LOGIN「朱里……それって……?」「勘違いしないで。……別に、あの人のことを許してはいない。 ただ、この子たちの父親であることには違いないから。この子たちの幸せを願うなら……きっと変わると思ってる。 私たちを平等に愛してくれるなら、きっと何かが変わる気がするのよ」真樹の気持ちなんて、わからない。 でも……信じることは出来るから。「朱里は……強いな」「強くなんて……ない。 だから私はこれから一緒に強くなっていくから、この子たちとね」千歳は私に「頑張れ、朱里」とエールをくれた。✱ ✱ ✱子供が産まれてから、早四ヶ月が過ぎた。「朱里、荷物持つよ」 「ありがとう、ハルキ」「おう」 子供が産まれてから、ハルキが時々こうやって手伝いに来てくれていた。ハルキが手伝ってくれるおかげで、私の気持ちは時々、晴れやかに感じる。「お、元気だな」「うん。二人とも、すごく元気なの」産まれた子供たちの名前は、千歳や真樹が考えてくれた名前と、自分の候補からいくつか上げて決めた。「で、どっちがどっちだ?」「この子が憐(れん)で、この子が爽(さわ)だよ」「憐と爽か。似てるからわからなくなるな」「だって双子だし」二人の子供を抱えてこれから生きていくのは、大変だと思う。一人じゃ多分、無理だと思う。でも私は……それを絶対にやり遂げたい。 愛した人の子供だからこそ、絶対に幸せにしたいと思う。気になっていた子供たち二人の血液型も後に判明したけど、やはり真樹と同じ血液型だった。 あの子たちの父親は、真樹で間違いない。「ねえ、ハルキ……」「ん?」 私はハルキに「ちょっと弱音を、吐いてもいいかな……?」と問いかける。 「ちょっとだけ……弱音を吐きたいの」そんな私に、ハルキは「俺で良ければ、話聞くよ」と言ってくれる。「……ありがとう」弱音を吐くことは、決して好きではない。 だけど、弱音を吐かないと自分が壊れてしまいそうな気がしてしまって……。「私……本当は、アイツと一緒にいたいんだ」「うん」「本当に、アイツことを愛してるの……。だから、本当は、一緒にいたい。ずっと一緒に……いたい」そんな私の弱音を、ハルキは優しく受け止めてくれる。「そっか。そんなに好きなのか、アイツのこと」「……うん。どうしようないくらい、好きなの」やっぱり、とうしたって忘れられ
無事に出産を終えてから私が退院した日、千歳が私の前に現れた。「え……千歳?」「退院おめでとう、朱里」千歳は出産の日、学校の行事で来れなかったそうだ。 予定日よりも早まってしまったため、立ち会いが出来なかったことを後悔しているらしい。「ありがとう」「お。朱里に似て、かわいいな」「うん。双子だから、二倍かわいいよ」千歳は「カバン、持つよ」と私のカバンを持ってくれる。「ありがとう」「兄貴、嬉しかったってさ」「え?」「朱里の子供が無事に産まれてきたことが、本当に嬉しかったって言ってた」確かにこの子たちの顔を見た時、真樹は本当に嬉しそうだった。 この子たちの未来が明るくて楽しくなることを、私は信じている。「この子たちの父親……千歳じゃないかも」「……そうか」「ごめんね」なんのごめんねなのか、そう聞かれると難しいけど、ごめんねって思ってしまった。「いいよ、別に。……朱里の子供が元気なら、俺はそれでいいし」千歳……あなたはやはり、優しいのね。こんな時なのに、優しい。「私……真樹とは一緒になるつもりないの」「え……?」病院の出口を出て少しした所で、私は千歳にそう話した。「結婚はしないし、一緒にもならない。今後も」「……それは、兄貴が敵、だからか?」千歳はきっと、悟っているのだろう。 私が、真樹に対してどう思っているのか。「そうね。……その通りよ」だけど千歳は、それを聞いても冷静なままでいる。「でも……俺とも一緒にはならないんだろ?」千歳からそう聞かれた私は、「そうよ。あなたとも、一緒にはならない」と答えた。「朱里が一人で生きていくことを決めたなら、俺はそれを応援したいと思ってる。 でも……一人で苦しまなくていい。辛い時、泣きたい時は、いつでも俺たちを呼べよ。すぐに飛んでいくからさ」千歳のその優しい言葉は、もう充分聞いている。 だからこそ、その優しさが自然と出るものなんだと気付いた。「……ありがとう、千歳」「朱里……兄貴も、朱里のこと想ってるよ」「え……?」千歳は私と歩幅を合わせながら、ゆっくり歩く。「だからこそ、兄貴のこと……もっと頼ってやってほしい」そんな千歳の優しさに、私はもっと感謝すべきだったのかもしれない。「あなたは……どうして私のことを、そんなに心配するの?」私が千歳にそう聞くと、千歳は表情を変
「手も足も、小さいね」「小さいな。……赤ちゃんだし、当たり前か」産まれきて我が子たちは、一卵性双生児だった。 二人とも全く同じ顔をしていて、本当に見分けが付かない。 本当にどっちがどっちなのか、私にもわからないくらいだ。「あなたに……なんとなく、似てる気がする」「そうか?」「うん……特に鼻とか、似てるかも」この子たちの顔を見て確信した。……この子たちの父親は、やはり真樹だと。鼻や口が、真樹にそっくりだ。 真樹と千歳は兄弟だけど、このこの子たちは千歳に似てる感じではない。もちろん血液型にもよるけど、多分真樹が父親で間違いない気がする。「そっか。 じゃあこの子たちの父親は……」「あなたかも、しれない。……血液型次第だけど」「まあ、そうだな」よりにもよって、こんなに憎いはずの男の子供を、私は産んでしまった。でも産んだことを後悔していない。 父親が誰であろうと、私の子供であることに変わりはないから。子供の母親は、一人だけしかいない。 この私だけだから。「でも、将来はあなたに似て……きっと美形になるわね」「だといいけどな」「なるわよ、きっと。……あなたは、私が愛するくらい、イイ男だもの」私にはかけがえのない宝物が二人も増えた。大切に大切に、育てていきたい。この子たちには、幸せに生きてほしいから。だから私は、この子たちに全力でたくさんの愛を捧げたい。「これからは……この子たちと一緒に、生きていくわ。 あなたのことを愛してるけど……あなたは、私の敵だから」私がずっとずっと、復讐したい男。 なのに、深く愛しすぎてしまったーーー。「わかってる。 俺にとって君は、復讐の相手だろ?」「そうよ。……だから私、あなたと一緒にはならない」真樹と一緒に生きていけたら、本当はすごくいいのかもしれない。 それがこの子たちにとっても、一番いいはずなのは分かってる。それでも私は……それを選べない。 私にとって真樹は、復讐の相手で。今でもずっと、殺したい相手だから。「……そうか。君のことをどれだけ想っていても、君の一番にはなれないか」そう言った真樹の表情は、少し悲しそうにも見ええてしまう。「だけど……私はこれからも、あなたを愛すると思うの」「え……?」愛するはずなの。 この気持ちに、ウソは付けない。「だからこそ、一緒にはなれない……わかって
「もうすぐ……会えるからね」「楽しみだな」「……うん」私はこの子たちの母親になる。 父親が誰であろうと、私がこの子たちを守り抜く。「真樹……あなたは、この子たちの父親になる覚悟が……今でもあるの?」真樹の気持ちが知りたい。「その覚悟なら、とっくに出来てる」「……そう」私は……真樹とどうなりたいのだろうか。本当は、殺したいくらい憎いはずなのに……。私はその気持ちが、わからなくなっていた。「……朱里」私の頬に触れる真樹のその手が、妙に温かくて……。「真樹……」その手の温もりが心地良く感じる私は、その真樹の手をつい取ってしまう。「朱里……?」 私はその手を振り払えなくて、そのまま真樹の唇に自分の唇をつい重ねてしまう。「私……あなたのことが好き」「俺も……好きだ。愛してる」私はイケない人間になってしまった。 こんな男を愛してしまうなんて……。こんな冷酷な男を愛してしまうなんて……私はイケない人間になってしまった。こんな憎い男を愛してしまうほど、私は落ちぶれてしまったんだなと、つくづく実感する。こんなはずじゃなかった。……こんなはずじゃ、なかったのに。なんで私は、この男のことを愛してしまったんだろうか。 どうして……。そんな虚しくなる気持ちを抱えてしまうほど、私は弱くなってしまったのだろうか。「朱里……?」「好きだよ……真樹。 大好きだよ……」でもこの気持ちだけは、どうしても止められそうにない。 私の気持ちだけは、もう止まらない。✱ ✱ ✱それから数日が経った頃ーーー。「おめでとうございます、お母さん。 元気な双子の男の子ですよ!」私は、双子の男の子を無事に出産した。 予定日よりも数日早い出産となったが、無事に産まれたことが嬉しかった。思えば、買い物の途中に破水してしまい、急遽病院に運ばれて、そのまま病院で出産することとなった。初めて陣痛は、どうしようもなく痛くて、死にそうだった。「おめでとうございます。 元気な双子の男の子ですよ」「そうですか。……良かった」その隣にいるのは、真樹だ。「お父さんに似て、美形なお子さんですね」「それは嬉しいです」急に出産することになったと伝えたら、真樹はすぐに病院に飛んできた。 一人では不安だろうから、付き添いたいと言ってくれたのは、真樹だった。 真樹は私のそばに
私が紅茶の中の砂糖を混ぜながらそう答えると、真樹は「出産の日……一人なのか?」と質問してくる。「……そうだけど、なんで?」真樹はなぜ、そんなことを聞くのだろうか。 私たちは夫婦ではないのだから、立ち会ってもらうつもりは私にはないのだけど……。「なら、俺たちが……立ち会ってもいいか?」「え……?」今、俺たち……って、言った?「立ち会うって……二人でって、こと?」「ああ。 俺と千歳、二人で立ち会いたい」「……どうして? どうして、そこまで?」私のために、そこまでしてくれる理由がわからない。 私は一人で産む決心をした。なのに、なんで……立ち会いたいだなんて言うのだろうか。「見たいんだ。……子供が産まれる瞬間を、純粋にこの目で見たいと思ったんだ」命が尊いからこそ、その瞬間をこの目に焼き付けたいのだと、真樹は私に懇願した。「……立ち会いたいなら、別にいいけど」真樹は「本当か?」と私を見る。「うん……もちろん」真樹は私の前に来ると、私をそっと抱きしめる。「え……? 真樹?」「俺……自分の子供が産まれることって、想像してなかった。でも……今はすごく楽しみなんだ」自分でも信じられない。真樹が……真樹じゃない。 これは私の知っている、真樹じゃない。私の知っている真樹は、冷酷な人なはずだ。 「俺が何を言ってるのかって思うだろうけど……本当に、そうなんだ」「……そっか」真樹は変わったと思う。 あなたはレッド・アイで……最強の殺し屋だと思っていたのに。こんなに優しい人じゃないと、思ってた。「真樹……」「ん……?」私は真樹の手を握りしめ、真樹を見る。「あなたのこと……今でも愛してるのは、変わらないわ」「朱里……?」「だから、あなたに優しくされると……」優しくされると……困るのよ。 そう言いたいのに……なかなか言えない。「優しくされると……何だよ?」真樹は私の顔を覗き込んでくる。「……なんでもない。忘れて」私は真樹から目を逸らし、紅茶を口にする。 そんな私に、真樹は「朱里……」と私の肩に触れる。「あなたの優しさに触れると……私、惨めになるの」「え……?」「あなたは冷酷で、残酷な殺し屋で……。私はあなたが悪くて仕方ないのに……あなたの優しさに触れると、私は惨めに感じるの。 母親になることを決めて、強くなろうと思ったの
「お願いだから、これ以上……私には関わらないで。もういいのよ、私のことなんて。 気にしなくて、いいんだって……」私だってわかってる。二人が思いやりがあることくらい、わかってる。それでも私は、二人と距離を置きたいとさえ思ってしまうの。動かない時計の針を、これ以上動かしたくはない。 ううん、動かしてはダメなの。「言っただろ。それは出来ないって」「……どうして?」私がそう問いかけると、千歳は「君と子供のために、何かしてあげたいと思うのは……父親としての宿命だと思ったんだ。 兄貴も、そう言ってた」と私に話してくれた。「……変な人ね、あなたたちは」だけどその優しさを受け入れていくことも大事なのかもしれないと思った私は、その優しさに甘えることにしてしまったんだ。きっと私は、それを受け入れたことでバチが当たるかもしれない。 それでも、二人の思いを虚しいものになんてさせたくなかった。「子供の名前……考えてきてくれたの?」「ああ。二人で二つずつ、候補を出した。とりあえずだけど」「……ありがとう。参考にさせてもらうね」「ああ」あれからどんどん大きくなるお腹が、現実になった。 つわりがあった頃は、お腹なんて膨らんでもなかったから、全然実感なんてなかったのに。でも今は、ちゃんと赤ちゃんの鼓動も感じるし、生きているってことも感じられる喜びがあった。早く赤ちゃんに会いたいと願ってしまう自分がいて、私はやっぱりつくづく母親なんだと、思い知らされた。私を母親にしてくれたのは、間違いなくこの子たちだ。「朱里……出産の時、俺が立ち会ってやろうか?」ハルキがそう言ってくれたのは、多分私に対する優しさだと思う。「一人じゃ、不安だろ?」「でも……そんなの悪いよ。 ハルキだって、任務で忙しいでしょ?」ハルキが出産に立ち会ってくれると言ってくれるのは、嬉しいけど……申し訳ない気持ちでいっぱいになる。「一人で出産するなんて、寂しいだろ? 俺で良ければ、立ち会うよ」「ありがとう……気持ちは嬉しい」「立ち会えるように準備はしておく。……いつでも呼べよ、俺のこと」ハルキにそう言ってもらえるだけで嬉しい気持ちになった。 ハルキが私のそばにいてくれるからか、不安が取り除いていく気がした。「ありがとう……ハルキ。本当に、ありがとう」私……頑張るからね。 「朱里、お前
✱ ✱ ✱「ボス、朱里です。 ちょっと、よろしいでしょうか」「朱里か。入りなさい」「失礼します」真樹のセフレとなってから、早三週間が過ぎた。 私は千歳には内緒で、真樹と会っている。表向きは、カウセリングとしてだけど、真樹と身体を重ねるためだけに時間を作った。「朱里、どうした?」私はボスの前に立ち、「ボスに、報告したいことがあります」と告げた。「報告したいこと?なんだ」「……レッド・アイのことです」レッド・アイと口にした私に、ボスは「レッド・アイのことで、何か分かったのか?」と聞いてくる。「実は今……レッド・アイらしき人物と接触しています」「……何? 朱里、それは本当か
「本当だよ。……俺は、君のことを好きだ。だから、君を抱いた時、歯止めが効かなくなった。君を俺のものにしたい。奪いたいって言う欲が、きっと出たんだろうな」「じゃあ、教えて。あなたは私をどうしたいの?」「答えなんて、決まってる。……君を俺のものにしたい。だから、俺のそばにいてくれないか」私が仮にコイツのものになったとしたら、きっと千歳はコイツを責め立てに来るだろう。 そうしたら二人の仲を引き裂くことが出来るかもしれない。そして二人とも、私は地獄へ落とせる。「……それってつまり、千歳のこと、裏切れってこと?」 「そういうことになるのかな」「千歳のこと裏切ったら、あなたは恨まれるんじゃ
翌日目を覚ました時、私の隣にいるはずの真樹はいなかった。昨日真樹に抱かれることに快感すら覚えてしまった私は、真樹との行為を思い出してしまう。「ダメよ。アイツは、私の両親を……」それなのに私は、アイツとの行為に夢中になって、アイツと何度も身体を重ね合った。まるで二人が、愛し合っているかのようなその行為に、真樹はなにを感じたのだろうか。ベッドのそばに落ちていた私の下着たちを拾い集めると、それをそっと身に着けた。ベッドのある部屋から移動すると、真樹は別の部屋でなにか作業をしていた。 恐らく、患者さんのカウセリングだろう。 私はパソコンに向き合っている真樹の後ろ姿を見つめながら、ぐっ
「濡れてるね、朱里」「ダメッ……恥ずかしい……」「恥ずかしくないよ。……可愛い」真樹に可愛いと言われて、私の身体は正直に喜んでしまっている。「あんっ……っ、んあっ」ブラジャーのホックもあっという間に外された私は、その胸に触れる真樹の手によって、段々と身体が痺れていく感覚になる。 「ダメッ……そこ、気持ちいいっ」あっという間に真樹に手にイカされ、私の身体の中が疼いていく。早く真樹が欲しいと、私の身体が訴えているみたいに感じた。「朱里がイく姿、可愛いね」「やだ、恥ずかしい……」「恥ずかしがらなくていいよ。僕にもっと、聞かせて……朱里の喜んでる声」 真樹に触れられた箇所







