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愛の為に

مؤلف: エチカ
last update تاريخ النشر: 2026-08-08 07:45:16

「ナハト! 城門を封鎖しろ! 指揮はお前に任せる!」

「かしこまりました。一班、城門へ! 二班はこの大広間の外を固めろ! 賓客の方々を守れ!」

 会場の隅で事の成り行きを見ていたセルジオの指示に従って、兵士達が動き出す。

 皇太子は大広間から出る兵士達の背中に、声をかけた。

「首謀者を捕らえたら連れて来い!」

 それを聞いてラヴェルは、グッと奥歯を噛み締める。

 途端、思い出した。

 自分で決めろ――ジェイドの声が、耳を掠めて行く。

 最後には「自分で選べ」と言われ続けていた。

 今、ここで、その意図を理解するなんて――。

 そう思ったラヴェルは、もう一度、夜境石のネックレスに触れた。

「殿下……いえ、新王ファルマ陛下」

「……何だ? ベル」

「彼らの目的が私なら、私は喜んで彼らの元へ参りましょう」

 ラヴェ

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    「少し休んだらどうだ? ベル」 書斎で契約書や決裁書類に目を通していたラヴェルの元に、ジェイドがお茶を持って現れる。「ここまでやっておきたくて」「じゃあ、それは私が後でやろう」 書類を手から取られて「あ」とラヴェルは不満そうに見た。「夫を構うのが妻の仕事だ」「仕事をしている時の夫は、妻を構わないのに?」「だからこうして今、構ってる」「勝手な人ね」 ラヴェルはそう言いつつも、ジェイドの持って来たお茶を手に取り、ほぅっと息を吐く。 確かに、こうやってお茶を飲んだのもいつ以来だろうか。 思い出せないほど、ここ最近は忙しかった。「散歩にでも行かないか? ベル」 そう言われて窓の外を見ると、一番暑い時間を通り越し、涼しい風が草花を揺らしている。「そうね……気持ちよさそうなお天気だわ」「君に見せたいものがある」 屋敷から連れ出されるのかと思ったら、ジェイドは件の洞窟へ続く道を降りて行く。「あの……ジェイド?」 こんな昼間から? そう問いかけようとしたラヴェルに、ジェイドは「この奥だ」といつもの洞窟を、もっと奥まで進む。 しっとりとしたあの甘い香りに包まれたそこは、岩肌が湿り、いつも湧いている“魔女の秘薬”のせいで汗ばむくらい温かい。 まだ陽の落ち切らない時間だというのに、ここは夜空を映したように薄暗く、碧い星が瞬く世界。 滑らないようにと手を取られ、ラヴェルも慎重に足元を見ながら進む。「奥に何かあるの?」 薄暗い洞窟に一筋の光が見え、向こう側に出口があるのだと気付いた。 人の足で踏み固められたような階段を上り、地上へと出る。 そこは、ジェイドが連行された時、リ

  • 没落した薔薇は、碧夜の星になる   渇望

     深く口付け、必死に応えようとするラヴェルの顔を愛おしげに眺める。 性急に着衣を脱がし、コルセットの紐を解く。 ジェイドは自分には自制心があると自負していた。 だが、ラヴェルが皇太子の婚約者になると言い出したあの時、その理性はもう既に切れていたのかもしれない。 この美しい宝石を、他の男が抱くなどと許せる事では無かった。 だから、国がどうなろうと知った事ではないと、無謀な策に出た――。 内戦になって、血が流れた所でラヴェルがこの手に戻るならそれで良かったのだ。「ジェイドッ……待って……息が……」 そう言われてジェイドは一旦離れたが、言葉もなく彼の肌へと手を伸ばす。「あっ……」 小さく咲いた肉蕾を指先で転がし、首筋へと舌を這わせる。 甘美なラヴェルの吐息交じりの声が、ジェイドの欲を昂らせていく。「ラヴィ……」 耳元でそう囁くと、ラヴェルは肢体を撓らせ喘ぐ。 ジェイドはその呼名に、ラヴェルが特別に反応する事を知っている。 期待に屹立したラヴェルの息子は、熱を持って白い蜜が滲み出ていた。 その様子を見ながらも、ジェイドはその肉塊に触れることはせず、双果の陰で花開こうとしている場所へと指を宛がう。「んぅっ……」 指先が入っただけで、ラヴェルは息をつめ、腰を上げる。 久しぶりだからか、そこは狭く硬い蕾のように指を押し出してくる。「力を抜いて、ラヴィ」「あっ……」 指を推し進めると、熱いくらいの肉壁がうねる。 雨に濡れた様な蕾が少しずつ開き、水音が跳ねると、指先が奥へ奥へと誘われた。 指を増やし、中の蜜壺を擦り上げ、ラヴェルの声は次第に掠れて行く。 強すぎる快感に「待って」を連呼するラヴェル。 ジェイドはその

  • 没落した薔薇は、碧夜の星になる   衝動

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  • 没落した薔薇は、碧夜の星になる   愛の為に

    「ナハト! 城門を封鎖しろ! 指揮はお前に任せる!」「かしこまりました。一班、城門へ! 二班はこの大広間の外を固めろ! 賓客の方々を守れ!」 会場の隅で事の成り行きを見ていたセルジオの指示に従って、兵士達が動き出す。 皇太子は大広間から出る兵士達の背中に、声をかけた。「首謀者を捕らえたら連れて来い!」 それを聞いてラヴェルは、グッと奥歯を噛み締める。 途端、思い出した。 自分で決めろ――ジェイドの声が、耳を掠めて行く。 最後には「自分で選べ」と言われ続けていた。 今、ここで、その意図を理解するなんて――。 そう思ったラヴェルは、もう一度、夜境石のネックレスに触れた。「殿下……いえ、新王ファルマ陛下」「……何だ? ベル」「彼らの目的が私なら、私は喜んで彼らの元へ参りましょう」 ラヴェルはそう言って低く腰を折り、首を垂れて見せた。「何を言っている。彼らの要求に応じては……」「陛下、民なくして王は務まりません。私は、この国の為、この身を捧げて貴方様のお役に立ちたく思います」「ベル……」「愛すべきは私ではないのです。民を愛さない王は、嫌われますよ」 ラヴェルはそう言いながら、フォルツ少佐へと視線を遣る。 フォルツ少佐は動揺し、あからさまに視線を逸らした。 セルジオから貰った切り札の使いどころは、ここしかない。「何の、話を……している……?」 ファルマも同じように動揺を隠しきれず、言葉が途切れ、震えていた。「愛し合った者同士が、共にいられるわけではないと、ご自身がよくご存じのはずです。陛下」 ファルマが下位貴族であるフォルツ少佐を傍に置くと決めた時、かなり我を貫き通したらしい。 そこに疑問

  • 没落した薔薇は、碧夜の星になる   沈黙の獣

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  • 没落した薔薇は、碧夜の星になる   返答

    「王陛下が脱げと仰せなら、そのように致しましょう。ですが、一つお願いがございます」「何だ? 申してみよ」「バロー伯爵がダフィーニア様を殿下の婚約者に望んでおられるというのは、私の耳にも入っております。ですので、ダフィーニア様にも同じように脱いで頂ければ、と」 ラヴェルはそう言ってバロー伯爵の方へと振り返る。 その時初めて、その後方にジェイドの姿を見た。 夜を映したマデイラの海に似たシックな衣装を身に纏ったジェイドが、ただ射るようにこっちを見ている。 ラヴェルは意思を確かめるように、首につけた夜境石のネックレスに触れた。「なっ……何をバカな事をっ! 私の娘は穢れてなどおらぬ!」「得体が知れないのはお互い様でございましょう? 伯爵」「小娘がッ! 何と生意気なッ!」「ご自分の娘に出来ない事を、他人の娘には成せと仰るのですか?」「それはそなたが不義を働いた罪ゆえに申しておる事だ!」「ならば、こちらも証人を出しましょうか? そちらのご令嬢が、どのようにしてその噂を広めたのか」 一瞬、会場が騒然となった。 一歩も引かないラヴェルに、バロー伯爵は「証人……」と顔を引き攣らせる。「なっ、何かの間違いよ! ベル様っ……私はそんなっ……」「ダフィーニア様、恨むなら浅はかなご自分をお恨みになって下さいませ」「ベル様は私が殿下の婚約者候補だから、お邪魔なのねっ? そうでしょう? 私は……」「そんな事は望んでいないのに? ですか?」 ラヴェルはそう畳みかける。 ダフィーニアはそれに言葉を飲んだ。 望んでいないと言えば、王妃になる道は途絶えてしまう。「そもそも、私はダフィーニア・バローを婚約者に望んではいない」 そう言い切った皇太子の言葉に、バロー伯爵は分かりやすく唇を噛んで見せた。「

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     ジェイドは白シャツにサスペンダーと言う軽装で、貴族の外出着とは言えない装いだった。「お加減はいかがですか? ラヴィ様」「あ、あぁ……大分良い」「貸して下さい。私が拭きましょう」「いや……それは……」 下位の貴族とは言え“旦那様”と呼ばれているという事は、デルメール家を継いでいるという事だ。 ヴェルモナ王国の南の辺境であるデルメール領。 小さな領地ではあるが、その昔は港を有した貿易の拠点として栄華を誇った土地でもある。 今は国境を

  • 没落した薔薇は、碧夜の星になる   仄暗い瞳

    「ぐえっ――! げほっ、げほっ――!!!」 ラヴェルは必死に目を開け、直後に海水を激しく吐き出した。  肺が引き裂かれたように痛む。  呼吸の一つ一つが拷問だった。 「ゔっ……」 「ラヴィ様っ! お

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