを取り上げられた。

「ちょっと……!」

「表で夫婦として演じるのなら、これくらいのことはしておいたほうがいいだろう。俺達はプロの役者じゃないんだ。ある程度触れ合っておいた方が、ボロが出にくいはずだ」

「そう……」

 どう返していいのか分からず、短く返すと、鏡越しに秋明を見た。何を考えているのか分からない、そっけないような顔をしているが、百合の髪を拭く手つきはとても丁寧で優し
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