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1 あなたの魅力に気づく月の夜

Author: けいこ
last update Huling Na-update: 2025-02-20 08:56:38

今日はまた白川先生に注意された。

中身は全然たいしたことじゃない。それほどキツく言われたわけでもないのに、勝手に落ち込んでしまってる。

私だけが白川先生に睨まれてる気がして……

最近、先生と話すのが少し憂鬱になっている。

中川師長に相談しようかとも思っているけど、何だか言えないまま時間が過ぎていた。

それに、先生は正しいことを言ってるだけで、私が強くなって成長すればいいだけの話。グジグジ悩んでいる自分がいけないんだ。

だけど……

苗字の呼び捨てはそろそろ止めてもらいたいし、色々考えると負のループに陥っている気がする。

「邪魔」

「えっ!あ、すみません」

振り向くと白川先生がいた。

驚いてすぐに横にズレたけど、こんな広い廊下で特に邪魔になっているとは思えなかった。

「蓮見」

「は、はい!」

「お前、今日の夜の予定は?」

「えっ、よ、予定……?」

「無いんだな。わかった、じゃあ今夜付き合え」

えっ、えっ!?

私にはかなりヘビーな内容過ぎて、何を言ってるのか理解できなかった。

「あの……私、予定が無いとか何も言ってません」

「無いんだろ?」

定期的に会ってくれる彼氏もいない上に、確かに今日は何も予定は無い。それでも、勝手に決めつけるなんて失礼な話だ。

「な、無かったら何なんですか?」

白川先生の言い方が気に入らなくて、つい反抗的な返事をしてしまった。

「仕事が終わったら、フラワーショップの前で待ち合わせ。いいな。必ず来いよ」

何を言われてるの?

フラワーショップは、病院を出て数分行ったところにあるけど、そこで待ち合わせをするの?

誰と誰が?

頭がパニックになる。

「あ、あの!ちょっ、ちょっと無理やり過ぎませんか?急にそんなこと言われても困ります」

日頃の恨みだろうか。

まだまだ新人の看護師が、白川先生にこんな言い方をするなんて。

自分の発言に自分で驚いた。

「黙って待ってろ。いいな」

え、嘘、行っちゃった……

白川先生の行動に呆気にとられて動けない。

勝手に決めて、待ってろなんて、めちゃくちゃ強引過ぎる。

まさか、私があまりにどんくさいからお説教されるのだろうか、それとも、もしかしてクビにされるとか!?
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  • 情熱的なあなたに抱かれ私は甘い夢を見る~新人看護師は無敵な外科医にしつけられてます~   2 あなたの魅力に気づく月の夜

    どうしよう……私はもっと看護師を続けたいし、誰かの役に立ちたい。しっかりしていないにしても、辞めさせられたらあまりにも悲しい。無理やり約束させられて、白川先生の意図がわからなくて困惑する。とにかく――今は何も考えないようにするしかない。モヤモヤはするけれど、きちんと仕事をしなければ。私は、気持ちを切り替え、仕事に戻った。***言われた通りフラワーショップに向かいながら思った。今日は外来がかなり混んでいたから、白川先生の方が遅いはず。きっと疲れているだろう。イライラしていないか心配になる。いったい今日は何を言われるんだろうか。考えていると自然に足取りが重くなる。「あ……」目の前にはフラワーショップ。もう着いてしまった、先生はまだ来ていない。少しホッとしている自分がいて、変な気分だ。確かに、本来なら、何を言われるのかもわからないのに、こんなにも不安になる必要はない。必要はないのだけど……白川先生は、本当にカッコ良い。認めざるを得ないくらいの「超イケメン」だと思う。だけど、私の中ではあの意地悪な感じのせいで全部台無しになっている。白川先生も、七海先生みたいに優しかったら……きっともっと素敵な男性だと思えるのに。「藍花!!」その時、誰かが私の名前を呼んだ。藍花……って、この声、いつも聞いてる……って、嘘!!「し、白川先生!」どうして先生が私の名前を?いつもは「蓮見」としか呼ばないのに。いったい何が起こってるの?「待たせたな、悪かった」「え……」白川先生が、私を名前で呼んだ上に謝っている。こんな展開、予想もしていなかった。この人は、本当にあの白川先生なのか?いつもとの違いに大いに違和感を感じた。「藍花、どうした?そんな顔して」「あっ、えと、すみません。……ちょっと驚いてしまって」つい本当のことを口走ってしまった。「なぜ驚く?」「な、なぜって……」

    Huling Na-update : 2025-02-20
  • 情熱的なあなたに抱かれ私は甘い夢を見る~新人看護師は無敵な外科医にしつけられてます~   3 あなたの魅力に気づく夜

    答えに困っていると、「まあいい、歩くぞ」白川先生は、そう言って黙って歩きだした。とても横には並べなくて、私は少し下がって着いていった。ん……?先生の歩幅、いつもと違う……病院ではかなり足早に歩く先生に、私は小走りで着いていくのが必死だ。なのに、今日は私に合わせてくれてるのだろうか。そんなこと、あるはずないとは思うけれど。「ここでテイクアウトしよう」「……ハンバーガーですか?」「ハンバーガーは嫌いか?」「い、いえ、好きです。でも、テイクアウトしてどこかで食べるんですか?」「ああ。いいところがある」テイクアウトしたハンバーガーを、白川先生と一緒に食べるなんて信じられない。何が起こっているのか、理解に苦しむ。私達はハンバーガーを買って、また歩きだした。目的地がどこなのかはわからない。ただ2人の地面を踏む音だけが、夜の静けさの中に響いている。「ここ」先生が足を止めたのは、病院から歩いて7分くらいの場所だった。目の前に流れる浅めの川。その両側が川原になっていて、土手を降りて、広いスペースに置かれたベンチに腰掛けた。3人がけのベンチの真ん中にはドリンクが2個。見上げると夜空に綺麗な月が浮かび、それが川面に写って何とも幻想的な雰囲気をかもし出している。時折、秋の風が優しく頬をかすめ、体に当たる澄んだ空気がとても心地良かった。遠くの方に目をやると、大きな陸橋をライトを付けた車が行き交っているのが見えた。「寒くないか?」「はい、大丈夫です。すごく気持ちの良い夜ですね」「ああ、そうだな」高い位置に光る星がこんな綺麗に見える場所……今まで知らなかったのが残念だ。白川先生は、いつからこの場所を知っているのだろう?「はい、これ」私は、袋からハンバーガーを取り出して渡してくれた先生に、「ありがとうございます」と言って頭を下げた。まだ少し温かい。「すみません。ご馳走になります」「ハンバーガーで悪いな」「いえいえ、嬉しいです」先生、また謝った……今日の先生は、本当に別人なのかも知れない。もしかして双子だったりして、入れ替わって私を騙してるのかも……なんて、思わずバカな想像をしてしまう。

    Huling Na-update : 2025-02-21
  • 情熱的なあなたに抱かれ私は甘い夢を見る~新人看護師は無敵な外科医にしつけられてます~   4 あなたの魅力に気づく夜

    「いただきます。あの……先生、ちょっといいですか?」食べる前にどうしても聞きたくなった。「何?」「私、今から外科医の白川先生と2人でハンバーガーを食べるんですよね。なんかこの組み合わせがどうもよくわからなくて。なぜ、私はここにいるのでしょうか?」「……内科医なら良かったか?」「え?えっと……その……」真面目な顔をして困ってたら、白川先生は突然私の目の前に顔を近づけた。「真剣に考えるな。笑え」この距離感に、思わずハンバーガーを落としてしまいそうになった。今、すぐ目の前にある白川先生の笑顔。月の光にほんのりと照らされて、一つ一つの顔のパーツがはっきりと私の視界に入り込んできた。ほんの数秒でギブアップ――あまりの美しさに直視することができない。私はサッと正面を向き、冷静を装うためにハンバーガーを口にした。小刻みに震える手。緊張で飲み込みにくいことを悟られないように、ドリンクで必死に流し込んだ。「ど、どうして私に声をかけてくれたんですか?今日ここに来た理由は……?」念を押すように、また質問した。確かに嫌な答えなら聞きたくない気もするけれど、早く答えを聞きたい気もした。「理由……か」「は、はい。私、今日誘われてからずっと思ってました。白川先生に……怒られるのかなって。だからすごく緊張してて」「なぜ?俺がどうして怒る?」「え?どうしてって……あの、私、いつも先生に注意されてばかりなので……。もちろん、私が仕事ができないのが悪いんですけど」「……藍花は俺に怒られたいの?」「そ、そんなわけないです!怒られたいなんて思ってません。思ってるわけないです。それに、私のことを藍花って呼ぶのも変ですよ。いつも病院では「蓮見」って呼ぶのに」「お前は「蓮見 藍花」だろ?だったら蓮見でも藍花でも同じだ」その理屈、かなり変――同じじゃない、全然。

    Huling Na-update : 2025-02-21
  • 情熱的なあなたに抱かれ私は甘い夢を見る~新人看護師は無敵な外科医にしつけられてます~   5 あなたの魅力に気づく夜

    「先生は他の看護師には「さん付け」なのに、私だけ「蓮見」って呼び捨てにするの、ちょっと……嫌でした。怖い感じがして、嫌われてるような気もして。それに、いきなり藍花って呼ばれるのもやっぱり……何だか変です」ずっと心でモヤモヤしていたことをようやく口に出せた。「名前で呼ぶのは歩夢も一緒だ」「それは歩夢君が男子だからいいですけど……」白川先生は少し黙ってしまった。もしかして怒らせてしまったのか?この空気に耐えられないと思い始めたその時、白川先生は空を見上げながら言った。「蓮見も、藍花も……どちらもとても美しい名前だ。だから、つい呼び捨てしたくなる」「えっ……」「藍花……って呼ばれるの、そんなに嫌か?俺は……お前を藍花って呼びたい」私の耳元まで近づいて甘く囁いたその声が、あまりにセクシーで艶っぽくて、私は腰が砕けそうになった。何なのか、この展開は?かろうじてベンチから滑り落ちないように耐えたけれど、今、私の体は急激に熱くなっている。心臓も激しく動き出し、何だかよくわからない状況に動揺が隠せなかった。自分に何が起こっているのか、まるで理解できない。七海先生に感じた妖艶さ、それとはまた違う白川先生の色気――どちらからも、大人の男性として申し分ない魅力を感じるけれど、やはりタイプは全然違う。当然、同じわけない。正直、今の今まで白川先生のこんな一面を見たことがなかった。全く知らなかった男としての部分を発見し、すごく不思議で複雑な感じがした。そうか……白川先生のファンは、みんなとっくに気づいてたのだろう。この、何とも言えない先生の魅力に。いつもすぐ近くにいたのに、私が先生のことを怖がり過ぎて気づかなかっただけなんだ。好きとか嫌いとか、よくわからない。まだ苦手意識だって全然消えないけれど……それでもたぶん、今までよりは白川先生に怯えなくて済むような気がして、少しホッとした。「あ、ありがとうございます。名前を褒めてもらえて嬉しいです。両親も喜びます」何を言ってるんだろか、動揺し過ぎだ。気の利いたことを言えない自分が情けなくなる。白川先生に呆れられたかも知れない。

    Huling Na-update : 2025-02-21
  • 情熱的なあなたに抱かれ私は甘い夢を見る~新人看護師は無敵な外科医にしつけられてます~   6 あなたの魅力に気づく夜

    「あっ、そんなことより白川先生もハンバーガー食べて下さい。冷めてしまいますから」「その白川先生っていうのやめてくれないか」「えっ?」「俺には「蒼真」という名前がある。白川より蒼真の方が好きなんだ。だから蒼真でいい」「そ、そ、そんなこと!よ、呼べるわけないじゃないですか、突然何を言い出すんですかっ」白川先生を「蒼真」と呼ぶなんて、あまりに恐れ多くて、思わず大声を出してしまった。「別に普通だろ。俺は「藍花」って呼ぶ。だからお前は俺を「蒼真」って呼ぶ。ただそれだけのことだ」「それだけって……。でも他の看護師はみんな白川先生って呼んでますよね」もしかして私が知らないだけで、プライベートではみんな蒼真って呼んでるのだろうか?「俺が呼び捨てにするのは藍花だけだ。だからお前も必ず蒼真と呼ぶこと。2人きりの時だけでいい。それくらいできるだろ?」「先生、ちょっと強引過ぎませんか?私、白川先生の家族でも彼女でもないんですよ。だいたい私なんかに『蒼真』なんて呼ばれて嬉しいわけないですよね?何か魂胆があるんですか?」少し激しめの口調で言ったら、なぜか先生はニヤリと笑った。「やっと言った。それでいい。これから先、俺のことは必ず蒼真と呼ぶんだ。嫌だとは言わせない」「えっ、で、でも……」「これは業務命令だから取り消せない」「ぎょ、業務命令!?そんな……。先生、意地悪です」「そうか?なら、もっと意地悪しようか?」「そ、それは嫌です!」「だろ?なら素直に呼べばいい」白川先生は、平然とハンバーガーを食べ始めた。私はこんなにもドキドキしてるというのに――このやり取りの本当の意味を、私は怖くて聞けなかった。ただ先生にからかわれているだけなのか?冷静に考えれば、白川先生にはちゃんとした彼女がいるかも知れない。こんなイケメン先生が、私に好意を持っているはずがないし、あんなに注意ばかりされていた私を女性として相手にするわけがない。やはり……これは意地悪なのか?でも、逆らえばどうなるかわからない。これからは嫌でも「蒼真」と呼ぶしかないのだろうか。

    Huling Na-update : 2025-02-22
  • 情熱的なあなたに抱かれ私は甘い夢を見る~新人看護師は無敵な外科医にしつけられてます~   7 あなたの魅力に気づく夜

    「わ、わかりました。呼びます」「いい子だ。じゃあ、どうぞ」「どうぞって……」私を見つめる白川先生の瞳は、とても綺麗で吸い込まれそうだった。この美しい顔のせいで、鼓動がまた激しくなる。でも、呼ばなきゃ――私は、呼吸を整えるため、深く息を吸い込み、そして、吐いた。「そ、そ……」ダメだ、やっぱり言えない。こんな恥ずかしい思いは初めてかも知れない。私、きっと今、赤面してる。「どうした?早く言ってくれないか?」「あっ、は、はい」「俺は藍花に、蒼真って呼んでほしい」白川先生は、私が言うまで諦めてくれそうにない。それなら、もう、言うしか――「そ、蒼真さん……」先生の言葉に背中を押され、私は何とか名前を呼べた。「ダメだ、やり直し。ちゃんと俺を見て」あ……目を閉じて言う作戦は、残念ながら失敗に終わった。「や、やっぱり無理です」「言い訳はいい。早くして」もはや、この強引なわがままを切り抜ける方法はひとつも無いと思った。「蒼真さん……」意を決して呼んだ名前は、声が小さ過ぎて、夜の静けさの中ですぐに消えた。もう、これ以上は無理だ。顔から火が吹き出してしまいそうで思わず目をギュッと閉じた。「よくできました。今日は、これでおしまいにしておく」そう言って、白川先生は私の頭を優しく撫でてから、ニコリと笑って残りのハンバーガーを全部食べた。「帰ろうか」「はい」2人で土手を歩き、来た道を駅まで戻る。何だかまだ信じられない。今日のことは全部夢だったのか?もしかして私は、ベッドの中にいて眠ってるのだろうか?目覚めたら何もかも無かったことになっていて、いつもの現実に引き戻されるのか……だけど、私の頬は温かい。すぐ横を歩く先生の髪、体、長い足にも、ちゃんと動きを感じる。これは、幻じゃなく現実なんだ――隣にちゃんと……先生がいる。2人きりの時間は嘘じゃなく、手を伸ばせば、きっとその背中にも触れられる。私達は、同じ空間にいて同じ時を過ごした。明日からはまた、病院での仕事が待っている。だけど、私が歩く足取りは、ここに来るまでとは確実に違ってる。ほんの少しだけ心が軽くなった気がして、ちょっと……嬉しくなった。

    Huling Na-update : 2025-02-22
  • 情熱的なあなたに抱かれ私は甘い夢を見る~新人看護師は無敵な外科医にしつけられてます~   1 親友とマッサージと内緒話

    「いらっしゃいませ!あっ、藍花~。今日予約だったよね。待ってたよ」「私も楽しみにしてた」たまにやって来るのは、親友である雨宮 月那(あまみや つきな)の彼氏が店長をしているマッサージのお店。月那は、このお店で働き出して4年になる。2年前、私が病院に務めだした頃、体の疲れを癒したくてここに通い始めたのがきっかけで、すごく仲良くなった。月那はもちろん女性だけど、気づけば友達以上恋人未満みたいな関係になっている。何でも隠さずに話せる、とても頼りになる親友だ。一緒にいるとすごく落ち着く。24歳で同い年の月那は、ショートカットが良く似合う美人だ。明るくさばさばした性格で、誰にでも態度が変わらない。31歳の彼氏とは同棲中で、いつかは結婚するそうだ。「今日はオイルマッサージでいいよね?」「うん、お願い。疲れ溜まってて」「了解、任せて」私は、いつものように個室に入ってベッドに横たわった。オイルマッサージの時はほぼ全裸で、用意された紙の下着をつける。初めは恥ずかしかったけれど、もう慣れてしまった。静かに優しいピアノ曲が流れる空間で受ける月那のマッサージは、いつも気持ち良すぎてとても癒される。香りも良く、極上のご褒美時間だ。毎回、施術中はお互いの相談話になる。どうしても仕事のことが多くなるけれど、月那は松下総合病院の患者でもあるから、先生達や看護師、病院のことをよく知っている。だから、私の話を全部わかってもらえるのが有難い。看護師の仕事にも興味があると言って、よく質問もしてくれる。でも今回に限っては、いつもとは少し違う……いや、全然違う相談内容になりそうだ。仕事ではなく、恋愛話に――私は、白川先生、七海先生、それぞれと話したことを全部月那に伝えた。

    Huling Na-update : 2025-02-22
  • 情熱的なあなたに抱かれ私は甘い夢を見る~新人看護師は無敵な外科医にしつけられてます~   2 親友とマッサージと内緒話

    「うんうん、それでそれで?」マッサージをしながらも、興味津々で次を急かす月那の興奮が伝わってくる。「え~、もう、すごいじゃない!!何なのよ、それ」「何なのよって、私が聞きたいよ。いろいろ戸惑うっていうか……こういうの全然慣れてないから」「いや~。藍花にもやっと春が来たんだね。もう秋だけど」冗談交じりに無邪気に笑う月那。美人な上に元気で明るい人だから、すごく親しみを感じる。月那目当てのお客さんがかなり増えていることには、とても納得できる。「春が来たとかじゃないんだってば。でも、七海先生も白川先生も、どうして私なんかに声をかけてくれたのかなって」月那に優しく背中をもみほぐしてもらうと何とも気持ちが良い。幸せだ……と心から思う瞬間。「ねぇ、藍花は何でいつも自分を「私なんか」って言うの?あなたはすごく笑顔が素敵な癒され女子だよ。初めてお客さんとして店に来てくれた時、すごく可愛い人って思ったし」「嘘だよ。可愛いとか……」「家に帰ってゆっくり鏡見てみな。肌も綺麗だし、顔のパーツもイケてるし、それに藍花はスタイル抜群だからね。そこは本当にうらやましい。まあ、顔の美しさは私には敵わないけどね~」そう言って、またゲラゲラ笑う。月那がそんな風に言ってくれるのは初めてだけど、きっとお世辞だよね……ゆっくり鏡なんか見たら、余計に自信をなくしてしまいそうだ。たぶん月那の言葉は自信が持てない私への励ましなんだろう。「月那は間違いなく誰が見ても本物の美人だから。月那を見てるとめちゃくちゃ綺麗だなって本気で思うし、私が男なら絶対好きになってるよ。笹本さん……幸せだよね」笹本 太一(ささもと たいち)は、月那の彼氏の名前。

    Huling Na-update : 2025-02-22

Pinakabagong kabanata

  • 情熱的なあなたに抱かれ私は甘い夢を見る~新人看護師は無敵な外科医にしつけられてます~   4【another story】藍花の幸せ

    翌日、堂本先生が内科の診察前に、私に会いに来てくれた。「済まなかったね、昨日は」「まさか蒼真さんに電話されるとは……びっくりしました」「何だかね……無性に電話しないとって体が勝手に動いてた。自分でもよくわからないけど……そうしなきゃいけないって」「先生は優しい人です」「買いかぶりすぎだよ」「いいえ。じゃなかったら、電話なんかしないですよ。でも……本当にありがとうございました」「え?」「蒼真さん、喜んでいましたよ。堂本先生が電話をくれたこと。そして……堂本先生に申し訳なかったって言っていました」「……そっか……。久しぶりに昨日は学生時代の頃のことを思い出しながら眠った」「そうなんですか?」「ああ。不思議と楽しかった思い出ばかりが浮かんできて……なんだか懐かしかった。いつまでも彼女のことを引きずっているなんて、未練がましくて情けないってことがわかったよ。ほんと、バカだった」先生の顔は、優しくて安堵感に溢れていた。「堂本先生……」「これからは、僕も新しい人生を楽しみたいって思ってる」「よかったです。めいっぱい楽しくて幸せな人生を送ってくださいね。私も蒼真さんも、堂本先生に素敵な未来が訪れるって信じてます」「ありがとう、嬉しいよ」「私も先生に負けないよう、楽しい人生を送れるようにしたいと思います」蒼真さんと蒼太と3人で……「そうだ。新しい病院が決まったんだ。僕の実家がある近くに友達のクリニックがあるんだけど、ずっと前から声をかけてもらっててね。そこで一緒に頑張っていこうと思う」「そうなんですね。寂しいですけど……頑張ってくださいね」「ああ。彼女とならうまくやっていけそうだし」「彼女?女医さんですか?」「僕の幼なじみ。幼稚園の頃からのくされ縁でね。本当に優秀な内科医なんだ。……なんだかね、昔から僕のことが好きみたい」「えっ!」「もちろん、僕にはまだ彼女に対して恋愛感情は無いけどね。まぁ、でも、この先はどうなのかわからないしね」幼なじみの間柄、何だか勝手に恋の予感を巡らせた。堂本先生がとても嬉しそうだからかな。いろんなことが吹っ切れたような爽やかな表情に、私は心からホッとした。「いつかまた……蒼真さんに会いに来てください。いつでも堂本先生のこと大歓迎ですよ。あの人も楽しみにしていると思います」「……そうだね、またいつか

  • 情熱的なあなたに抱かれ私は甘い夢を見る~新人看護師は無敵な外科医にしつけられてます~   3【another story】藍花の幸せ

    「藍花……」「蒼真さん……?」「もっともっと俺のことを好きになって……」「……あっ……」蒼真さんの手のひらが私の頬に触れる。そこから直に伝わってくる愛情。蒼真さんへのどうしようもない愛しさが、私の体を巡る。「でも、どれだけ俺を好きになっても、俺が君を好きな気持ちには勝てないけどね」キュンと胸を貫く甘い言葉。自然に唇を塞がれて、蕩けそうになる。こんなことが私の日常にあることが今でもまだ不思議で仕方ない。上から下まで、とてつもなく美しい蒼真さん。年齢を少し重ねた私達。それでも、この妖艶な魅力を醸し出す蒼真さんに、私はいつだって心を奪われる。「堂本先生の話を聞いて、改めて思った。君の心は、誰にも奪わせない。どんな宝石をも盗み出す怪盗にだって……この体と心は盗ませない」「蒼真さん……」「何があっても俺のそばから離れるな」「はい。絶対に離れません……」幸せだった。いくつになっても蒼真さんに抱かれる幸せは、私の最上の喜びだ。「藍花のこと気持ちよくしてやるから」その言葉をきっかけに、蒼真さんの愛撫が始まった。嬉しい……本当に……嬉しい。「ああんっ……はぁ……っ」「ここ、気持ちいいんだろ?」「はあっ、ダ、ダメっ」「ダメじゃないだろ……こんなに濡らしてるくせに」「で、でも……っ」「もっとしてほしい……って、言って」耳元にかかる熱い吐息。蒼真さんの唇がそっと耳に触れると、体が勝手に身震いした。「ああっ、も、もっと……して……」体中がしびれ、我慢できないほどの快感に包まれる。言葉で表すことのできない刺激的な快楽が押し寄せる。「藍花……可愛いよ」「蒼真さん……はぁっ、い、いいっ、気持ち……いい」蒼真さんの舌が私のいやらしい部分に這う。どうしようもなく濡れている場所をさらに愛撫され、私はもうどうなってもいいと思った。「イキたい?」「は、はい……もう……我慢できないっ」蒼真さんは、人差し指で私の秘部の奥を何度も突いた。こんなことをされたら……「ああっ!ダ、ダメぇ!もう……イッちゃう……」案の定、私は簡単にあっけなく絶頂を迎えた。蒼真さんに私の敏感な部分を全て知られ、逃げることなんてできない。もちろん……逃げたいなんて思わないけれど。「蒼真さん……」「ん?」「蒼真さんは……本当に私の体で満足してます

  • 情熱的なあなたに抱かれ私は甘い夢を見る~新人看護師は無敵な外科医にしつけられてます~   2【another story】藍花の幸せ

    「……残念だな。確かに……嘘だよ」「……う、嘘?」「彼は、僕の彼女の告白を見事に断った。僕のことを裏切った彼女にも腹が立つけど、1番憎いのは白川先生だよ。彼は何もかも持っているのに、誰1人女性を相手にしようとしなかった。そういうところがめちゃくちゃ嫌いだったよ。余裕があるっていうか……」嘘だったと聞いて、信じていたとは言え、心からホッとした自分がいた。「蒼真さんは誠実な人なのに、勝手に悪者にしないでください。そんな理由……ひどいです」「……君はほんとに彼のことが好きなんだね。よくわかったよ。それに、白川先生も……嘘偽りなく藍花さんのことが好きなんだろうね」「……」そうだといいなと、一瞬考えてしまった。蒼真さんに嘘偽りなく愛されたい――私は心からそう思った。「どんな女も寄せつけない男が選んだんだ、君は相当良い女なんだろう」「そ、それは……。で、でも、これ以上、蒼真さんに何か言ったり変なことしたら私、許しませんよ」「強いな、君は。別に、今まで彼に何かをしようと思った事はないよ。もう忘れていたし、僕は僕の道を進んでいた。なのに、白川先生が突然連絡してきて……。あれだけ女性を相手にしなかったくせに、君みたいなとても素敵な女性を奥さんにしていたから……。結局、ああいう男が、君みたいないい女を手に入れるんだと思うと、なんだか無性に腹が立ってきて……。あの時彼女を奪われた僕の気持ちを白川先生にも味合わせてやろうと思ってね」「そんな……」「僕の密かな企みは結局失敗に終わったけどね。残念だけど、僕じゃ、彼には到底かなわないってことだな」堂本先生は苦笑いした。「僕はね、あれから誰かを好きになることができなくなってしまったんだ」「えっ?そんな……」「本当のことだよ。彼女ができても、またフラれるんじゃないか、誰かに盗られるんじゃないかって思うと怖くてね。情けないけど、誰かを好きになることができなくなってしまって」「堂本先生……」何だかその告白に胸が痛くなった。トラウマになってしまった先生の気持ちはわからなくはない。でも、それは蒼真さんのせいではない。彼氏がいながら、他の男性に告白した女性が悪いと思う。「今の病院すごくいいでしょ?働きやすくて、みんないい人ばかりだ。正直、そんな中でこんな歪んだ心を持った自分が、これから先、うまくやっていける自信は

  • 情熱的なあなたに抱かれ私は甘い夢を見る~新人看護師は無敵な外科医にしつけられてます~   1【another story】藍花の幸せ

    蒼太が小学校の高学年になり、私は蒼真さんの勧めで、近くの病院で看護師として働きだした。蒼真さんの知り合いの内科の先生がいる地元では有名な総合病院。松下総合病院と比べると、かなり規模は小さいがそれなりに立派な病院だった。いろいろ教えてくれる中川師長のような頼りになる先輩がいてくれて、とてもありがたかった。私は、外科の病棟に勤務していた。「藍花さん。少しは慣れましたか?」「あっ、堂本先生。はい……と言いたいところですが、まだまだです。堂本先生がこちらの病院を紹介していただいたおかげで本当に助かりました。ありがとうございました」「いえいえ。白川先生から頼まれると断れません。彼は僕の学生時代の友達ですから」「主人からも聞いています。堂本先生はとても優秀だから、勉強させてもらいなさいと」スラット背が高く、白衣も似合っていて、とても落ち着いた雰囲気のある真面目な先生だ。病院内の評判もとても良い。看護師達からの信頼も厚く、患者さんにも人気がある。松下総合病院で頑張っている蒼真さんと同じだ。「とんでもない。学生時代から彼の方がとても優秀で、僕なんか足元にも及ばないですよ」「……あっ、いえ。短期間ですが、先生を見ていて立派な方だとわかります」「ありがとうございます。あなたにそう言ってもらえると嬉しいです」「よかったら、1度、食事でもいかがですか?」「本当ですか?主人も喜びます」「……あ、いや。できれば、藍花さんと2人で話がしたいんですけど……。いろいろと……」えっ、2人きりで?……と、心の声が口から出そうになった。堂本先生の突然の誘いに驚き、なんと答えればいいのかわからなかった。「……ダメかな?」「す、すみません。2人きりはちょっと……。ナースステーションの誰かを誘ってみんなで行きませんか?」そう言った途端、堂本先生の顔つきが険しくなった。「みんなでワイワイするのは好きじゃないんだ。落ち着いたところで、白川先生の学生時代の話とか……できたらいいんだけど……」「主人の学生時代の話ですか?」そう言われると、とても興味がある。それでも蒼真さんに内緒で行くことはできない。「ああ、そうだよ。学生時代の白川先生のことを君に教えてあげたくて。聞きたくないの?」「き、聞きたくないことはないです。でも……」「とても興味が湧く話だと思うけどね」

  • 情熱的なあなたに抱かれ私は甘い夢を見る~新人看護師は無敵な外科医にしつけられてます~   3【afterstory】蒼太の幸せ

    僕はその結果に心からホッとしながらも、正直、自分を情けなく思った。自分にとって何よりも大切な人がこんなになるまで頑張っていたのに……無理していることに気づいてあげることができなかった。結果、桜子に不安を与えてしまい、痛い思いをさせてしまった。医師として、そして、彼氏として本当に申し訳ないことをしたと心底反省した。医師だから、体も心も強いわけではない。もがきながら、苦しみながら、逃げ出したい気持ちもある中で、みんな必死に患者さんのために頑張っている。僕も今回の事を教訓にして、桜子の体調も気にしながら、お互い励ましあって、支え合って生きていきたいと思った。もう二度と桜子を不安にさせないと、心に誓った。「ごめんね。本当に心配かけて。何だかみんなに心配をかけてしまって……恥ずかしい。これからは、一生懸命、妊婦さんや婦人科の病気を抱えている人のために頑張っていくね。あ、でも、自分の体にも気をつけていきます」「……うん。そうだね。僕もたくさんの人の命を守りたい。その気持ちを永遠に持ち続けて、そして、桜子のこと、必ず……幸せにしたい」「蒼太さん……?」「本当はもっとロマンチックな形で言いたかったけど、今どうしても君に伝えたいから」「えっ?」「桜子。僕たち結婚して、夫婦にならないか?」「……蒼太……さん?」「お互いに支え合って、いつまでもずっと一緒にいよう。絶対幸せにするから、僕についてきてほしい」「……嬉しい。蒼太さん、私、とっても嬉しいよ」「ほんと?」「うん、私を選んでくれて本当に本当にありがとう」「こちらこそ……。うわっ、すごくドキドキした」あまりの緊張に思わず心臓を抑えた。「私もドキドキしたよ。ありがとう、ほんとに嬉しい」「うん、僕も嬉しい。良かった……」病院の片隅、僕たちは永遠の愛を誓った。泣きながら笑うなんて変だけど……でも、こんなに幸せでいられることに感謝しかなかった。***それからしばらくして、両親と僕たちは川の近くにあるキャンプ場にやってきた。流れる水がとても綺麗で、心地よい風が吹いている。最高のキャンプ日和だ。早速、近くにテントを張ってバーベキューの準備をする。父も母も、桜子の元気な姿を見て、とても嬉しそうだった。「何だか蒼太の子供の頃を思い出すわね。川辺で遊んでいる姿がとても可愛かったわよね。ほ

  • 情熱的なあなたに抱かれ私は甘い夢を見る~新人看護師は無敵な外科医にしつけられてます~   2【afterstory】蒼太の幸せ

    数日して、桜子が胃カメラを受ける日がやってきた。一旦腹痛も治まり、翌日には退院して、仕事にも戻っていた。僕の両親と桜子、4人でその話をしたら、父も母もとても心配していた。父は外科医、母は看護師、2人とも熱い志を持って今も仕事をしている。2人とも可愛い桜子に対して何かしてあげたいとの思いを語ってくれた。「お父さん、お母さん。私のことをそんなに心配してくださって、本当にありがとうございます。産婦人科医として働いている自分が病気になるなんて……すごく情けないです」桜子は沈痛な面持ちで頭を下げた。「何を言ってるの。人間は病気になるものよ。でも病院に行って治療を受ければ大丈夫。病院と先生を信じてね。きっと良くなるわ。情けないなんて言っちゃだめよ」母が丁寧に諭すように言った。看護師としての母も、普段の母も、とても穏やかで優しい人だ。「お母さん……。励ましていただいてとっても心強いです」「いえいえ、私は昔、外科医である主人によく怒られていたのよ。笑顔で患者さんに接して、決して不安にさせてはいけないって」「別に怒っていたわけじゃないよ」父が照れながら言う。僕にはわかるけどね、父は母のことが大好きで、でも、うまく気持ちを伝えられずに、そういう態度で接してしまっていたんだって――「とにかく患者さんに優しく不安を与えずに治療を続ける主人を見て、とても感動したの。患者さんは先生に頼るしかない。わからないから不安になる、だから、先生に優しくされたら心から安心するのよね。主人と関わる患者さんは皆そうだったわ」「……そのくらいでいいから」「お父さん、照れすぎだよ。お母さんはそんなお父さんのことをいつだって尊敬していた。僕もその姿を見ていたから、お医者さんになりたいって子供の時から決めてたよ。無事に父さんと同じ外科医になれて本当に良かったと思ってる」「そうよね。だってそのおかげで蒼太は、桜子さんと出会うことができたんだもの」「お母さんがお父さんと出会ったように……ですね」桜子が少し目を潤ませて、そう言った。「そうね。私も主人と出会えて本当に幸せよ。可愛い桜子さん、本当に蒼太と出会ってくれてありがとうね。病気の事はきっと大丈夫だから。信じましょう。元気になったら、みんなでバーベキューでも行きましょう」「うわぁ、楽しみです。バーベキューなんて小学生の時以来で

  • 情熱的なあなたに抱かれ私は甘い夢を見る~新人看護師は無敵な外科医にしつけられてます~   1【afterstory】蒼太の幸せ

    優秀な外科医である父の背中を見て育った僕は、昨年研修医を経て、無事に父と同じ外科医となった。まだまだ未熟だけれど、志は熱い。これからたくさんのことを学んで、多くの患者さんを救いたいと心に誓っている。大学病院の外科での仕事は大変だけれど、それを支えてくれる父や母、そして、僕の彼女の「相川 桜子」、みんなのおかげでモチベーション高く頑張れている。桜子は同じ大学で医学を学んだ同士であり、現在は産婦人科医として頑張っている。父や母の知り合いの七海先生の話はよく聞いていたが、僕も、産婦人科医はとても大変で尊い仕事だと認識している。桜子とは新米の医者同士、励ましあったり、知識を共有したりして、お互い尊敬しあっていてとても良い関係だ。そう、彼女は、僕の最高のパートナー。来年あたり結婚して、仲の良い楽しい家庭を作りたいと思っている。もちろん、授かることができれば、かわいい赤ちゃんも欲しい。僕の両親もそのことをとても喜んでくれていて、優しくて品があって、努力家の桜子のことをすでに娘みたいに可愛がってくれている。***そんなある日のこと。桜子はいつものように実家から大学病院に向かった。電車を降りて病院まで歩いている途中の事だった。桜子が急に腹痛を訴えて倒れ込み、たまたま近くにいた人が救急車を呼んでくれ、僕たちが勤める大学病院に運ばれた。知らせを聞いて、僕は慌てて桜子の元に飛んでいった。桜子はお腹を押さえ、冷や汗をかいてベッドに横たわっていた。「桜子!大丈夫か?」「あっ、ごめんね。仕事中なのに」「何言ってるんだ。そんなこと気にするな。それより大丈夫なのか?」「……うん、急にお腹を刺すような痛みがして……」僕は目の前にいる桜子を見て、胸が張り裂けそうなくらい不安になった。一体何が起こったのかと心配で心配でたまらない。なのに、今の自分には何もしてあげることができず、医師として情けなくて悲しくて、無力さを痛感した。「蒼太先生。桜子先生は今から検査に入ります。すみませんが、しばらく待っていて下さいね」「わかりました。先生、どうかよろしくお願いします」 「大丈夫ですよ。しっかり検査させていただきます。終わったらまた連絡しますね」「お世話になります。ありがとうございます」僕はそう言って、担当の先生に頭を下げ、不安な気持ちを抱えたまま外科に戻った

  • 情熱的なあなたに抱かれ私は甘い夢を見る~新人看護師は無敵な外科医にしつけられてます~   2【after story】 歩夢の幸せ

    伯母さんに結婚をせかされてから数日後、僕は、いつものように松下総合病院で仕事をしていた。「歩夢さん。あの……私、もうすぐ退院ですよね」「そうですね。よく頑張りましたね」「あの……退院する前に話しておきたいことがあって……」しばらく入院していた田川 紗英さんに、突然話しかけられてびっくりした。「……どうかしましたか?田川さん」「……入院中、仲良くしてくれてありがとうございました。すごく不安で仕方なかったけど、歩夢さんのおかげでリラックスして手術も受けれたし、術後もいっぱい励ましてもらったから今日まで頑張れました」僕より2つ年下の彼女。気づけば、田川さんは僕のことを名前で呼んでくれていた。「ありがとうございます。そう言ってもらえたら嬉しいです。少しでも田川さんのお役に立てたならよかったです」「少しだなんて。歩夢さんにはたくさんたくさん励ましてもらいました。私、すごく……幸せでした」「そんな大げさですよ、幸せだなんて。これから先、あなたにはたくさん幸せなことが待っていますから」「そうですかね……。私にも何か良いことありますかね」「もちろんですよ。絶対あります。田川さんは、退院したらやりたいこととかあるんですか?」田川さんは、小柄で女性らしいふんわりとした印象のある、とても可愛らしい人だ。しかも、性格が良い。趣味の話や、テレビや食べ物の話など、いろいろなことを話している中で意気投合することも多かった。きっと、こんな人と結婚したら毎日楽しんだろうなと、ほんの少し思ったりもした。「……やりたい事はたくさんありますよ。映画も見たいし、ショッピングもしたい。キャンプに行ってバーベキューもしてみたいし、夜空の星を見るツアーにも参加してみたい。あっ、遊園地にも行きたいですね。あとは……う~ん、まだまだやりたい事がいっぱいあってまとまりません」必死に語る田川さんが可愛く思えた。「いいじゃないですか。楽しみがいっぱいですね」「でも……」「でも?」「どれもこれも1人では寂しいです。2人でなら楽しいことばかりですけど……」田川さんは目を閉じて、そして、何かを想像するかのように微笑んだ。「ん?仲良しの友達がいるんですか?」「……友達はいますけど……そういう楽しいことを一緒にしたいと思うのは、やっぱり……」田川さんは、急に僕から視線を外し戸惑

  • 情熱的なあなたに抱かれ私は甘い夢を見る~新人看護師は無敵な外科医にしつけられてます~   1【after story 】歩夢の幸せ

    「歩夢、いい加減、そろそろあなたも結婚とか考えたらどうなの?いつまでも1人じゃ寂しいでしょ」伯母の中川師長にまた同じ質問をされた。もう何度目だろう。もちろん、伯母さんだって本当は言いたくないだろうけど……「だから、いつも言ってるように、僕には彼女がいないんだから結婚なんてできないよ。相手がいなきゃ、結婚はできないんだからね」「当たり前でしょ。そんなことわかってるわ。ほんとに毎回毎回同じことばかり。歩夢にはその気がないの?」今日の伯母さんはいつも以上に必死だ。「その気がないわけじゃないよ。でも……病院にいたら出会いなんてないよ」「そうはいうけど、今どきネットとか出会いはたくさんああるんでしょ?何か試して前に進んでみたら?この間も、私の知り合いの娘さんが、その……なんて言うのかしら?マッチングアプリ?そういうので、素敵な人と出会ったらしいわよ。いろんな相手がいてね、こちらが興味を示したらボタンを押すんですって。それを見て相手も興味を持ってくれたら、会ったりするんですって~。すごいわよねぇ~」伯母さんの口からマッチングアプリなんていう言葉が飛び出すとは思ってもみなかった。確かに……伯母さんの助言は有難いと思う。だけど、今の僕には誰かと付き合うなんてまだ考えられない。正直、藍花さんと離れて数年、他の誰かを好きになることはなかった。無理して誰かを好きになろうとも思わなかった。僕は……きっとこのまま独身のまま人生を終えるのだと……そんな気がしていた。それでもいいとさえ思っていた。「伯母さんの気持ちは本当にありがたいけど、もう少し今は仕事を頑張っていたいんだ。まだまだ未熟だし、仕事が1番楽しい。もっと勉強して、いろんなことを知りたいから。そうだ、伯母さんこそマッチングアプリとかしてみれば?良い相手が見つかるかも知れないよ」「な、な、何を言ってるのよ!伯母さんをからかわないで。ま、全く何を言ってるのかしらね。私がマッチングアプリなんてするわけないでしょ」かなり慌ててる伯母さんをみたら、さらにからかいたくなった。「伯母さんも第2の人生を楽しんでみたら?イケメンでお金持ちの人もいるかも、僕、断然応援するよ」「私のことはいいのよ、ほんとにもう。歩夢……。あなた、もしかして、まだ藍花ちゃんのことを?」伯母さんにはとっくの昔から僕の気持ちを見抜かれ

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