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26話. 指輪が開く扉

last update Veröffentlichungsdatum: 03.11.2026 16:56:08

「朕の初恋の名は……それではなかったのだが」

窓枠にかけたレイラの足が止まった。カリクスの声に眠気はなかった。彼女は袖の外へ出かけた転送石を、再び手の中に隠した。

カリクスが寝台から下りた。レイラは窓枠から足を抜けないまま、彼の歩数を数えた。初恋の別の名を聞いたという話より、今着ているコートを先に説明しなければならなかった。夜風に当たっていただけという言い訳では、靴まで履いた姿を説明できない。

「……陛下」

レイラは転送石を隠し、震える声を絞り出した。

「こんな夜更けに窓枠を越えて、何をしていた?」

カリクスの声が耳を刺した。

「風に……当たっておりました、陛下」

「風だと?」

カリクスの口元が残酷に歪んだ。

「外套に靴まで身につけている。窓の外で誰と会うつもりだった?」

「一人でした」

「そんなことは聞いていない。朕の目を見ろ」

レイラは転送石を握った手を窓枠の下へ下ろした。彼が名前を疑っている間に、持ち物まで見せるわけにはいかない。だが、カリクスの視線はすでに外套の前をなぞっていた。

カリクスは手を伸ばし、彼女の首筋をつかんだ。レイラの背中が窓枠にぶつかった。つま先が床を探る間、
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  • 暴君陛下、愛しているふりはもう終わりです   27話. 侍医室の帳簿

    「北部要塞の反乱軍残党3,000人を、全員さらし首にしろ」黄金の謁見の間に響き渡る、冷酷な勅命。玉座にもたれたカリクスは、冷たい目で軍団長たちを見下ろした。「降伏を願い出た者どもの命乞いに来たのか、軍団長?」「陛下、北部の貴族300家が武器を捨て、慈悲を求めております!」「慈悲?」カリクスの唇が残酷に歪んだ。「反逆者に与える慈悲などない」「陛下、彼らを皆斬り捨てれば、北部国境の防壁を支える領主たちが……!」「黙れ! 朕の意に背く者は、その場で斬首せよと命じたはずだ」「どうかご再考ください、陛下!」「投降した者も例外ではない。首謀者の首は城壁に掲げ、加担した貴族の領地はすべて没収し、皇室直轄領に編入しろ」「御意! 皇帝陛下の命をお受けいたします!」赤いマントをまとった軍団長たちが、一斉に床へ額を打ちつけた。帳の後ろにいたレイラは、人差し指の黒曜石の指輪に触れた。昨夜、自分の名を呼びながらすがりついていた男が、今は投降者たちの命を奪えと命じている。その間に別人になったわけではないはずだった。侍医が告げた精製完了まで、あと2日。レイラは床に頭を垂れる軍団長たちを見た。薬を遅らせようとして発覚すれば、自分だけでなく調合室の者たちにも、あの命令が下されるかもしれない。何に手を出しても他人の命に触れてしまうことが、もどかしかった。***正午を過ぎ、政務が一段落した頃。レイラは領地の書類を確認すると告げて寝殿を出た。侍医室へ道を変えてからは、皇帝の頭痛に使う茶を求めに来たと言った。扉を守る衛兵は、人差し指の黒曜石の指輪を確かめて道を開けた。指輪は、すべての質問まで防いでくれるわけではなかった。背後で出入りの時刻を記録する音がした。レイラは聞こえないふりをして地下の調合室へ下りた。侍医たちが薬材を取りに席を外した隙に、青銅の薬釜のそばにある調合日誌を開いた。・第一段階の調合:浄化草の抽出液、完了。・第二段階の調合:氷霊水の蒸留、完了。・最終段階:2日後に精製完了予定。(2日後に精製完了……)レイラの心臓が激しく打った。そのとき、調合室の奥にある秘密の薬材搬入通路から、かすかな金属音が響いた。トン、トントン、トン。一族の暗号だった。レイラは息を潜め、薬材倉庫の角へ近づいた。みすぼらしい薬草商の服を着た男が、荒い息をつきながら

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