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第9話

Author: フカモリ
しかし、もう三年だ。

美雲は疑わずにはいられない。あの人でなしのバカ息子は、真琴をまるで後家のように扱っているのではないか、と。

美雲の問いかけに、一瞬、真琴はどう答えていいか分からなくなる。

しばらく義母を見つめた後、口を開く。

「お義母様、信行さんとは、離婚するつもりです」

考えに考えた末、やはり本当のことを告げることにした。

「離婚!?」

美雲は一気に激昂する。

「何かあったの?どうして、いきなり離婚なんて」

畳み掛けるように、また真琴に尋ねる。

「信行が言い出したのね。あのバカ息子……!」

美雲が罵り終える前に、真琴は急いで割って入った。

「お義母様、信行さんが言い出したのではありません。私から、切り出したのです」

その言葉に、美雲は瞬時に静まり返る。

しばらく真琴を見つめた後、尋ねる。

「真琴ちゃん、由美が帰ってきたからなの?由美は帰ってきたけれど、お義母さんと片桐家は絶対にあなたの味方よ。あの子が何か騒ぎを起こせるはずがないわ。信行をしっかり見張っておくから」

この三年間、真琴が耐え忍んできたことを、美雲は全て見てきた。

彼女を不憫に思うと同時に、自分の息子に腹を立てていた。

しかし、どうしようもない。何度信行を罵っても、彼は意に介さない。

茶碗と箸を手に、真琴は静かに美雲を見つめる。

「お義母様、由美さんのせいではありません。ずっと前から、そう考えていました。だから、数日前に信行さんに話したのです」

以前は、いつも「信行」と呼んでいたのに。いつからか、その呼び方をしなくなった。

「彼」と呼ぶか、或いは「信行さん」と呼ぶ。

その様子を見て、美雲は説得にかかる。

「真琴ちゃん、感情的にならないで。もう少し様子を見て、考え直してみない?せっかく一緒になれたんだもの、簡単なことじゃないのよ。

しばらく様子を見て、もし信行がまだ前と同じようだったら、お義母さんももうあなたを止めないわ。それで、いいかしら?」

それを聞いて、真琴は穏やかな声で言う。

「お義母様、結構長い間、様子を見てまいりました」

深い溝は、一日にして成らず。

信行を好きだったが、彼への想いは来る日も来る日も続く無関心の中で、少しずつ削り取られていった。

美雲を見つめ、真琴は続ける。

「お義母様、もうこんな風に続けるのは嫌なんです。あまりにも、惨めですから」

三年間、冷たい仕打ちを受け続ける。

彼が浮気すれば、その様々な浮気相手になりすまして後始末をしなければならない。

それに、信行と由美のダイヤモンドのペアリング。

もういい。

もう、全て、どうでもいい。

真琴が「惨めです」と口にすると、美雲は何度か言おうとしたが、自分の慰めがどれも空虚で無力であることに気づく。

リビングの方で、信行は両手をズボンのポケットに突っ込み、黙って二人を見つめている。その顔には、何の感情も浮かんでいない。

ただ、平然としている。

真琴が離婚を口にした時、彼はすでに帰ってきた。

食卓で、美雲が自分を見て何も言わないので、真琴が茶碗と箸を持って食事を続けようとした時、ふと信行が帰宅しているのに気づく。

一瞬固まるが、すぐに普段通りに戻り、急いで茶碗と箸を置いて立ち上がり、挨拶した。

「お帰りなさい。まだお食事、召し上がっていませんよね。お箸を持ってきます」

そう言って、振り返ってキッチンへ向かう。

その様子を見て、美雲は信行を振り返り、冷ややかに皮肉を言う。

「よくお帰りになれましたこと」

信行は平然としており、淡々とキッチンの方を一瞥すると、食卓の前に座り込む。

その時、真琴が出てくる。

信行にご飯とスープをよそう。

それを終えると、黙って席に戻り、食事を続ける。

美雲が信行に行き先を尋ね、用もないのに外をうろつかないようにと注意する間も、真琴は一言も口を挟まず、ただ黙々と箸を進めている。

信行は上の空で返事をし、時折真琴に視線を向けるが、彼女はこっちを無視しており、会話にも加わらない。

しばらくして、真琴のポケットのスマートフォンが鳴る。

秘書の美智子からだ。

お椀と箸を置き、電話に出ると、美智子の声が聞こえてくる。

「副社長、崇成建設の資料を先ほどメールでお送りしました。もし何か足りないものがあれば、また準備します」

真琴は穏やかな声で答える。

「分かったわ。まず目を通して、また連絡するわね」

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