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【2】本当にあった人間の恐怖。~ビジネスホテルの怪~

Author: 猫宮乾
last update Last Updated: 2025-07-22 16:49:12

 例えば、ありがちなネタとしては、小学生時代の修学旅行で、M市に行った際の怖い思い出がある。宿泊していた大部屋で俺達は、迷うことなく、発見した、天井裏へ続く板を外した。板には、ごく当たり前のように、お札が二枚貼ってあった。

 同級生の大半が悲鳴を上げる中、板を外した一人が屋根裏に上がっていく。

 俺はと言えば……彼が登って行った四角い穴の周囲に、びっしりと髪の毛が張り付いている事の方に気を取られていた。

 穴を囲むように、日本人形の髪を毟り取ったみたいな毛が、無数にセロハンテープで貼り付けられていたのである。

 当時の俺は、完全に、『これも魔除けの品』なのだと思っていた。

 しかし大学生になってから出かけた同窓会でこの話になった時、誰もが、『髪の毛なんて見なかった』と言ったのだ。じゃあ俺が見た髪の毛は何だったのだろうか。

 他にも、その旅行では、不可思議な出来事が頻繁に起こった。博物館の展示の前で写真を撮ったのだが、撮影後に見ると、ベタベタとケースのガラスに手形がついていた。また船に乗った時の写真には、人数よりも明らかに多い腕が、入り込んでいたのだ。

 それらもまた、懐かしい思い出である。

 ――他には何があるだろうか。

 そうだこれは、大学一年の時だ。

 俺は高等学校卒業程度認定試験のための予備校で一緒だった、友人の大輝君と久方ぶりに遊ぶ約束をしていた。

 F県K市の駅前のビジネスホテルに予約を取り、大輝君と食事をした後、カラオケに行ったりして、思い出話に花を咲かせていた。

 大輝君は家族が迎えに来たので、深夜に解散した。俺は夜中の三時頃に、ホテルへと戻った。朝になったら新幹線で、大学がある東京へと帰る予定だった。

 それからシャワーを浴びて横になったのだが、やけに隣の部屋が煩い。朝までずーっと四・五人の大学生が大騒ぎをしていたのだ。どの酒が「美味い」だの、「このポテチの新商品ってありえねぇよ」だの、安いビジネスホテルだけあって、薄い壁越しに、話し声がひっきりなしに聞こえてくる。一時間睡眠になったのは、確実に隣室の騒音が原因だ。話し声は、朝には止んだ。

 支度を調えて俺が部屋お外へ出ると、丁度隣の部屋の前に掃除のおばさんがいた。

「こちらは、本当は、一人部屋なんですから……他の人を呼ばないでくれませんか? あんまり騒がれると困るんだよねぇ」

「いえ、俺は一人ですけど」

 隣の部屋が騒いでいたのだと、俺は暗に訴えた。すると掃除のおばさんが、気まずそうな顔をした。それから震える声で、俺に、「ごめんなさい」と言って、そそくさと立ち去った。まったくだと思いながら、俺はフロントへと向かう。するとそこでも再び言われた。

「お客様のお部屋は、本来一人部屋ですので、もう一人の方にもすぐに退出するように言って下さい」

「いや、俺は一人なんですけど」

 いくら安いとはいえ、対応の悪いホテルだなと感じてしまう。本来俺は、働いている人には腰が低い方なのだが、この日は寝不足もあってかなり苛々していたかもしれない。掃除のおばさんがフロントへとやって来たのは、その時の事だ。

「一人でしたよ。今は無人」

「そんなはずが無いだろ!! 昨日の宿泊客は、こちらお一人なんだから、あの女――」

 ん……? ちょっと、待って欲しい。

 ――こちらお一人なんだから……?

 ――あの女……?

 受付の人は俺を見ている。俺も視線を向けた。俺達は互いに呆然としたまま顔を見合わせ、そこに無言の空間が生まれた。その後、ほぼ同時に息を呑んだ。

 俺が一人しか泊まっていないのだとすると……何故昨夜、俺は騒音に悩まされたのだ……?

 ま、まぁ良いか。

 新幹線の時間もあったので、俺はそのまま帰る事にした。

 なお俺は、女の声は、聞いていない。

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