LOGIN日が暮れる前に門まで戻ってきちんと出入りを終える。
「さて、急がないとな。今日は買い取ってもらうものが昨日より多いし、夜の鐘に間に合わないかもしれないな。血抜きはしてあるからある程度はいいとして、数があるからな。できるだけ急いで買取に出さないといけない、テンポよく行こう」
「はい! 」
一日体を動かしてやる気があふれているのか、セルフィが鞘に入ったままの剣をぶんぶん振り回しながら町中を進む。
「まず、冒険者ギルドに向かう。そこで今日の稼ぎを換金してもらって、それからそのお金で夕食をとって、宿を取ろう……もう宿は取ってあるんだけどな」
「はい」
「夕食は……それなりに硬いが、食べられないよりはいいし、味もそれほど悪くない。何より安くて腹にたまる」
「はい」
「セルフィのおかげで綺麗な形でモンスターを討伐できたからな。きっとそれなりにいい値段で買い取ってもらえるだろう。えらいぞ」
頭をなでてやる。
「えへへ」
「もうすっかり仲良しさんですねえ。よかったです」
イアンちゃんがまだついてきてくれているので、セルフィとその間に仲良しタイムを取れた。お互い過去のことは気を使いつつ、何をしていくのか、ということについて話し合った。
とりあえずしばらくはモンスター退治をしてお金稼ぎをして、何か思いつくようなことがあれば話すようにしている。
「じゃあ、私の父もご主人様と同じでお休み? でこの世界に来てたんですか。そのあいだにお母さんと付き合ってたと」
「たぶんそうだね。特別プランって奴で異世界へ来たんだ。俺はお前のお父さんみたいなへまをするつもりはないからな。立つ鳥跡を濁さずって奴で、セルフィのこともきれいに片づけていくつもりだ」
「それまでにしっかり鍛えてもらわなくちゃいけませんね。もっと危険なこともしましょう」
「そうだな……俺の手に余らない範囲でなら徐々に手を広げていこう。とりあえず東門周辺なら問題なさそうか? 」
「そうですね……ダンジョンに潜るという手もありますよ? 」
イアンちゃんがダンジョン、というキーワードを教えてくれる。ダンジョンもあるのか。
「ダンジョンかあ……また新しい楽しみが増えたな。下手に広い所で戦うよりも狭い分モンスターにも囲まれてるしそのほうがいいかもしれないな」
「ダンジョンはそれなりに危険ですよ。でもその分の儲けはあります。ダンジョンでは魔石が出ますからね。ダンジョンで一発儲ける、ということは難しいかもしれませんが、着実に稼ぐという点ではおすすめでもあります。それにさっきタカナシさんが言った通り、広くない分だけ楽に戦えることはあるかもしれません」
「ダンジョンは俺とセルフィでも大丈夫なところなんだろうか? 二人しかいないが、パーティー組んで……というともう二人ぐらい三人ぐらいで挑むようなところだというイメージがあるんだが」
たしかに、二人でパーティーと言えなくもないが、20前半の男が一人と剣聖とはいえ少女が一人。それではあまりにちぐはぐが過ぎる。二人で生活費を稼ぐためとはいえ、いきなりダンジョンとかは行けるものなんだろうか。
「まあ、冒険者ギルドでお金の計算を終えて、夕食を食べながらゆっくり話しましょう。とりあえずお金の精算が先です」
ちょうど冒険者ギルドについたので、ギルドの受付に引き取ってほしい獲物がそれなりにあることを伝えると、解体所に案内された。血抜きしたミニボアを並べていく。それぞれ解体所のガタイのいいおやっさんがそれぞれの肉の状態や血抜きがうまくできているかどうか、毛皮にする状態はどうなっているのか、などを詳しく調べていく。
「ああ、これならいい値段で買い取れそうだ。綺麗に血も抜いてあるし、肉にもほとんど損傷がない。毛皮もズタズタじゃないし、内蔵だってまだ……そうだな、まだ内臓も綺麗だ。これは再利用できる」
「内臓を再利用するのか? 余りイメージがわかないが」
「ああ、肥料になるからな。つぶして発酵させて、その後で畑に撒くといい野菜ができる。その野菜を食べるのもまた俺たち……ってことでな」
なるほど、確かに再利用だ。
「……というわけで、ミニボア15匹とホーンラビット2匹、間違いなく受け取った。費用は……満額でいいだろう。これをもって受付に再度並んでくれ」
書類を見ると、おやっさんの文字でミニボア15 100 ホーンラビット2 100 と書かれている。100ってなんだろう。満額出してくれるってことかな。だとしたらうれしいところだ。
書類をもってカウンターに再度並び、書類を提出すると、受付嬢は笑顔で俺に買取金額を告げてきた。
「Fランクなのにすごい成果ですね。ミニボア15匹討伐とホーンラビット2匹討伐、どっちも解体判定100点です。ミニボアが銅貨10枚、ホーンラビットが銅貨5枚なので……銀貨1枚と大銅貨6枚の買取になります。本日もお疲れさまでした」
支払いを受け取る。ふむ、短い時間にしては良く戦った、というところだろう。いやむしろ、一日フルに使っていればもっと稼げたってことだな。だが、みみっちぃ稼ぎではある。まだ異世界生活二日目とはいえ、もっとドカンと稼ぐあてがあってもいいな。
「さあ、今日の夜と夕食分だけは稼げたぞ。その日暮らしみたいな稼ぎだが、明日はもっと稼げるはずだ。明日は今日以上にしっかり稼いでいくか」
「おー! 」
「夕食はいつものところで取るんですか? 」
イアンちゃんから夕食の提案。何かあるんだろうか。
「そのつもりだけど、イアンちゃんから夕食のおすすめがあるならそこに行こうと思うけど……お金は、ある」
「でしたら、ちょっと贅沢しましょう。明日は今日より稼げるのはわかってることですし、その分柔らかいパンと肉ととろみのあるスープが味わえますよ」
とろみのあるスープ……小麦をふんだんに炒めてバターと混ぜ合わせたホワイトルーを使ったシチューとか出てきてくれるんだろうか。
野菜もちゃんと取れてセルフィの成長に合わせた食事ができる場所を一カ所ぐらいは知っておいたほうがいいという意味では、知っておいたほうがいいな。
「そこは、このままの服装で行ってもいいような店かな。ドレスコードとか大丈夫なところ? 」
「はいです。なので気にせず食事に出かけられるいい店ですよ。私もたまにはちゃんとした食事がしたいですし、ぜひとも行きましょう。お勧めのお店その2です」
そろそろ帰り支度も始めようかという頃、モンスターがなぜか少しだけ強くなったような感覚に陥る。不思議だな? と思い、コボルトバーサーカーの鑑定を試みると、斧術のレベルが3になっていた。夜が近づくとモンスターは強くなるのかな。 でも、そんな注意書きはパナメラのダンジョンの本にはなかったな。だとしたらほかの原因で強くなった可能性があるな。モンスター同士で戦い合った、とか? しばらくその違和感をぬぐい切れず、次々にモンスターの様子を見るが、どのモンスターも強くなっている。そして、強くなったモンスターに苦戦させられつつ戦っていると、見慣れないモンスターの影を目にすることになった。 少しだけ立派な胸当てに腰に布を巻き、ショートソードよりも長い剣と盾を持つ、コボルトだ。コボルトに似合わぬ体格を持ち、俺ほどではないが十分な背丈と服装を持つコボルト。書物で見た、コボルトリーダーが四層に出てきていた。 コボルトリーダーは五層にしか出てこないはず。それが四層にまで上がってきているということは……活性化か? でも、去年活性化したばかりで、パナメラのダンジョンはほぼ五年おきにしか活性化しないダンジョンだという前情報は仕入れている。 それが今日今ここで活性化するということは、何かしらの異変が起こっている、と考えるのが正しいのだろう。冒険者ギルドに報告しないとな。「どうしますか、戦いますか」「出会った以上は戦うのが筋だろう。他にモンスターもいないし、二人でかかれば十分倒せるはずだ」 前に俺が出て、剣と盾のどちらかをふさいでいる間にセルフィがもう片方を相手にして、二人で相手にする。いくらコボルトリーダーといえど、俺とセルフィの二人がかりなら倒せないことはないはずだ。 コボルトリーダーに向けてショートソードで斬りかかりにいくと、コボルトリーダーは余裕そうな動作でこちらの武器を剣で受けた。そして、そのまま盾を俺に向かって突き出し、シールドバッシュの姿勢で俺を弾こうとする。 おそらくは、弾き飛ばした後で俺にできた隙を狙って斬り込んでくるつもりなんだろう。しかし、その隙間には今回はセルフィがいる。
引き続き四層を回る。楽にバーサーカーとフェンサーを倒す方法を見つけてからは、三層と同じぐらいのペースでモンスターを倒せている。 モンスターの生息数は少しだけ少ないが、この層でもらえる魔石が一個銅貨四枚だと考えれば、一時間に25匹倒せれば銀貨1枚分の仕事ができることになる。実際はもう少し多いので、銀貨1枚よりは稼げてるかな。「順調ですね。四層でこのまま回っていていいかもしれません」「三層でしっかり稼いだのと、これまで戦ってきた分だけレベルも上がってるしな。レベル二つ分の成長は伊達じゃないってことだな」「私も剣聖レベル……いくつなんですかね? そういえば覚えてないです」 セルフィが指で何個かを数えている。鑑定で観察し、セルフィの剣聖レベルを確認する。セルフィの剣聖レベルは6のままであっているようだった。「6で合ってるな。俺の鑑定がそう教えてくれている」「ご主人様の鑑定はレベルまで分かるのですか? 」「なんかわかるようになったらしい。ちょこちょこと鑑定使ってるから知らないうちにレベルが上がって使えるようになったのかもしれないな。鑑定もレベルがあるって話も初めて知ったが、まあ便利に使えるようになったのは間違いないな。しっかり細かく使って鑑定レベルも上げていこう」 そろそろ剣聖レベルも7になるんじゃないか? 今日中に上がる可能性は高いな。よし、まじめに戦っていくか。 この階層も他の階層と同じく、複数匹で出てくるパターンが少なくない。三匹出てくる場合はうまく二対二の状況を作ってささっと倒し、残ったもう一匹が戦いに参加する前に素早く倒す必要があるため、結構な時間勝負になる。 時間勝負になる分、素早くモンスターを倒すことになる。結果として周回効率も良くなる。二時間ほど集中して戦ったところで、セルフィの剣聖レベルが7に、そしてまた一時間ほどして俺の剣術レベルも7になった。 どうやら、剣聖レベルと俺の剣術レベルにはそれほどの経験値量の差はないらしい。火魔法をレベル3まで上げた影響は、ほぼ誤差の範囲に収まってくれているようだ。こうなったらあとは気になるのは一つ。レ
午前中めいっぱい、肩慣らしと称してコボルトスカウトとコボルトファイター相手に思い存分戦い尽くした。レベルもまた一つ上がり、これで剣術レベルが……6になったかな。 自分で自分を見て鑑定したので間違いない。セルフィは剣聖レベル6のままらしいが、6から7に上がるにはそれなりに時間がかかるらしい。俺が剣術レベル6と火魔法レベル3の間ぐらいだから……結構かかる感じか。 そういえば、いつの間にか鑑定でスキルレベルまで見られるようになっているな。これも鑑定レベルの上昇の影響とかだろうか。午前中の仕事を終えて、一層の安全地帯に戻ってそこで食事。今日は黒パンのサンドイッチだ。ちゃんと両面を軽く炙ってくれてある。 冷えたそのままのパンを硬いまま食べることはせず、アイテムボックスの効力で温かく辛うじて柔らかい食感を残しつつも、焼いた肉と野菜の味わいもそのままに食べることができている。「今日のは食べ応えがあります」「さすがに少ないと言ったら一個分多めに入れてくれるようになったみたいだ。後でお礼を言っておかないとな」「そうですね、催促したみたいでなんだか悪い気分です。でも、リバーシでお客さん読んだりマヨで儲けさせたりしてますからそこはイーブンですよね」「むしろ、マヨで儲けさせてる分だけ向こうのほうが美味しい思いをしているはずだ。その分昼食でサービスしてもらっていると思えば悪い気はしないな」「……これにもマヨが塗られているみたいですね。なんか高級っぽいお味になってますよ。酸味があって美味しいです」 焼いたパンの内側に塗ったマヨ。そしてお肉の汁とまじりあってこれがなかなかにイケている。イメージ的にはウサギ肉のマヨレタスサンドイッチなのだが、ウサギ肉に塗られたソースがまたマヨと混ざり合って美味しさを引き立て合っている。「次はどんな食べ物にするかな……」「まだ何か美味しいものが出てくるんですか? ご主人様の頭の中にはどれだけの食べ物への情熱が詰め込まれているんでしょう。楽しみです」「まあ、思いついたらちょこちょこと作って出す……程度のものかな。まあ、材料があるかどうかはわからんからな。また市場調査して作
パナメラのダンジョンの本っぽい何かを読み終わり、元の位置に戻すと冒険者ギルドを後にして、そのまま北門へ向かう。北門では今日も門番が暇そうにしつつも、まじめに出入りする人間の身分確認を行っていた。「おつとめご苦労様です」 探索者証を見せてそのまま通り抜けようとする。……が、Eランクの探索者証を見せたとたん少し顔色が変わり、こちらに少しだけ圧をかけ始める。「ん? お前たち、この前までFランクだったんじゃないか? 気をつけろよ、Eランクになってすぐに怪我をする奴が多いんだ。パナメラのダンジョンへ行くんだろうが、無理に五層へ行こうとせずに体を慣らしていくんだぞ」 普通にいいおせっかいだった。ここは素直にお礼を言っておこう。「ご忠告どうもありがとうございます、気を付けます」「うむ、無事帰って来いよ」 門番もこうやって適度にコミュニケーションを取っておかないと暇なんだろうな。それでも、誰も守っていなかったらモンスターが大発生したりした場合の対応が遅れることになる。先日のようなミニボアやワイルドボアの大発生に対応するときも必要だろう。「暇なんですかね。もしくは新人冒険者には一言かける決まりでもあるんでしょうか」「さあな。さて、三十分歩く間にミニボアを狩りながら行こう。何もしないよりは金になる」 パナメラのダンジョンまで片道30分。セルフィとのんびり話をしながら行くのも悪くないが、それでは金にならない。 それに、30分も語るほどのネタはお互いにないのはわかり切っているし、思い出話はセルフィのトラウマを刺激する可能性があるので危険。だから、モンスター退治をしているほうが合理的といえるだろう。 草原部分からちらちらと見えているミニボアに軽く水魔法や土魔法で刺激を与えてやり、こっちを向いたところでミニボアを仕留めては、アイテムボックスから半分だけ出して血抜きをしながら歩く。そしてそのうちに血抜きが終わり血が止まると、完全にアイテムボックスの中にしまい込む。 これを繰り返してミニボアをできるだけ綺麗な状態でアイテムボックスにしまい込み、冒険者ギルドに
銀の卵亭を出て、まず冒険者ギルドへ。カウンターへ行き、受付嬢へ簡単な質問をする。「パナメラのダンジョンの地図とか、出てくるモンスターの特徴を知りたいんですが、まとめてある資料みたいなものはありますか? 」 受付嬢もその手の質問には慣れているのか、すんなり頭の中から知識を披露してくれた。「二階部分の書物棚にパナメラのダンジョンという名前そのままの本がありますので、そちらを参照されると宜しいと思います。事前に知っておけば怪我のリスクも減りますし、モンスターの強さにも対応しやすくなりますからね。無謀にもいきなりダンジョンへ行ってしょんぼりして帰ってくることに比べればかなり賢い行動だと思いますよ」 笑顔でちょっとハートに刺さるセリフを言ってくる。確かにそうだが、初日二日目と二回も何の情報もなしにダンジョンに突っ込んでいったことは間違いないので言い返せない。 早速二階にある、本棚二つ分ぐらいの書棚を調べて……あった、パナメラのダンジョンとだけ、本当に書かれている簡素な本……本というより、厚紙に挟んである紙束だな。それを取り出して、破らないように丁寧に扱って読む。 待ってる間セルフィも暇だろうし、ここは図書館と違ってお静かにとも書いてないので、読み聞かせて情報を共有する。 パナメラのダンジョンがいつからあるのか、という話と、商用利用されるようになった話やダンジョンからモンスターがあふれそうになった時期があるのかどうか。それから活性化……ダンジョンが活発にモンスターを出現させる時期がいつ頃になるのかなどが記されている。 ダンジョンも活性化という、いわゆるモンスターの繁殖期みたいなものがあるんだな。最近の活性化の時期は……どっかに載ってないかな。後ろのほうにとか……お、あった。 どうやら昨年度に活性化し、その前は5年前、さらに前は10年前と、ほぼ5年おきに発生しているらしい。ということは、しばらく活性化の可能性は薄そうだ。少なくとも俺がいる間に活性化が発生することはないだろう。
「ちょっと寄り道してから帰るか」「寄り道ですか? いいですけど、あてはあるんですか? 」 セルフィに少し話をしてから商業ギルドに立ち寄ってみる。すると、商業ギルドの入り口に大きく貼り出しがしてあった。「マヨ専門店、マヨチュッチュ、本日開店! 容器持ち込みで容器代サービス! 」 ネーミングセンスぅ……商業ギルド内で適当に決めたんだろうなという気がするが、しかしマヨチュッチュしたいほどのマヨ中毒者がいた、ということにはなるか。 場所は……ちょっとだけ離れたところになるか。食品を扱う店舗に近い場所にはあるので、各種の食事店や宿屋からのアクセスは悪くない場所ではあるな。ここで今後マヨを販売していくことになるんだな。「どれ……朝早くから開いてるかどうか確認しに行こう。自分が原因でできた店だし、どのぐらいの人や人気が出てるかは気になるしな。それが自分の収入に直結するならなおさらだ」「ご主人様のマヨがもう売られているんですか……これからは毎朝作らなくても、マヨチュッチュに来るようになればマヨが気軽に買えるようになる? 」「そういうことになるな。それを確かめにお店のほうに寄ってみるんだ。もしかしたらもう並んでたりして」「どうでしょうね……昨日の鳥騎士にも来ていた通り、マヨを配っていましたから、もしかしたら話題になっているかもしれませんね」 早速商業ギルドの案内図に従って……そして、途中から列ができていたので、すぐに店の場所はわかった。なかなかの長蛇の列。そして、入れ物を持っている人たち。入れ物は千差万別だが、同じような容器を持っている人も多いので、もしかするとマヨを配った容器なのかもしれない。「多いですねー……でも、順調に進んではいますからペースは悪くなさそうですね」 並ぶ列の先を見ていくと、食品店街に近い一角にそこそこの広さの店が営業を始めていた。どうやら急ぎで店を改装して、一刻も早く食事処に
買い物かごを親父さんに渡して、親父さんがジャガの実と今日の分の仕入れを買い集めに行く。その間にリンカちゃんがスープを温め、今日の朝食分を出してくれた。白パンがちょっと多めの硬くなったパンをスープの残りでふやかしながらしっかり食べる。今日はしっかり休みを取るからな。そのためにもしっかり食べておく必要がある。 普段よりちょっと多めに入れてくれたスープと、一つ多いパンでしっかり腹を満たした後、さっそくマヨづくりを始める。今日もセルフィにはゆっくり油を注いでもらう係を担当してもらおう。二回目だし多少慣れ始めただろうし、今回は量も作るからしっかりと作っていく。もしかしたら、しばら
マヨネーズ職人の朝は早い。とまではいかないが、いつもの強烈な朝日に目をやられて起きるのが、もはや恒例になってしまった。おはようございます。 今日は休み。昨日銀貨16枚も稼いだおかげでもあるが、これでゆっくりマヨづくりに神経を注げるというもの。さあ、今日もしっかり頑張るぞ。 気持ちよく寝ているセルフィを起こさないようにそーっと部屋から抜けると、井戸でいつも通り顔を洗い、顔を拭き、そしてまたこっそり部屋に戻り、今日は綺麗なほうのパンツに履き替え、服も綺麗な服に着替える。今日は一日食品を取り扱う日だ、できるだけ衛生環境のいい服でいたい。 パンツも洗って……多少手が汚くなったが、まあ、このぐら
銀の卵亭に戻って行列の先を見ると、いつもの食事の提供とは別で列ができていることに気づく。どうやら蒸かして細切りにしたジャガの実にマヨをつけて、それを持ち帰り品として販売しているらしい。 それはそれとして、夕食の準備をしている親父さん。ジャガの実を蒸かす時間で待ち時間ができているらしいことはわかった。「繁盛してるねー」「そうですねー」「あ、犯人発見! 手伝えとは言いませんけど、お夕飯遅くなりますからね! 」 リンカちゃんがぷりぷりと怒りつつも、しっかり儲けているようでその口調の割に感じられる怒気は小さかった。下層民向けのジャガの実一つとマヨ一掬いで……銅貨4枚か。きっちり儲けてるな。
「あ、いました。一日どうでしたか。リンカちゃん、安いほう一つ」「あいよー、黒パンセット一つ! 」 ふと気が付くとイアンちゃんが訪ねてきていた。そういえば、夜にでも今日の一日の成果を確認しに来ると言っていたな。「やあ、イアンちゃん。一日ゆっくりできたかい? 」「それはもうゆっくりと……って、私のことは良いんですよう。お二人がどうなっているかが気になるんです」「それは、もうばっちり。この通り、今日のご飯は高級セットが食べられるぐらいには稼いできたよ」 テーブルの食器を指