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【第15話】連れ去り、連れ添い

last update Date de publication: 2025-11-16 22:58:56

意識が浮上したとき、琉苑はまず、自分の呼吸が異様に静かであることに気づいた。胸の上下は確かにあるのに、その動きが自分のものではないように感じられる。

柔らかな天蓋が広がり、仄白い光が降りてくる。光源は見えない。

寝具は肌を撫でるたびに溶けていくような質感で、ふと身体を起こすと、重いような軽いような、地に足がついているのかどうか曖昧な浮遊感があった。

何もかもが、人の世界では味わない代物。

──ここは、どこだ。

問いは胸に浮かんだが、声にはならなかった。

喉がまだ、自分のための働き方を思い出せていないようだった。

しばらく呼吸を整えてから、琉苑は寝台から足を下ろした。

床に触れた瞬間、重力が揺らいだ。確かに立っているのに、地面に沈みもせず、浮きもせず、この空間そのものが「歩く」という行為の必然性を失わせている。

それでも扉らしき形のない境界に触れると、そこは薄膜のように割れ、静かに外へと繋がった。

外廊は……空に浮いていた。

正確には、床は存在するのに、その周囲の景色が、上と下の区別を拒むように流動している。壁に沿って水が逆さに流れ、しかし落ちない。光の粒がゆらぎ、数歩歩くと色が変わる
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