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愛人優先で愛娘を死なせた爆弾専門家の夫

愛人優先で愛娘を死なせた爆弾専門家の夫

Por:  マリモCompletado
Idioma: Japanese
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トップ爆発物処理専門家である夫の氷室凛斗(ひむろ りんと)が、娘の結衣(ゆい)が拉致された際、爆弾の赤いコードを切り間違えた。 さらに呆れたことに、彼は全くの未経験である幼馴染の星野陽菜(ほしの ひな)を支援に呼び寄せる。 陽菜がわざとハサミをずらしたことで、爆弾のカウントダウンが短縮された。 私、桜井琴音(さくらい ことね)は顔を青ざめさせ、爆発する前に結衣を助けてほしいと凛斗に土下座して懇願した。 しかし、彼は道具を片付けて立ち上がる。 「琴音、くだらないことで騒ぐな。 陽菜が得意なのは爆発時間を延ばすことさ。 爆発ギリギリで結衣の救出に成功すれば、陽菜は最優秀新人賞を取れるんだよ」 私は絶望で崩れ落ちそうになりながら、他の爆発物処理班を探し回ったが、誰一人として凛斗の任務を奪おうとはしなかった。 一分一秒と時間が過ぎていく中、仕方なく陽菜が無資格で作業していることを告発しようとすると、凛斗は私に爆弾を縛り付けたのだ。 「告発するか、それとも俺が起爆装置を押すか、どっちか選べ。 25時間後に俺が直接結衣を迎えに行く。それで万事解決。 悪くはないだろう?」 凛斗、爆弾が爆発するまで、本当はもう24時間しか残っていないのに!

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Capítulo 1

第1話

トップ爆発物処理専門家である夫の氷室凛斗(ひむろ りんと)が、娘の結衣(ゆい)が拉致された際、爆弾の赤いコードを切り間違えた。

さらに呆れたことに、彼は全くの未経験である幼馴染の星野陽菜(ほしの ひな)を支援に呼び寄せる。

陽菜がわざとハサミをずらしたことで、爆弾のカウントダウンが短縮された。

私、桜井琴音(さくらい ことね)は顔を青ざめさせ、爆発する前に結衣を助けてほしいと凛斗に土下座して懇願した。

しかし、彼は道具を片付けて立ち上がる。

「琴音、くだらないことで騒ぐな。

陽菜が得意なのは爆発時間を延ばすことさ。

爆発ギリギリで結衣の救出に成功すれば、陽菜は最優秀新人賞を取れるんだよ」

私は絶望で崩れ落ちそうになりながら、他の爆発物処理班を探し回ったが、誰一人として凛斗の任務を奪おうとはしなかった。

一分一秒と時間が過ぎていく中、仕方なく陽菜が無資格で作業していることを告発しようとすると、凛斗は私に爆弾を縛り付けたのだ。

「告発するか、それとも俺が起爆装置を押すか、どっちか選べ。

25時間後に俺が直接結衣を迎えに行く。それで万事解決。

悪くはないだろう?」

凛斗、爆弾が爆発するまで、本当はもう24時間しか残っていないのに!

……

23:56:03

23:56:02

……

唇が震える。

数字が変わるたびに、自分の肉が削ぎ落とされるような辛い感覚に陥る。

モニターの中では、結衣が恐怖で体を丸め、その目はすでに虚ろになっている。

凛斗はカウントダウンの数字をまともに見ようともせず、その瞳に誇らしげな光を浮かべる。

「陽菜、これは絶好の練習チャンスだ。

将来、きっと優秀な爆発物処理の専門家になれるぞ」

私の頭の中で激しい耳鳴りがする。

凛斗はわざと赤いコードを切り間違えたのだ!

トップクラスの爆発物処理専門家として、彼はこれまで一度も失敗したことがない。

それなのに、結衣が拉致されて二日間も経ったというこの危機的状況で、最も初歩的なミスを犯したなんて。

「凛斗、一時間遅れることが何を意味するか分かってるの?」

彼が振り向くと、目元にあった笑みは消え失せ、代わりに苛立ちが浮かんでくる。

「琴音、俺がうっかり赤いコードを切り間違えたんだ。

陽菜さえ支援に来てくれなかったら、結衣はとっくに吹き飛ばされたぞ。

感謝するどころか彼女の力を疑うのか。

お前は大人しくここで待ってろ。

陽菜が最優秀新人賞を取ったら、琴音と結衣を連れて海外旅行に行ってやるからな」

私は思わず涙混じりの笑い声を漏らす。

陽菜は資格書すら持っていないのに、特例で彼の弟子になった。

ただ彼女が「爆発物処理ってかっこいい、私も大賞を取りたいなぁ」と言っただけで、凛斗は結衣の命を彼女の練習のきっかけにしてあげたのだ。

こんな男など、父親を名乗る資格があるものか!

血が頭に上り、私はほとんど声を枯らして叫ぶ。

「結衣を助けに行かないと、絶対に後悔するわよ!」

凛斗は手に持った起爆装置を揺らし、その瞳に脅しの色を濃くする。

「琴音、俺の我慢にも限界がある。

結衣にはあと一日待ってもらうだけだ。

食料も水も用意してあるぞ。俺が何を後悔するって言うんだ?

結衣はお前に甘やかされすぎて、少しの苦労も耐えられないのか?

わがままに育ったお嬢様なんか、我が氷室家の子どもにはふさわしくない!」

凛斗の言葉は一文字一文字が鋭いキリのように私の心を抉り、氷の底へ突き落とされるような感じがする。

かつて私の前で一生守り抜くと誓ってくれた男が、今や別人のように冷酷になっている。

五年前、妊娠八ヶ月だった私が拉致された時、彼は真っ先に現場へ駆けつけてくれた。

爆弾が改造されていたため、彼は汗だくになってまで苦労して、二時間かけても解決策を見出せなかったんだ。

私が涙ながらに逃げてと促しても、彼は逆に私の手を強く握りしめ、目を真っ赤にして言った。

「琴音、俺は逃げない。

もし本当に解除できなかったら、俺も琴音とお腹の子と一緒に死ぬから、怖くないさ!」
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第1話
トップ爆発物処理専門家である夫の氷室凛斗(ひむろ りんと)が、娘の結衣(ゆい)が拉致された際、爆弾の赤いコードを切り間違えた。さらに呆れたことに、彼は全くの未経験である幼馴染の星野陽菜(ほしの ひな)を支援に呼び寄せる。陽菜がわざとハサミをずらしたことで、爆弾のカウントダウンが短縮された。私、桜井琴音(さくらい ことね)は顔を青ざめさせ、爆発する前に結衣を助けてほしいと凛斗に土下座して懇願した。しかし、彼は道具を片付けて立ち上がる。「琴音、くだらないことで騒ぐな。陽菜が得意なのは爆発時間を延ばすことさ。爆発ギリギリで結衣の救出に成功すれば、陽菜は最優秀新人賞を取れるんだよ」私は絶望で崩れ落ちそうになりながら、他の爆発物処理班を探し回ったが、誰一人として凛斗の任務を奪おうとはしなかった。一分一秒と時間が過ぎていく中、仕方なく陽菜が無資格で作業していることを告発しようとすると、凛斗は私に爆弾を縛り付けたのだ。「告発するか、それとも俺が起爆装置を押すか、どっちか選べ。25時間後に俺が直接結衣を迎えに行く。それで万事解決。悪くはないだろう?」凛斗、爆弾が爆発するまで、本当はもう24時間しか残っていないのに!……23:56:0323:56:02……唇が震える。数字が変わるたびに、自分の肉が削ぎ落とされるような辛い感覚に陥る。モニターの中では、結衣が恐怖で体を丸め、その目はすでに虚ろになっている。凛斗はカウントダウンの数字をまともに見ようともせず、その瞳に誇らしげな光を浮かべる。「陽菜、これは絶好の練習チャンスだ。将来、きっと優秀な爆発物処理の専門家になれるぞ」私の頭の中で激しい耳鳴りがする。凛斗はわざと赤いコードを切り間違えたのだ!トップクラスの爆発物処理専門家として、彼はこれまで一度も失敗したことがない。それなのに、結衣が拉致されて二日間も経ったというこの危機的状況で、最も初歩的なミスを犯したなんて。「凛斗、一時間遅れることが何を意味するか分かってるの?」彼が振り向くと、目元にあった笑みは消え失せ、代わりに苛立ちが浮かんでくる。「琴音、俺がうっかり赤いコードを切り間違えたんだ。陽菜さえ支援に来てくれなかったら、結衣はとっくに吹き飛ばされたぞ。感謝す
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第2話
しかし、目の前にいる彼は、もうあの日の彼と重なることはできない。私が深い悲しみに暮れるのを見て、陽菜は凛斗の後ろに隠れ、こちらへと挑発的な表情を浮かべた。彼女は明らかにわざとやっているのだ!我に返った時、私の両手はすでに彼女の首を絞め上げていた。だが次の瞬間、凛斗は慌てて起爆装置を押してしまう。閃光が走る最中、心にはただ一つの望みだけ。私と結衣には、もうこの男が必要ない!――ドカン!体に縛り付けられていた爆弾の威力は小さかったが、破片は容赦なく皮膚を突き破る。無数の矢で射抜かれたような痛みが、全身にびっしりとやってくる。それなのに、凛斗は真っ先に飛び出して庇ったのは陽菜なのだ。「琴音、陽菜の首を絞めてどうする気?頭がおかしくなったのか」破片が陽菜の手をかすめた。その傷口はほとんど見えないほど小さいのに、彼はひどく焦って眉をひそめる。その心配そうな表情は、少し前に私が指を切った時と同じだった。あの時も彼は同じように緊張し、私に絆創膏を貼ってくれたのだ。「自分の妻に怪我をさせたなんて、もう生きてる価値がないな。これからは俺に任せてくれ」しかし今、彼は陽菜に対しても同じように優しく接している。血まみれの顔で立ち尽くす私は心が、無数の刃でえぐられるように痛む。目の前の光景が突然ぼやけ、闇へと深く沈んでいった。再び目を覚ますと、すでに病院のベッドに横たわっている。「琴音、お前のわがままのせいで、陽菜が手に怪我をしたのが分るか?専門家となるのに差し支えるだろうが」私は凛斗の怒号を無視し、必死にスマホを探し回る。爆発までのカウントダウンは、もうあと三時間しか残っていないんだ!私は半ば取り乱し、凛斗の両腕を揺さぶる。「本当にあと三時間しかないのよ。結衣を見殺しにする気なの?」凛斗は嫌悪感を露わにして私を振り払う。あと三時間まであるから、爆弾処理には十分すぎる時間だと彼は依然として考えているのだ。「どうしても早く結衣に会いたいんだな? ならいいだろう。その手の皮膚を陽菜に移植しろ。罪滅ぼしだと思え」その言葉を聞いた瞬間、私は迷うことなく両手を差し出した。「私の皮膚ならいくらでもあげる。だから、一時間早く結衣を助けに行って」狂ったような私の様子を見て、凛斗
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第3話
私は絶望でスマホを見つめ、何度も何度もごめんなさいと繰り返す。「結衣、お母さんが役立たずばかりで……」それも私が人を見る目がなく、愛する相手を間違えたせいで、結衣に責任感のある父親を見つけてあげられなかったからだ。私の心の中の張り詰めていた糸が、完全にぷつりと切れる。……結衣の骨壷を抱いた時、声が枯れるほど泣き叫ぶものだと思っていた。しかし、そうはならなかった。私はただ、呆然と大通りを歩いている。家の前に着いた途端、カメラやマイクを持った大勢の記者たちにぐるりと取り囲まれる。私は訳が分からないまま凛斗を見る。「被害者の家族として、星野さんに直々礼を言うべきなのでは?」「もし星野さんが時間を稼いでくれっていなければ、娘さんはとっくに爆発で亡くなったんじゃないですか」絶え間ないフラッシュの中で、私は正気を失ったように凄惨に笑い続ける。凛斗に引きずられるようにしてカメラの前に立たされ、私はようやく自分の声を取り戻す。「結衣はもう死んだわ。誰に助けてもらう必要もなくて」それを聞いて、凛斗の顔に不機嫌な色が広がる。「琴音、お前は一体何のでたらめを言ってるんだ?陽菜の顔に泥を塗るのに、娘が死んだなんて嘘をつくのか? それでも母親か」言い終わるや否や、凛斗は怒りに任せて腕を大きく振り払い、骨壺を地面に叩き落とす。耳の奥で、再び激しい耳鳴りがする。私はどさりと地面に跪き、泥混じりの遺灰を両手でかき集める。結衣は生前、あんなにきれい好きだったのに。頭上からは、凛斗が感謝を述べる声と、有頂天になった陽菜の甲高い笑い声が聞こえてくる。「今回の任務に星野さんがいなければ、結衣が助かることはありませんでした。彼女がこの業界でさらに飛躍することを願っています。俺も根気よく指導し、後継者として立派な専門家に育て上げるつもりです」結衣はもう死んだというのに。そして父親である彼は、満面の笑みで人殺しに感謝しているのだ。あまりにも狂っている!鳴り止まない熱烈な拍手の中、独占インタビューが終わった。凛斗がこちらを見下ろし、あざけるように冷笑を漏らす。「そこでずっと狂ったふりでもしてろ。結衣には陽菜みたいな、素直で勇敢な母親の方がお似合いだ!」あっという間に、私が地面に這
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第4話
助手が被害者の情報を確認しようとすると、陽菜が横から不意に口を挟む。「分かったわ。琴音さんってば、いくらなんでもひどすぎない?私が賞を取るのが嫌だからって、嘘の通報をして、結衣ちゃんの命まで賭けにするなんて……怖すぎるよ!」陽菜は心から結衣を心配しているかのような表情で、恨みがましく私を見つめる。それを聞いた凛斗は、心にわずかに生じていた躊躇いも完全に消え失せ、私を鋭く睨みつける。「琴音、本当に嘘の通報をしたのか?本当に結衣を愛していると思っていたが、お前にとって俺の気を引くことが何よりも、娘の命よりも大事だったんだな!」言い放つなり、凛斗はまたしても骨壺を乱暴に払いのけた。今度は遺灰が水槽の中に落ち、もう二度と拾い上げることはできない。私の心臓がドクリと重く沈む。遺灰が魚に一口、また一口と食べられていくのを見て、涙がこぼれ落ちてしまった。「白々しい演技をするな! そこで精々反省してろ。帰ってきたらただじゃおかないからな!」凛斗は腕時計に目をやり、ふと息を呑む。「これ以上遅れるわけにはいかん。陽菜、行くぞ」急ぎ足で去っていくその後ろ姿を見つめながら、私は叫びを上げたいが、その言葉がどうしても声にならない。すでに爆死した人間は、あなたの実の娘なのよ!けれど、凛斗にもうその声は届かない。たとえ届いたとしても、彼はもう私をこれっぽっちも信じないだろう。空っぽになった骨壺を抱き寄せる。そして心の中で何かが砕け散る音がした。結衣の遺品を整理していると、彼女のスマートウォッチが転がり落ちてきた。中には、途切れ途切れに録画された映像が残っていた。「このクソガキ、あんたの母親と同じで目障りなのよ。凛斗との愛を奪い合う気なんて、死ねばいい!でも、ただで死なせるわけにはいかないわね。凛斗に私の才能を認めさせるための生贄になってもらうわ。あんたも吹き飛ばせるんだから、一石二鳥でしょ?次は母親の番だね。地獄で仲良く親子再会させてあげるから!」結衣を拉致した真犯人は、陽菜だったのだ!すべては彼女の自作自演であり、寵愛を奪うための手段に過ぎなかった。そして凛斗は、完全に彼女の共犯者に成り下がっていたのだ。テレビではニュースが流れており、派手に着飾った凛斗と陽菜が、もっとも
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第5話
がらんとした部屋のどこにも、結衣の姿は見当たらない。気付けられるのは、コンクリートの床に四方八方へと飛び散り、彼の足元まで広がっている血痕だけだ。後から追いついてきた記者たちも、目の前の惨状で、その場に立ち竦む。しばらくして、凛斗はようやく自分の声を取り戻した。「こ……こんなこと、あり得るわけがない。まだ十数分も残っていたはずだ。処理するには十分すぎる時間なのに、どうして爆発なんかが?」その体は大きく揺らぎ、今にも崩れ落ちそうになる。傍らの手すりにしがみつき、かろうじて立っている状態だ。ふと、何かを思い出したように、彼は慌てた様子で工場の責任者を呼びつけた。「一体何が起きたんだ?すぐに監視カメラを確認しろ! こんなの、絶対にあり得ないだろう!」責任者が背を向けようとしたその時、突然陽菜がその前に立ちはだかり、凛斗を見る。「凛斗、まさか私のことを信じてくれないの?ちゃんと設定しておいたもん。あの子は絶対に無事なはずよ」だが、目の前に広がる血痕は、どう見ても無事な様子ではない。凛斗の躊躇を感じ取った陽菜は、目を細めてこうけしかける。「私の推測だけど、きっと琴音さんがあの子を助け出したのよ。この床の血も彼女が偽造したもので、私に恥をかかせようとしてるに違いないわ」そう言うと、彼女は悔しそうにすすり泣きを始める。凛斗は少し考えを巡らせば、わずかに安堵の息を漏らす。「もし本当にそうだったら、琴音のやつ、やりすぎだろ。結衣の体に縛り付けられた爆弾が爆発するのを恐れていないのか?」そう言うや否や、凛斗は急いでスマホを取り出し、琴音に何度も電話をかける。結衣のスマートウォッチにまで電話かけた。しかし、返ってくるのは冷ややかな機械の音声ばかりだ。「おかけになった電話は、現在電波の届かない場所にあるか……」その声を聞くたびに、どうしようもない焦燥感がする。陽菜がそっと彼の腕を引いたことで、ようやく我に返る。「琴音さん、あんなに結衣ちゃんを大事にしてるんだから、きっと解除する方法を見つけたのよ。気が済んだら、きっと帰ってくるわ。とりあえず授賞式の会場に行きましょうよ。凛斗と一緒にコンビとして注目されたおかげで、主催者側が賞をくれることになったの」今の彼にとっ
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第6話
「身の程を知れ」凛斗が言い捨てるや否や、助手が血相を変えてドアを押し開け、慌てて言う。「氷室様、ここにいらっしゃったんですね!何度も電話したんですよ。……爆発で亡くなった被害者は、お娘さんなんです!」その短い一言で、凛斗の頭の中に激しい耳鳴りが響き渡る。彼は口をパクパクとさせ、しばらくしてようやく声を発した。「お前……何を言ってるんだ?冗談だろう? 俺はトップクラスの専門家だぞ。俺の娘が爆弾で死ぬわけがないじゃないか」その様子を見て、助手は急いで死者の資料を取り出す。「本当です。間違いありません。それに、本部も氷室様の責任を追及する構えです……誰かが通報したそうで」凛斗は資料をひったくって見た。そこに貼られている写真は、紛れもなく結衣のものだ。途端に激しい目眩いに襲われ、世界全体がぐるぐると回り出すような感覚に陥る。自分の目の前で、何よりも愛する娘が命を落としたなど、到底信じられないのだ。「ありえない。時間はまだあったはずなのに……」その時、ふと琴音が泣き崩れていた姿が脳裏をよぎる。「凛斗、一時間遅れることが何を意味するか分かってるの?」「結衣を助けに行かないと、絶対に後悔するわよ!」この二つの言葉が頭の中で響き続ける。まるで彼を少しずつ、深淵へと引きずり込んでいくかのようだ。まさか、カウントダウンは本当に一時間短縮されていたというのか?凛斗はゆっくりと首を巡らせ、陽菜を見据える。「本当のことを言え。お前が教えてくれた時間は嘘だったのか?答えろ!」陽菜は目を丸くして驚き、しどろもどろになりながら弁解する。「私が凛斗に嘘なんてつくわけがない! 爆弾が早く爆発したなら、きっと犯人が何か細工をしたのよ」その言葉を、凛斗は半信半疑で受け止める。だが、誰が細工をしたにせよ、彼の娘が爆死したという事実はもう変わらない。突如として押し寄せてきた苦痛が、彼をきつく締め付ける。「結衣、お父さんが悪かった。守ってやれなくてごめんな……」凛斗は力なく床にへたり込み、全身を震わせて慟哭する。業界の誰も、彼がこれほどまでに弱い姿を見たことはない。陽菜は彼を慰めながらも、心の中では密かに笑っている。あのガキがいなくなれば、琴音も悲しみのあまりに、二
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第7話
映像の中では、陽菜が結衣の首を強く締め上げながら、容赦ない言葉で脅している。「このクソガキ、あんたの母親と同じで目障りなのよ。凛斗との愛を奪い合う気なんて、死ねばいい!でも、ただで死なせるわけにはいかないわね。凛斗に私の才能を認めさせるための生贄になってもらうわ。あんたも吹き飛ばせるんだから、一石二鳥でしょ?次は母親の番だね。地獄で仲良く親子再会させてあげるから!」そう言うと、結衣の口をガムテープで塞ぎ、その体を思い切り蹴り上げる。「あんたもあの女も、本当に反吐が出る!」結衣は無残にも床に這いつくばり、叫ぼうとしても声が出せず、顔を真っ赤にして苦しんでいる。目の前の光景は、鉄槌となって凛斗の心臓を容赦なく打つ。窒息になるまで痛めつけられる娘の姿に、胸が痛む。そして何よりも、結衣を拉致した真犯人が、自分が誰より甘やかしていた陽菜だったとは!映像に映る女の醜悪な本性に、彼は目を疑う。これ以上見ていられず、パソコンを閉じると、すぐ電話をかけて陽菜を呼びつけた。ドアから入ってきた女は、散らかった部屋を見るなり、白々しい態度で口を開く。「凛斗、元気を出して。きっと良くなるわよ。これからは私がそばにいるから。ねえ、一緒に住んで……」その言葉が終わるより早く、重い平手打ちが彼女の頬に落ちた。陽菜は目を丸くして、信じられないように目の前の凛斗を見つめる。「ど……どうしたの?」とぼける彼女を見て、凛斗はさらに頬を張り飛ばした。「よくもどうしたなんて聞けるよな!結衣を拉致したのもお前なら、わざと爆発時間を縮めたのもお前じゃないか!陽菜、このまま済むと思うなよ!」陽菜は恐怖のあまりその場に這いつくばって、命乞いを始める。「凛斗、本当にわざとじゃないの。私を信じて。ほんの出来心だったの。私を見捨てないでよ!」凛斗は彼女を一気に蹴り飛ばし、目を血走らせて咆哮する。「出来心だと? 完全に計算してやったんだろうが!結衣を殺して、次に琴音まで消すつもりだったじゃない。ふざけるのも大概にしろ!」それと共に、彼の拳が女の顔面を無慈悲にぶつける。陽菜は顔中血まみれになりながらも、無様に這い寄ってくる。「お願い、今回だけは許して。私のこと、愛してるでしょ?こんなに
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第8話
南都市のトップに君臨する弁護士、橘宗介(たちばな そうすけ)は、父の義弟にあたる。私が結婚してから、彼は正式に弁護士を引退し、イギリスの別荘で隠居生活を送っていた。結衣の死に陽菜と凛斗が関わっていると知った時、私は娘のためにけじめをつけると決意した。そして真っ先に思い浮かんだのが、橘おじさんのことだった。「琴音、氷室のやつ、それでも人間か? 自分の娘を愛人の練習台にするとは。結婚した時の誓いを忘れたとでも言うのか? 思い上がるのもいい加減にしろ」おじさんは私以上に結衣を溺愛しており、隠居してからも頻繁にプレゼントを送ってくれていた。結衣が凛斗のせいで爆死したと知り、彼を八つ裂きにしたいほど憎んでいる。私は結衣が遺したスマートウォッチを握りしめ、震える手でそれを彼に手渡した。「ここに陽菜が結衣を拉致して、いたぶった映像が入ってるわ。あの二人を、刑務所へ送ってやって。私と凛斗の関係は、もうおしまいだよ」結婚して五年間、私と結衣に昼夜を問わず寄り添ってくれた凛斗が、こんな常軌を逸した真似をするなんて思いもしなかった。最短で結衣を救出し、苦痛から解放することが、彼にとって簡単であるはずなのに。それが、陽菜のわがままな甘えに絆され、結衣の命をその手に委ねたのだ。かつて私と結衣を掌中の珠のように大切にしてくれた凛斗は、もうどこにもいない。彼への五年間の愛も、一瞬にして灰に消え失せた。私が送ったUSBメモリを受け取ったのだろうか、凛斗もついに、陽菜のしでかした悪行を知ることになった。彼は自らメディアの前で、己の過ちを深く懺悔して謝罪した。しばらく見ない内に、彼の頭には白髪が混じり、目が深く落ち窪んでいた。「すべては俺が星野を安易に信じたせいです。そのせいで娘を死なせ、琴音にも見放されました。俺に専門家を名乗る資格はありません。ただの、ろくでなしです!」彼は事の顛末をすべて語り、数え切れないほどの「申し訳ありません」を口にした。しかし、ネット民がそんなものを鵜呑みにするはずがない。【英雄だと思ってたのに、愛人のために自分の娘を犠牲にするなんて、人間のクズかよ】【星野なんて資格証すら持ってないじゃん。勝手に爆弾を解体させるとか規程違反もいいとこだろ。なんでそんな奴を信じたのか】
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第9話
「それはあなたの自業自得なのよ。一生その苦みの中で生きて、自分の犯した最低な罪を償いなさい」それを聞き、凛斗は突然、おかしくなったみたいに自身の頬を平手打ちした。一発殴るごとに「すまない」と口にしながら、止まらない涙を流し続ける。「琴音、俺はもう地獄の中で生きてるんだ。目を閉じても開けても、結衣の顔が浮かんでくる。あの子は助けを求めて、お父さん、お父さん助けてって、ずっと叫んでるんだ……でも、俺が結衣の方に行こうとすると、急に姿が消えてしまう。あんな感じは、本当に死ぬよりも辛いんだ!」私だって同じだ。毎晩のように、血の海に倒れながら「お母さん」と呼ぶ結衣の夢を見る。けれど、結衣がもう二度と帰ってこないことは分かっている。心にあるのは、娘への果てしない思いだけだ。しかし、後ろめたさを抱える凛斗は、結衣を思い出すたびに、ただ苦痛に苛まれるしかない。彼の心にある罪悪感が、彼自身を溺れさせるのに十分だった。苦悶に満ちたその表情を見下ろし、私は皮肉めいた笑い声を漏らす。「一生そうやって生きていけばいいのよ。結衣が味わったすべての痛みを、その身で骨の髄まで感じなさい。それだけじゃないわ。陽菜にも代償を払わせてもらう!」 凛斗は血が滲むまで、黙って唇を噛み締めていた。「琴音の言う通りだな。正直、俺も自分自身を許せないんだ。でも、俺には本当に琴音がいないと駄目なんだ。結衣を失って、この世界でたった一人で生きていくなんて耐えられない。琴音のいない生活も試してみたけど、それは無理だった……」それを聞いた瞬間、私はあらかじめ用意しておいた離婚協議書を、彼の顔に叩きつけた。紙の束が彼の皮膚を鋭くかすめていく。「何度言わせるつもなの?私たちは今すぐ、終わらせなきゃならないのよ。あんたの顔なんて、一秒でも見るだけで吐き気がするわ!」そう言い放つと、バンと音を立ててドアを閉めた。外では、凛斗が狂ったようにドアを叩き、私の名前を叫び続けている。偽善に満ちた「すまない」という言葉と、すすり泣く声が廊下に響き渡る。私は耳を塞ぎ、部屋の奥へと歩む。おじさんはすぐにボディガードを呼んで凛斗を荘園から、無理やり引きずり出させた。そして彼の手の甲を容赦なく踏みつけ、力強く踏み
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第10話
「あなたの報いは、こんなもんじゃ終わらないわ」それを聞き、陽菜は全身を震わせ、瞳に殺意が満ちた。「琴音、私がこんなになっても、まだ許してくれないわけ?凛斗があなたを庇うのは、ほんの出来心よ。彼は私を愛してるんだから!」言うと、遅れてやってきた凛斗が彼女を引き寄せ、思い切り頬を張り飛ばした。「何でたらめを言ってるんだ! 俺がいつ愛してるなんて言った? 愛してるのは、ずっと琴音だけだぞ!」そして、彼はすぐに私のもとへ駆け寄り、慌てて弁解する。「昔はあいつが単純だと思って、少し世話を焼いてやっただけだよ。琴音への気持ちは、今まで一度も変わってないさ。琴音、俺を信じてくれ」必死にご機嫌を取る彼の様子を見て、胃の中が何度も吐き気を覚える。嫌悪感を露わにして、彼を乱暴に振り払った。「あなたが誰を好きになろうと、私には何の関係もないわ。これ以上、私の前で白々しい真似をしないで。吐き気がするだけよ」その言葉を言い捨てて、私はおじさんの腕を引いて裁判所へと踏み入れる。開廷後、凛斗は一部始終を包み隠さずすべて打ち明けた。彼の後ろには、弁護士の一人すらもついていない。彼が最初から言い逃れする気などないこと、私には分かる。しかし、陽菜は完全に乱れ状態に陥っている。「凛斗、頭がおかしいの?こんなことして、自分の将来を台無しにする気?これまでの努力が全部水の泡になるのよ。私まで巻き込んで、あの女のためにそこまでする価値があるの?」凛斗は思わず拳を握りしめ、彼女の顔面に強く振り下ろした。「お前なんか万死に値する。死刑判決を受けたって当然だ!お前を殺して結衣が戻ってこられるなら、何百回も殺してやるぞ!」二人は狂犬みたいに激しく殴り合うが、最後には職員たちによって無理やり引き離された。おじさんは整理したすべての資料を提出し、憤りに満ちた声で口を開く。「氷室凛斗は星野陽菜と不倫関係にあったばかりか、悪意を持って実の娘を死まで至らしめました。断じて許されるべきではありません。氷室凛斗の厳罰を求めるとして、専門家としての資格を剥奪し、永久に同業界への従事を禁ずることを提案します。同時に、氷室凛斗と被害者の母親である桜井琴音の離婚を主張します」言葉が終わるや否や、凛斗は机を叩いて立
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