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7.龍之介の想い

ผู้เขียน: 桜立風
last update ปรับปรุงล่าสุด: 2026-02-06 09:56:18

「桜を見に行ったのは父親に会うためだったのか」

「そうです。…すいません、付き合わせました」

窓の外を向いたまま、こちらを見ようとしない桜。グレーのパーカーと、揃いのハーフパンツにスニーカー、そしてキャップ…という格好は、俺の周りにいる女が着ない服だった。

体を動かすわけでもないのに、女がどうしてスニーカーを履くのか。スカートではなく、ニットではなくハーフパンツでパーカーなのか、俺には全くわからない。

なのに…そんな格好をしていても、小刻みに手を震わせて涙をぬぐう姿は、守ってやりたい儚さであふれている。

桜の木にかこつけて父親をおびき寄せ、一発殴って絶縁宣言をしてやろうという魂胆は見抜いたが、きっとそんな反撃は初めてに違いない。

少し手を貸してやったが…気は晴れただろうか。

後部座席に並んで座り、桜の方にやや体を向け、腕と足を組む。…パーカーとかいう色気の欠片もない服を着ているのに、桜を抱き寄せたい衝動にかられた。

けれど…簡単に触れてはいけない。

なかなか、自制はきかないが。

「うわぁ…桜並木ッスよ!…見事ですねぇ」

運転席の和哉が感激の声を上げ、そちらを向いた桜の口元が見えて、ほんのり笑ったのが見える。

ふと……桜と初めて会った夜のことを思い出した。

あの日…青白い肌を薄い布で覆い、雨に打たれた桜の姿は…幻想的だった。

…何人かが不思議な顔で桜を見ていたのは、美しいからだけではないことくらい、俺にだってわかる。

…街灯に浮かぶ顔は、あの頃の彼女にそっくりで…気づいたら、傘を捨て…抱き上げていた。

まさかまた、会えるなんて…触れられるなんて…冷静を装いながら、どうしても桜に視線が絡みつく。

痛々しい傷…特に女の顔には慎重になってしまった。

…極道に助けられるということがどういうことか、桜は覚悟していたのだろう。包帯やガーゼに覆われた体だというのに、震える手で俺の服を脱がそうして…久しぶりに体が熱くなりかけた。

けれどあいつを失って、完全に消えた俺の中の火は、簡単についたりしない。悲しみを癒すために抱こうとした女は、灯りかけた俺の中の火を大事にしてくれたけど…結局ダメだった

…男としての機能を失うほど、それほど…愛していたんだ。

…百合。

俺の、半年だけの妻。

あの日…桜を見た蔵之介も、驚いた顔をしていた。組員たちも、百合を知っている者は全員、蔵之介と同じ表情をする。

…誰もが、桜に百合を重ねて見ていたのだ。

翌朝の蔵之介はもっとひどかった。恋情を乗せた目は、百合にも送っていた視線。

あいつもやはり、百合に想いを寄せていた。…そして突然の別れに、強い悲しみを抱いていたんだ。

桜を引き取って所有するマンションに送り、組に戻った俺に…母親が心配そうに近寄ってきた。

「あの子、百合ちゃんにそっくりじゃない…どうやって見つけてきたの?」

「昨夜、うちの敷地に間違えて入ってきて、蔵にぶつかってきた」

「それは蔵之介に聞きました。…どうして家に上げたのかって聞いてるの。…忘れるために、また辛い思いをするの?」

そんなの、わかっている。

けれど…百合を前にして、俺が無視できると思うか。

「…怪我が治ったら、ちゃんと自立させる」

「お金を握らせて、ね?」

「あぁ…ちょっと、出てくるから」

…でたらめの約束だ。

本当に彼女を離せるのか、わからない。

それよりひとつ、気になることがある。俺は数人を引き連れ、あの店…Black Roseに向かった。

あんな格好で飛び出してくるとは…訳アリらしい桜に、Black Roseの店長は何をしやがった…?

俺はいつも、裏口からは入らない。

明るい時間でも妖しく灯る看板を見ながら階段を下り、客のようにドアを開ける。

「あ…龍之介、さん…」

受付のソファでふんぞり返る店長。そっと足を下ろし、立ち上がった。

…こいつが桜にしたことを思って、怒りがこみ上げるのを感じる。

「何日か前に父親に売られた子がいたろ?」

「…うわっっ…!」

いきなり胸ぐらを掴み、そのまま壁にドンッとぶち当てる。

「そそ、それは、はい。何とかって本名の、で、チェリーって源氏名にして…あっ!桜、桜だ!」

「その子に何をしたか言え」

「…すすす、すいませんっ!ちょっ直前ではありますが…客を取らせる前に…さっ最終チェックを…っ!」

「そんなもん、こっちは認めてねぇぞ?」

「は…は、はいっ、も…申しわけ…」

「…具体的に何をしたか言え」

店長は真っ青になってガタガタ震えながら…おぞましい行為の数々を打ち明けた。

…主に、自分が快感を得るために女の手を使ってさせることだと、しどろもどろに答えた。

桜の手に、こいつの汚ぇモノを握らせた…

「…出せ」

「…はっ………?」

「汚ぇイチモツを出せって言ってんだよ」

内ポケットを探り、護身用の小刀を出して、木製のテーブルに力任せに突き立てる。

「もももも…申し、わけ…あ…あ…あ…りませ…っ」

極度の恐怖で、あろうことか俺の脇をすり抜けて逃げだそうとする店長を難なく捕まえ、喉元に腕を当て、そのまま壁に押し当てた。

そして顔の横に小刀を突き立てる。

「うちのスタッフは22まで。自分から面接に来た子以外取らない。…忘れたか?」

「わわ、わわ、忘れてま、せんっ!」

異臭が漂い…店長が粗相したことを知り、突き飛ばすようにして離した。店長は足腰に力がはいらないのか、そのまま崩れ落ちる。

「チェリーってのは、本名、滝川桜。いいか…2度と近寄るんじゃねえぞ」

「は…はい、はい、は…っ」

粗相で汚れた靴を、転んだ店長のシャツで拭き、俺は店を後にした。

怪我は日に日に良くなっていったものの、桜の素性は謎を深めるばかり。

話したくもない生い立ちなんだろうと予想して、無理に口を割らせることはしなかったが…できたら俺に涙を見せて、崩れ落ちてくれないかと妄想した。

絹のような長い髪を撫でると、いつの間にか眠ってしまう無防備さ。

壊れそうなほど華奢で、なのにどこか、1人で生きていくんだという強さを秘めていて…目が離せない。

百合がいなくなって…初めてだ。

誰かに、こんなに触れたくなったのは。

初めての夜は、火がつかなかった体なのに。

俺は、桜と百合、どちらを見ているのか…

たとえ、桜を見ていたとしても…話はそう簡単ではないというのに。

「今日は、ありがとうございました」

マンションに到着したのは日が落ち始めた頃。和哉を待たせ、部屋まで桜を送った。

「…俺はもう一度出てくる。飯はデリバリーでも…」

「買い物に行ってきます。大丈夫、自分で作れますから」

暗くなりはじめてから外に出すのは嫌だと思う自分を押し込め、うなずく。

当然だ…

俺はこれから、別の女と会うのだから。

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