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第691話

Author: 清水雪代
珠里の頬はますます熱を帯びた。シートベルトをぎゅっと握りしめた。

「な、何でもないから、運転に集中して。私のことは気にしないでちょうだい」

勝也は、珠里の体が決して丈夫ではないことをよく知っている。少し気温が下がっただけで、途端に体調を崩しやすいのだ。

彼は迷うことなくハンドルを切り直した。「まず、病院で診てもらいましょう」

珠里は慌てて身を乗り出し、勝也の手首を掴んで止めた。「本当に大丈夫よ!どこも悪くないんだから」

「駄目です。この前だって、バスルームから出た後にベランダで涼んで風邪を引いたくせに、病院へ行かなかったせいで、四十度の熱を出したじゃないですか。まさか覚えていないんですか」

図星を突かれ、珠里はむっとして勝也を睨みつけた。

あれは、そもそも勝也のせいだった。

あの日は二人で些細な口論になり、頭に来た珠里が頭を冷やそうとベランダに出て夜風に当たっていた結果、あっけなく風邪を引いてしまったのだ。

病院の駐車場に着くなり、勝也は自身のシートベルトを外して降車し、助手座のドアを開けた。そのまま身をかがめて珠里のシートベルトを外すと、抵抗する間も与えず、ひょいと
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