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はじめての友達

작가: いのか
last update 최신 업데이트: 2025-09-26 17:14:26

大塚舞(おおつかまい)は自分が変わっていると自覚している。だから自分が友達付き合いが非常にヘタなことも自覚していた。

  明るく大雑把で見た目はまぁまぁな美人、くるもの拒まずの気質から人は多く寄ってきた。

  しかし集団で同じでないと駄目、ノーも言えない女子のグループ行動が大嫌いだった。

  高校2年生に進級するとクラス替えがおこなわれた。

  この機会に1年時の縁は綺麗にリセットして新たな友達を探すことにしていたのだが休み時間の教室は自分のようなタイプの女子に数人の女子が集まった光景ばかり、現在自分の周りにも呼んでもいないのに3人程が集まって話をはじめていた。

  彼女達の話題は限定で復活したらしい男性アイドルの話で舞はまったく興味がなかった。好きなメイクや服の話も女優やアイドルの真似ばかりの話でイライラした。

 素材がまったく違うのに流行でしか服もメイクも選べないなんて!

 --つまらない!誰か私と友達なれる子いないの⁈

  キョロキョロと教室を見回す。

  ピタリと左後方の奥で目を止めた。

  --彼女は……

  窓際最後列の席に座りのんびりと外を眺めている姿があった。

  ふわっとウェーブのかかったダークブラウンの髪が肩にかかる毛先で跳ねている。かおの輪郭は丸みがありバランスのよい丸い目が可愛らしい。

  --誰だっけ?

  クラス替えの後に初見の人もいるからと全員の自己紹介を1時間かけておこなわれたのだが、舞の記憶に彼女はまったく残っていなかった。

  「舞、どうしたの?」

  舞の様子に気づいた1人がたずねた。

  「あの隅の子、誰だっけ?」

  3人は舞と同じ方向に顔を向ける。

  「あぁ、渡辺さん?渡辺春陽さん」

  「知ってるの?」

  1人が名前を教えてくれた。

  「小学校も中学校も一緒だったけどクラスが同じになったのは今回がはじめてだよ。昔からいつも1人でいるイメージしかないけど」

  「ふーん、そうなんだ……」

  彼女の雰囲気は柔らかそうで気持ち良さそうだけど。

  昔からいつも1人だとは。付き合い辛い子なのかな?

  自分で試してみればいいか。大事なのは自分が友達でいられる子を見つけることだから、そう考えて舞は次の休み時間を待つことにした。

  しかし運悪いのか次の休み時間は授業準備の手伝いを言われていたらしい春陽が早々に消え、両手に資料を抱えて戻ってきたのはチャイムの鳴る直前だった。

  --お昼に声かけよう!

  と考えていた舞の周りを「やっとお昼だね!」と先程の3人がいなくなった近くの生徒の机を移動して座ってしまった。

  「……食べようか」ニコリと舞は笑った。

  --5限目は音楽だから移動の時に声をかけよう!

  --6限目前に……!

  と考えても結局声をかけるタイミングがなかった。

  今日でなくともまだまだ時間はあるし……、放課後になってしまい明日以降に気持ちをもっていっていた舞がトイレから出ると「あ」っと足をとめた。

  「渡辺さん」

  教室に戻ろうと歩いてきた春陽がいた。

  突然声をかけられて驚いたのは春陽だった。

  「えっと……、大塚さん?」

  背筋がピンと伸びてサラサラな長いダークブラウンの髪がその腰まで流れている。前髪は後ろに流され形の良い額のラインがあらわにされている、そこにはととのえられた眉が並んでいる。二重で少し上り目なアーモンド型の目はシャープで黒い瞳がとても綺麗で印象的だ。鼻も口元もスッとしていて典型的な美人だ。

  そんな彼女から自分が呼びとめられるとは思ってもいない出来事だった。

  同じクラスだがまったく接点が無かった。

  「まだ残ってたんだ?」

  トイレから足早に春陽の横へ移動してきた。

  「あ、日誌を職員室へもって行ったから」

  そういえば話しかけようとした休み時間に授業の準備でいなかったコトがあったな、と舞は思い出し「そうか」と言った。

  「じゃあ、一緒に行こう」

  笑顔で舞が教室を指差した。

  たまたまみかけて呼びとめてしまったから言ってくれているんだよな、美人なのに気さくそうな人だ。春陽の舞へのファーストインスピレーションはそんな感じだった。

  教室に戻る短い間に会話があったわけではなかった。

  自分の机に戻りそれぞれ帰りの支度をはじめ、さあ帰ろうと春陽が鞄を持つと

  「じゃあ、帰ろうか!」

  舞が春陽の支度が終わるのをまっていてそう言った。

  「え?」

  驚きを声にもだしてしまった。

  「大塚さん、お友達は……?」

  「え?……あー、あの子達はみんな部活に入っているから帰りは大体1人なの」

  ニッコリと。

  「でも今日は渡辺さんと帰れるから嬉しいよ」

  美人に突然誘われて春陽の顔が赤くなった。

  --もしかしたら一緒に帰る為にさっきは声をかけてくれたの?まさかね。

 --あ、でも!

 と舞は思いついた。

  「誘ったのはいいけど。渡辺さんの家ってどこ?」

  舞は真顔できいた。

  「え?」

  「……え?」

  しばし沈黙が続くとプッと舞が吹き出した。

  ハハハっと悪気無く笑う舞の姿に春陽もつられてプッと吹き出してしまった。

 笑いが落ち着くとお互いの家を確認した。

 春陽の家は花塚公園から北に向かう、舞の家は花塚公園から東南に向かうと知った。

  2人共にまずは帰る方向が同じだとわかり学校を後にして国道の歩道に出る。

  「いつもは面倒だから電車で花塚まで行ってしまうけど今日は渡辺さんと一緒だからゆっくり歩いて行くの。花塚の公園までは一緒にいけるみたいだからね!」

  なぜ舞が自分なんかを誘ってくれるのか不思議で、気恥ずかしいけれど横に並ぶ彼女がけっして嫌ではないと感じる。

  並んで国道を歩いて行った。

  たあいもない話を舞が9割残りが春陽という感じで続けているとあっという間に花塚の公園入口まで着いてしまった。

  こんなにも軽い気持ちで誰かと横に並べたのが嬉しくて春陽は舞と別れるのがなごりおしかった。

  舞はバスの時刻表で時間を確認していた。

  「10分位待つみたい、渡辺さんはここからは?」

  「私は公園の中通ってしばらく歩いて行けばいいから」

  「うーん、私も家まで歩いては行けるけど……」

  春陽ともう少し一緒にいたいと舞も思った。

  「バスくるまで一緒にいてくれる?」

  今は16時を少し回ったばかり、10分ほど一緒にいてから帰宅し着替えてバイトへ行ってもまだ間に合うはずだ。

  「大丈夫だよ」

  2人は歩道の端へ移動した。

  「予定とか大丈夫だった?」

  大丈夫だとは言ってくれたが一度時計を確認した春陽に、いきなり一緒に帰宅させまた再び待たせる事に付き合わせて本当に大丈夫だったのか心配になった。

  「バイトまでまだ余裕あるから」

  「え〜、渡辺さんバイトしてるの?」

  商業高校は普通教科以外にも情報処理、簿記、外国語など幅広い教科がある。宿題も検定もあり以外にも勉学に時間をとられてしまう。わざわざバイトをしている生徒は少ないだろう。

  「うん、家の近くのコンビニで」

  --あれ?公園抜けた先を行ったコンビニ?

  「え、コンビニ?まさか店長は大塚定男(おおつかさだお)?」

  「店長の下の名前は知らないけど……、大塚は合ってるよ?奥さんの方は静代(しずよ)さんていうの」

  言うと、舞が春陽の手をギュッと握った。

  「そこ、私の叔父さんが経営しているコンビニなの!」

  世間は意外に狭いものだとは言われているが。

  「私達、やっぱり縁があるのかも!」

  舞は嬉しそうに握った手をブンブンと振った。

  「あ、そうだ」

  振っていた手をいきなり止め離すと肩からかけていた鞄の中をあさり手帳とペンを取り出す。そこにササッと何かを書きこみその部分を切り取った。

  「私のスマホの番号、あとで発信してね登録するから!」

  それを春陽に渡すと、ちょうどバスが止まった。

  「じゃあ、また明日!」

  舞は数人と一緒にバスへ乗り込むと窓越しに手を振っていた。

  気恥ずかしさもあり春陽は小さく手を振った。

  バイトが終わり家に着くと帰りをまっていてくれたゆり子は「じゃあ、おやすみ」と自室へと戻っていった。春陽はシャワーを浴び香織を待つためにリビングのソファへ腰をおろした。

  バッグの中でピカ、ピカ、とスマホが光っているのに気づき春陽はスマホをとりだし画面をあけた。

  ラインをひらくと新しい友達からのトークが入っていた。

  友達の項目画面に香織、ゆり子、店長しかなかったのだが。

  「あ……大塚さん」

  MAI.chanのネームが加わっていた。

  「今日は楽しかったよ!明日また学校でね 明日からは舞って呼んで!私も春陽って呼んでいい?」という文に続き可愛い猫のスタンプで「?」「バイバイ」「おやすみ」の3つが送られていた。

  春陽は口元を緩めると「うん」「おやすみ」と返信した。使うこともなかったスタンプはもっていなかったのでしかたなく顔文字の笑顔を追加した。

  スマホ画面をみながら「舞ちゃん」と呼んでみる。

  そのまま「舞」とは恐れ多くて、恥ずかしくて、まだ呼べそうになかった。

  「舞ちゃんて誰?」

  背後からの声にビクッとすると香織がいつのまにかリビングに入ってきていた。

  「お母さん、驚かせないで」

  「だって、顔をニヤニヤさせてスマホみてるから邪魔しちゃ悪いと思って」

  「ニヤニヤ……」春陽は自分の顔を触りながら「そんなにしてた?」と赤らめてきいた。

  「してた」

  香織は嬉しそうにこたえる。

  春陽が自然に笑顔をつくることが少ないことは香織もわかっていた。それが珍しくもニコニコ、ニコニコとスマホ画面をみながら名前まで口にだすなんて、母としては嬉しいに決まっている。

  「で、舞ちゃんて誰?」

  「友達……」

  恥ずかしそうに話す春陽に「そう」とだけ香織は返した。

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