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第5話

Author: 心閲
伊織は内心で驚いたが、すぐに平静を取り戻した。「ああ、数日後に公演があるの。舞踊団で合宿練習に入るから」

彰紀はうなずき、伊織が言いたいのはそれだけかと思った。

再び歩き出そうとしたその時、背後から伊織に呼び止められた。

「彰紀……私が踊るのは『錦瑟』なの。公演、見に来てくれない?」

全く同じ言葉を、伊織は何年も前に彰紀にかけたことがあった。

あの頃、二人は熱い恋のさなかだった。だから、伊織が外で踊ることを好まなかった彰紀も、優しくうなずいたものだ。

「うん、伊織の初舞台だろ?必ず行くよ」

しかし今は、昔とは状況が違う。

彰紀はしばらく考え、振り返ると、伊織の瞳に浮かぶ切実な願いを見た。結局、彼はうなずいた。

「特に用事がなければ行くよ」

そう言い終えると、彼は一言も残さず、きっぱりとその場を去った。

その夜、伊織の元には涼子から、またしても曖昧な写真が何枚も送られてきた。

彼女はそれらを見て、ただ無表情に笑った。心はすでに何の波紋も立たなくなっていた。

この結婚はとっくにぼろぼろに傷だらけ。彼女にできるのは、せめてこの感情にきれいな終止符を打つことだけ。ただそれだけだった。

伊織は荷物をすべてまとめ、その夜のうちに舞踊団の寮に移った。そしてすぐに練習に没頭した。

およそ二週間近く、伊織は食事制限をしながら稽古に打ち込み、ダンスシューズを二足も駄目にした。

公演当日、彼女は早くに起きてメイクを済ませ、振り付けを復習した。そして最後に、勇気を振り絞って彰紀にメッセージを送った。

【今日……来てくれるよね?】

彰紀の返事はかなり遅れて届き、たった一言だった。

【ああ】

伊織は心の底から微笑んだ。手元には積み上げられた日記帳と一枚のカード。

それは彼女が十数年もの間、彰紀を想い続けてきた記録の全てだった。この舞を踊り終えたら、それを彼に渡し、そして去ろう。

かつて彼女がこの舞を踊り終えた時、彼は彼女に夢にまで見た結婚を与えてくれたのように。

今度は、彼女が十数年にわたる想いを返し、彼が本当に好きな人と一緒になれるようにしてあげるのだ。

伊織はカードに書き記した。

【そばにいてくれてありがとう。これからも、どうかお幸せに】

一緒に渡すのは、離婚届だった。

全てを終えると、伊織は前日のリハーサルで決められた位置に、早々と舞台袖で出番を待った。

ところが、関係者が突然彼女に告げに来た。

「申し訳ありません、小森さん。この舞、ご出演いただけなくなったんです」

伊織は一瞬、言葉を失った。そんなはずがない。

ずっと練習にもリハーサルにも参加してきた。どうして急に代わるというのだ。

佑樹が駆け寄り、眉をひそめて伝えた。

「出資者の方から交代を求められたんです」

伊織の胸に嫌な予感が走った。「誰に?」

佑樹が指さした先には、すでに衣装を整え、振り返って伊織に向かって得意げに笑いかけてきた女がいた。まさしく沢田涼子ではないか。

佑樹は身をかがめ、伊織の耳元でささやいた。

「仕方ないんだ。今回の出資元は川井企業……彰紀が涼子さんの出演を指名したんだ」

彰紀……また彼か。

彼が来るというのは、彼女の舞を見るためではなかった。

涼子を見るためだったのだ。

伊織は口元をわずかにゆがめたが、心にはもう何の動揺もなかった。

とっくに気づくべきだったじゃないか?

彼は彼女が踊るのが好きじゃなかった。どうしてわざわざ見に来るだろう。

彼が気にかけているのは、いつだって涼子だけなのだ。

スタッフが舞台を片付け始めた。佑樹が慰めようとしたが、伊織の表情は驚くほど平然としていた。彼女はとても静かに、こう尋ねた。

「先輩……今夜、ここを離れてもいいの?」

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