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第216話

Author: ラクオン
私は彼に近づいて、携帯の画面をちらりと見た。淫らな映像が映っていて、思わず踵を返しそうになった。

彼が見せてきたのは、あの夜のアナと義父の映像だった。

「そんなに急ぐなって」

彼は長い脚を伸ばして私の前に出し、逃げ道を塞ぐ。再生バーを巻き戻すと、画面は真っ暗になったが、音声だけははっきりと聞こえた。

しかも、それは私が耳に馴染みすぎるほど馴染んだ声だった。

「この件、しばらく誰にも言わないでもらえる?」

「言わないであげてもいいけど。何か見返りは?」

「何が欲しいの?」

「まだ決めてない。……そうだな。何か一つ、俺のお願いを聞いてくれよ。内容は、あとで俺が決める」

「……いいよ」

その会話を聞き終えて、私は呆然と彼を見上げた。

「まさか、録ってたの……?」

見た目は適当そうなのに、こういうときだけ妙に抜け目ない。

「たまたま録れてただけ」

低く笑いながら、彼は得意げな顔をした。挑発するように口元を歪めて。

「これ、証拠になるだろ?」

「……やるね」

言葉を詰まらせながらもそう返すと、少し苛立ち混じりの声で言った。

「で、何が目的なの?」

まさか、さ
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