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第43話:あっちへふらふらこっちへふらふら

Author: 大正
last update publish date: 2026-05-25 07:00:09

 泡立て器を使って滑らかに混ぜ込みながら、油を継ぎ足していく。おおよそ酢や卵と油の割合は5分の1ほどだ、とわかってはいるものの、実際に作った分量はレシピとして残さないといけないので、それぞれ重さや分量を計ってもらって計算してもらうことに。俺作る人。彼記録する人。なのでこっちは分量ぎりぎりまで油をちょい足ししながらマヨをひたすらかき混ぜる。

「そのかき混ぜてる道具は見たことありませんね。それも新商品ですか? 」

「鍛冶師のギド親方のところで作ってもらったんです。これがあるとマスタドの実をつぶすのはともかくとして、かき混ぜるのがずいぶん楽になりますから」

「なるほど……そっちで儲ける算段は行っていますか? 」

「ギド親方には鍛冶師ギルドか商業ギルドに相談すればいいんじゃないか、という話はしましたが、実際にどう動いているかまではわかりかねます。商業ギルド内部か、鍛冶師ギルドに掛け合ってもらえばわかるかと。あと、ギド親方にはサンプル品をもう一つ作ってもらってあるので、それを見本にして考えてもらうのが分かり

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     お互い体を拭き終わって、桶をメリーさんに返しに行くついでに、井戸の水を使って帰ってきている桶を一つずつ、清潔魔法で綺麗にしながら水で洗っていく。ここで一つずつ清潔魔法を使うことで、使用回数を稼いでレベルアップに持っていけるように、というせこい稼ぎ方だ。 せこいが、綺麗になっているのは確かなのでメリーさんにとってもいいことであるはず。もしかしたら、昨日の一晩で桶が綺麗になっていて驚かれるかもしれないが、問われたときに答えようと思う。こっちから率先して広める必要もないだろうしな。 メリーさんに、桶を綺麗にしておいた、とだけ報告する。ありがとうね、と一言だけ帰ってきたが、その一言で十分だ。全身を綺麗にした後で食堂に下りて行って、リンカちゃんと親父さんに、リバーシを設置する許可と黒パンセット二つを頼む。「そのリバーシってのはなんだい」「新しい娯楽だよ。これから広まっていくはずだ。まずはお世話になってるここに一つ置かせてもらおうと思ってさ。明日には商業ギルドかどこかに置かれることになると思うんだけど、第一号をここに置かせてもらおうと思ってるんだけど……どうだろうか」「新しい遊びってことは遊び方を教える人が要るってことだが……遊び方は複雑なのか? それとも簡単なのか? 」「一応遊び方をまとめたものがある。これどおりに遊んでくれればいいって感じかな」 親父さんに説明書を渡し、代わりに黒パンセットを二つ受け取る。セルフィと食事をしている間に親父さんが説明を読み込んでいる。リンカちゃんも説明を読み出して、親父さんに質問をしながら二人で解釈を試みている。 まだリバーシセットは渡してないので、まずは説明書で理解してもらえるかどうかと、実際にプレイしてみるまではわからないところだろう。だが、説明書だけで大まかな内容を知ってもらえればそれで万歳だ。「ふむ……食事客がはけた後でなら問題なく遊べるな、試しに俺とリンカでプレイを……」「失礼、銀の卵亭であっているかな? ここでリバーシが遊べると聞いてきたんだが」

  • 有給休暇は異世界で   第54話:一つ仕事してはセルフィのため

     正式な文書を作って、1セットあたり銅貨3枚での取引となった。なお、補足事項として俺が受け取りに来られない際はセルフィを代理人にすることもここで明記された。セルフィがどんな立場であったとしても、セルフィが無事である限りこの金額は商業ギルドの名の下で保証されることになる。 セルフィは俺がいなくなった場合、その金額を何に使ってもいい、ということになる。セルフィ自身がまだ自由になっていない場合、その一助にすることもできるし、自由の身であってもその金額分のあがりを受け取ることでちょっとだけ人生に楽ができるようになっているはずだ。 そう頭の中で皮算用をしながら帰り道をルンルン気分で歩く俺に、今までずっと黙っていたセルフィが口を開き始める。「ご主人様はいずれ自分の国におかえりになるんですよね? あんな長い期間の契約をしてしまってよかったのですか? 」「問題ない、俺が受け取れないときはセルフィが受け取るようにしてあるからな。俺がいる間に奴隷から解放してやれるかどうかまではわからないが、少なくとも食いっぱぐれないようにはしてやるからな」「私のため……ですか? 」「そうだ。マヨの特許もそうだし、このリバーシもそうだ。すべてはセルフィにある程度困らないだけのお金を残していくことで、セルフィが楽に暮らしていけるようになるためだ」 ただ、不労所得に胡坐をかいて男に貢いだり酒を飲んで自堕落に暮らしていくセルフィ、という未来もあるかもしれないわけだが……まあ、そうなるころには俺はもういないはずだ。それまでにはセルフィも親離れをしてもらわないとな。 だが、今のセルフィを見る感じ、その心配はなさそうだな。まあ、それなりにしっかりした子だからな。きっと来年の今頃には、剣聖として大いに力を振るいながら一人か、もしくはパーティーメンバーを見繕って冒険者として力をつけていくところだろう。「私のため……私のため……」 セルフィが同じ言葉を繰り返しながら、後ろをついてくる。若干、言葉の端に嬉しそうな感情が乗っている気がする。

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