Partager

第24話

Auteur: ころころおなか
哲平に指示を出し終えた琉生は、スタジオでかつて美優と凪の間に起きた諍いを思い出し、そのままスタジオへと向かった。

スタジオの扉を開けると、琉生は当時、美優が凪を妬んでいたと証言した数人の受講生を問い詰めた。

そして尋問の末、ついに真相を知った。今回の一件も、やはり凪が美優を陥れたのだった。

「なぜあの時、本当のことを言わなかった!」琉生は抑えきれない怒りをぶつけた。

「ご存知の通り、諏訪さんはいつも奥さんと武田さんの間で、武田さんを贔屓していました。武田さんに睨まれたくなくて、そう言わざるを得なかったんです。どうかお許しください。もう二度と嘘はつきません」

「全部、武田さんに脅されていたんです!話さなければスタジオから追い出すと。本当に仕方がなかったんです。諏訪さん、今回だけ見逃してください」と言って、受講生たちは次々と凪の悪事を暴露した。

琉生が問い詰めていると、晴人がスタジオから不正に消去されていた防犯カメラのデータを復元し、琉生に差し出した。

画面には、美優が物置に閉じ込められた後、琉生のいない隙を突いて凪が受講生の飼っていた蛇を放り込む姿が映っていた。その光景を目
Continuez à lire ce livre gratuitement
Scanner le code pour télécharger l'application
Chapitre verrouillé

Dernier chapitre

  • 流産した私より教え子を選ぶ夫、さようなら   第26話

    洋子は数か月前にA市へ転勤となり、美優の名義のマンションで暮らしていた。だから、そんなに待たずして、洋子が前方から走ってきたのが見えた。そして、洋子は駆け寄るなり美優を力いっぱい抱きしめた。「美優、やっと帰ってきたね。会いたかったよ!今回はどのくらいいるの?」洋子はスーツケースを受け取ると、興奮気味に聞いた。「少しだけ。1週間くらいかな」美優は洋子の肩に頭を預け、疲れ切った声で答えた。「それなら私が最高のプランを組んであげる。ゆっくりくつろげるようにね」洋子は胸を叩いて自信満々に言った。美優は活き活きとした洋子の姿に思わず笑みがこぼれ、二人はそのまま帰路についた。「琉生さんのことは聞いた?」道中、洋子はルームミラー越しに尋ねた。美優は小さく頷いた。「琉生だけじゃなく、凪が除名されたことも知っているわ。でも、私には関係ないこと。琉生との関係はもう終わったの。いつまでも相手のことにこだわっている暇なんてないもの」それを聞いて、先ほどまで心配そうだった洋子は、ホッと胸をなでおろした。帰宅後、美優は身支度を済ませると、深く眠りに落ちた。再び目を覚ますと、洋子が手料理を作って待っていた。食後、洋子は美優を仕事現場まで車で送った。ところが、バックヤードで準備をしていると、そこに琉生の姿があった。しばらく会わないうちに、琉生はひどく痩せ細り、年齢よりも老けて見えた。黒々としていた髪には白いものが混じっているのだった。こうして、二人は見つめ合ったまま、どちらからも言葉を紡ぐことはなかった。そして、スタッフから催促の声がかかり、美優は琉生に会釈をしてその場を去った。一方、琉生はテイクアウトの袋を手にしたまま、そこに立ち尽くしていた。乾いた目を瞬かせながら、彼は美優が遠ざかっていく姿を必死に追いかけた。自分と別れた後の美優は、信じられないほど美しくなっていた。5年前よりも表情は大人びて、落ち着いた雰囲気がある。だから、離れたほうが、美優は幸せになれるのかもしれない。そう思いながら、琉生は隅っこに身を隠し、ステージでメディアと交流する美優の姿を静かに見守っていた。昔は美優が、こうして舞台の下から自分を見つめていたものだ。まさに立場が逆転したということか。自信に満ちた美優の顔を見ながら、琉生はかつての日

  • 流産した私より教え子を選ぶ夫、さようなら   第25話

    そして琉生が出てくると、別人のようになっていた。美優にまつわる品々を丁寧に片付け、一番目立つ場所に飾ったのだ。寝室にあった二人のウェディングフォトもリビングへと移し、壁一面を飾っていた数々のトロフィーと置き換えた。最後に、琉生は壁に飾ってあったトロフィーを一つずつ箱に入れ、その後、物置へと放り込んだ。自分の気持ちに気づくのが遅すぎた。失って初めて、全てを悟ったのだ。自分にとって本当に価値があるものはトロフィーではなく、美優との家庭なのだ。しかし、気づいたときにはもう遅い。美優はもう去ってしまった。すべてを終えると、琉生はかつて美優のために用意した999万の言葉が書き留められたメモを、結婚式の動画とともにUSBに入れた。それから、彼はプロジェクターのある部屋でそのデータを開き、ソファにもたれかかっては、結婚した当時の姿を何度も繰り返し見た。再び美優が屈託なく微笑み、自分を見つめる時の潤んだ瞳を見るたびに、彼の胸が締め付けられるようだった。そして誓いを立てる美優の姿を見て、琉生の目尻が赤く染まり、悔恨の涙が零れ落ちた。その豆のような涙のしずくが手の上へ滴り落ち、そして胸の奥へと染みこんでいくのだった。「誓います。順境であれ逆境であれ、貧しきときも富めるときも、いつまでも添い遂げます……」幸福に満ちた、期待あふれる美優の声が、琉生の耳に繰り返し響いた。「誓います。順境であれ逆境であれ。貧しきときも富めるときも、いつまでも添い遂げます……」その言葉が、今となっては鋭いナイフのように琉生の心に刺さった。荒ぶる心は、痛みを抱えながらも思い出の中に逃げ込み、彼はひたすら美優が去った現実を認めないようにした。そうやって思い出という名のシェルターの中に隠れ、沈み込んでいった。その日以来、琉生はその部屋にこもり、昼夜を問わず酒をあおるようになった。数日後、アルコール中毒で集中治療室へと運ばれ、2週間近く意識が戻らなかった。退院後、やつれきった琉生の姿を見て、哲平は息を飲んだ。白いシャツに覆われた骨張った体は、かつての凛とした姿が全く見当たらないのだ。まるで骸骨のようだ。それはまさに生死をさまよってきたからこそ、そんな変わりようを見せたのだろう。「旦那様、体が大事です。どうか、お酒を控えられてください

  • 流産した私より教え子を選ぶ夫、さようなら   第24話

    哲平に指示を出し終えた琉生は、スタジオでかつて美優と凪の間に起きた諍いを思い出し、そのままスタジオへと向かった。スタジオの扉を開けると、琉生は当時、美優が凪を妬んでいたと証言した数人の受講生を問い詰めた。そして尋問の末、ついに真相を知った。今回の一件も、やはり凪が美優を陥れたのだった。「なぜあの時、本当のことを言わなかった!」琉生は抑えきれない怒りをぶつけた。「ご存知の通り、諏訪さんはいつも奥さんと武田さんの間で、武田さんを贔屓していました。武田さんに睨まれたくなくて、そう言わざるを得なかったんです。どうかお許しください。もう二度と嘘はつきません」「全部、武田さんに脅されていたんです!話さなければスタジオから追い出すと。本当に仕方がなかったんです。諏訪さん、今回だけ見逃してください」と言って、受講生たちは次々と凪の悪事を暴露した。琉生が問い詰めていると、晴人がスタジオから不正に消去されていた防犯カメラのデータを復元し、琉生に差し出した。画面には、美優が物置に閉じ込められた後、琉生のいない隙を突いて凪が受講生の飼っていた蛇を放り込む姿が映っていた。その光景を目にした琉生は目を大きく見開き、モニタから聞こえる「せいぜい楽しんでね、この蛇は毒がないから」という凪の冷酷な言葉に愕然とした。そして彼は背筋に冷たいものが走るのを感じた。美優は小さい頃から蛇が苦手なのに、凪はそんなことまでしていたのか?あの時、自分は何をしていたんだ?美優がただ自分に構ってほしくて倒れたフリをしていると思い込み、病院にも送らず、適当なタクシーに乗せて家に返しただけだった。そこまで考え、琉生は苦しみに耐えかねてデスクの上のグラスを払いのけた。「凪はどこにいる?」彼は喉を締め付けるような声で問い詰めた。「もう数日もスタジオに来ていません」勤怠管理をしていた人が震えながら答えた。琉生はすぐさま凪に電話をかけたが、電源は切れていた。胸騒ぎを覚えながらも、彼は苛立ちに任せて受講生たちを追い出した。「探せ。何としてでも居場所を突き止めろ」琉生はタバコを取り出して火を点け、冷酷な口調で隣の晴人に命じた。そして晴人の手により、凪の隠れ場所はすぐに見つかった。凪はZ国から戻ると荷物をまとめ、琉生のスタジオから高価な備品を持ち出し、そのまま人里離れた

  • 流産した私より教え子を選ぶ夫、さようなら   第23話

    美優が初めて花を贈ってくれた時、花の中にそっと手紙を忍ばせていた。自分はそれを快く受け取った。次に、美優が映画に誘ってきた時、わざわざカップル席を予約したのに、それを恥ずかしがって内緒にしようとした。それも本当は気がついていたのだが、彼はあえて黙っていた。そして3度目のデートでは、美優がマフラーを編んで贈ってきた。「両親に編むために練習用に編んだの」と言いつつ、補習をしてもらったお礼だと渡してくれた。それは自分だけのために編まれたものだった。……こうして、これまでの出来事が、次から次へと琉生の脳裏に浮かぶ。美優の言った通りだ。自分には彼女を許してもらう資格も、やり直しを願う資格もない。あの生まれてこなかった子供たちが、二人にとって永遠に埋まらない溝となるだろう。今の自分には、死を選ぶ資格さえない。ただ生きて、残りの人生で罪を償うしかない。そう思って、琉生はもう美優の電話にかけたり、声優事務所へ待ち伏せに行ったりするのをやめ、病院で療養に専念することにした。1週間後、美優が参加したプロジェクトが賞を獲得したと聞き、琉生はあれこれ悩み抜いた末に、彼女のお気に入りの洋菓子店でケーキを注文したあと、空港へ向かった。「諏訪さん、どうしてご本人に直接渡さないのですか?」送迎の晴人が尋ねる。琉生は街を過ぎ去る景色を見て、首を振った。「自分が行けば美優は絶対に受け取らないが、これなら受け取ってくれるかもしれない」それを聞いて、晴人はルームミラーで疲弊した琉生を見やり、何も言わずにアクセルを踏み込んだ。一方、打ち上げで飲み終えた美優は、佐野雅也(さの まさや)に連れられて声優界の重鎮たちと挨拶を交わしていた。「伊藤さん、いつも期待を超えてくれるんですね。私の最新作のヒロインがこれでようやく見つかりそうですよ」と、国際的な映画監督が嬉しそうにグラスを掲げた。その直後、監督が何かに気づいたようで表情を曇らせた。美優は瞬時にその訳を察し、笑顔で気まずい場を和らげた。そして、美優の返事を待たずに相手は問いかけてきた。「実は本作にはI国語ができることが必要なんですが、伊藤さんはできますか?」そういわれ美優は少し驚いたが、頷いて答えた。「学んだことがあります。I国語だけでなく、L国語やS国語も日常会話程度なら大丈夫です」

  • 流産した私より教え子を選ぶ夫、さようなら   第22話

    美優が病院からの電話を受けたのは、仕事が片付いた直後だった。今のプロジェクトが終われば、仕事も本格的に軌道に乗るはずだ。「こちら救急センターです。諏訪さんが大出血で搬送されました。一刻も早く病院へ来てください」最初はまた琉生が仕組んだ芝居かと思い、美優はすぐに断った。「どちら様でしょうか?人違いです」しかし相手は食い下がった。「間違いありません。本人から直接伺った番号で、緊急連絡先に指定されています。かなり危険な状態ですので、すぐにお願いします」美優は一瞬ためらったが、結局は羽織っていたコートを掴んで外へ出た。病院に到着すると、そこには血の気の引いた顔でベッドに横たわる琉生の姿があった。それから医師が美優に診療費の請求書を差し出した。「出血が激しいので、安静が必要です」美優は無言で受け取り、そのまま支払いを済ませた。戻った時、琉生はすでに意識を取り戻していた。「美優……来てくれたのか」そのかすれた声を聞き、美優はコップへ水を注いで彼に手渡した。「治療費は払ったわ」そう言いながら彼女はもうすぐ終わりそうになる点滴に目をやると、続けて言った。「これから私の番号を緊急連絡先にするのはもうやめて。私たちにはもう、何の関係もないんだから」琉生が何か言い訳しようとするのを遮り、美優は言い放った。「そんなことで時間を取られるのも、自分の予定を狂わされるのも迷惑なの」そう言って、彼女は冷めた目差しでやつれ果てた琉生の顔を見下ろした。二人の視線がぶつかると、彼女の瞳の中に自分への冷たさと他人行儀さに気づき、琉生の心は締め付けられたかのようだ。何かを言おうと喉が動くが、言葉は出てこない。美優は必死になって自分を突き放し、何ひとつ繋がりのない状態へ追い込もうとしている。自分を避けようとする美優の冷たい眼差しが、まるで刃物のように突き刺さり、琉生の心はズタボロになっていた。「すまない、本当に悪いと思っている。許してくれないか」と琉生は嗚咽した。だが、美優は何も答えず、立ち上がった。ドアノブに手をかけた時、背後から琉生の声が響いた。「どうすれば許してくれる?君が言えば、この命を捧げてもかまわないんだ」それを聞いて、美優が振り返ると、琉生が窓枠に腰かけていた。そして彼の手の甲からは出血が止まらず、その滴が花

  • 流産した私より教え子を選ぶ夫、さようなら   第21話

    だけど、警備員は嫌気がさしたかのように言った。「それは住民の個人情報ですから、お教えできません」琉生はそれを聞き、さらに顔を曇らせた。一方、警備員は業務の邪魔をするなと琉生を追い払い、そこから十数メートル先まで下がらせた。仕方なく、琉生は警備員を睨みつけながら、しぶしぶと後退した。そして耳元では、警備員の皮肉げな声が聞こえた。「自業自得というやつですね」すると、琉生は拳を強く握りしめ、警備員を憎々しげに一瞥した。それから間もなく、コーヒーを手に持った凪がふらりと現れた。「琉生さん、ごめんなさい。いつも優しくしてくれるのに、私、身の程知らずな思いを抱いてしまって……考えを改めた。これからは琉生さんのそばで、練習にだけ専念するから。もう一線を越えたりしないよ」凪は健気に罪を悔いるような目つきで訴えた。琉生の心は、一瞬にして揺らいだ。「分かってくれればいいんだ。君に対して、他に特別な感情なんて持っていないからな」そう言って、琉生は自然と差し出されたコーヒーを受け取り、一口飲んだ。するとふらりと意識が遠のき、凪の純真な顔にどこか不気味な笑みが浮かんでいるかのように見えた。そして、異変を感じた時には、すでに視界がかすんでいた。琉生は襟を緩めながら、うつろな目で凪を愛おしそうに見つめた。そして、凪に導かれるまま、琉生は言われるがままにホテルへと付いて行った。部屋に入るなり、琉生は目の前の「美優」を見てかすれた声で呟いた。「美優、許してくれるかい?本当に悪かった。僕たちには、きっとまた子供ができるから」その様子を見ていた「美優」は驚き、ニヤリと笑うと近づいてきて言った。「ええ、いいわよ。許してあげる。だから今すぐ、私を抱いてくれる?」一方、琉生の目は「美優」の姿を追っていたが、顔が目の前に迫った瞬間、頭の重さにふらついて一歩後退した。凪が渡したコーヒーには、何かが入っていたんだ。意識が揺らぐ中、琉生は目の前の凪に憤怒した。「こんな薬を盛ってくるなんて……君をもう教え子として認めないから!」しかし、凪は鼻で笑った。「それがどうしたの?あなたが言うことを聞いてくれないから、こうするしかなかったのよ。全部、あなたのせいだわ」そう言って彼女は琉生をベッドに放り投げた。片や琉生は、体は思うように動かず、凪が迫り

  • 流産した私より教え子を選ぶ夫、さようなら   第8話

    琉生は凪の元へ駆け寄ると、どこか怪我をしていないかと心配そうに声をかけた。一方凪が床の灰を指さして、声を詰まらせながら訴えた。「美優さんがまた私のことをバカにして……育ちが悪いとか言ってきたの。でも、いくら何でも、楽譜を燃やすなんてひどすぎるわ。これは何ヶ月もかけて書き上げた大切な作品なのよ!」涙で濡れた顔でそう語る凪の白い頬には、赤く晴れ上がった平手打ちの跡があった。それを見た琉生の胸は痛んだ。「彼らみんな見てたわ。彼女が自分で楽譜を燃やして。私は何もしていない」美優は周囲を取り囲む人々を指さした。この人たちの立ち位置なら、自分がやっていないことくらいハッキリと見えたはずだから。

  • 流産した私より教え子を選ぶ夫、さようなら   第7話

    一方、美優は病室に戻ると、深呼吸をして気持ちを整えた。薬箱から錠剤を取り出し、水で飲み込んだ。ちょうどその時、転職先からメールが届いた。来週の月曜日からZ国へ派遣されることが正式に決まったらしい。返信を済ませてから美優はまた洋子に連絡したが、一向に既読がつかなかった。美優も特に急ぎではなかったから、気に留めるのをやめ、看護師に膝のガーゼを替えてもらってから食堂へ向かった。病院の食事は栄養バランスが良く、味付けもさっぱりしていて、久しぶりに食欲が湧いてきた。どんぶりいっぱいの肉を食べ終えたところで、近くに座っていた看護師たちの話し声が聞こえてきた。「諏訪さんが武田さんにべ

  • 流産した私より教え子を選ぶ夫、さようなら   第6話

    美優はもう一度琉生の手に目を落とし、短く切り捨てた。「さっきよ」「何か用?さっき何か見たのか?」美優の冷ややかな視線に気づいた琉生は、無意識に手を隠しながら尋ねた。「何を見たって言いたいの?」美優は言い返した。言葉に詰まった琉生は、眉間にしわを寄せた。「なんでもない。君は妊娠中だろう?凪のケアを代わりにしてあげて、罪滅ぼしをしているだけだ。あまり深く考えるな」妊娠中という言葉を耳にして、美優の胸に刺さった。琉生の言葉を反芻する。妊娠中、だと?続いて美優は鼻で笑った。自分が送った健診結果のメッセージを見ていないのだろうか?今は凪をかばうために、子供のことまで言い訳に使うなんて

  • 流産した私より教え子を選ぶ夫、さようなら   第5話

    それとともに、美優はテーブルの角に腰を強く打ち付けられ、あまりの鋭い痛みに、冷や汗が噴き出た。顔面蒼白になった美優を見て琉生は一瞬たじろいだが、すぐに凪の泣き声に気を取られた。凪が手のひらから血を流しているのを見ると、さっき抱いたはずの後悔などどこへやら、消えてなくなっていた。琉生は激怒し、怒鳴りつけた。「美優!いつになったら分別のつく大人になるんだ!ピアニストの命である手を傷つけるなんて、君は嫉妬で人の未来を奪おうとするほど、心が鬼なのか!凪はこれまで見てきた中で最も才能がある子なんだ。未来ある彼女の人生を、君の薄汚い嫉妬心で台無しにする気なのか?これじゃ、彼女の命を絶とうとする

Plus de chapitres
Découvrez et lisez de bons romans gratuitement
Accédez gratuitement à un grand nombre de bons romans sur GoodNovel. Téléchargez les livres que vous aimez et lisez où et quand vous voulez.
Lisez des livres gratuitement sur l'APP
Scanner le code pour lire sur l'application
DMCA.com Protection Status