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第5話

Auteur: 青空
オークションは山中の別荘で開催されていた。

絵里は片隅に座り、和也と沙耶、そして蓮が並んで座る姿をただ見つめていた。まるで彼らこそが本当の家族であるかのように。

絵里はオークションに全く興味がなかった。

ただ気乗りしない様子で座り、耳に入ってくる会話をぼんやりと聞いていた。

「パパ、オークションつまんない。もうここにいたくないよ」

「蓮、いい子にしてて。お利口にしてたら、お姉さんがパパにご褒美をもらえるようにお願いしてあげるから」

「やだやだ、今すぐお外で遊びたいの!」

和也は甘やかすような口調で言った。

「ママに連れて行ってもらうか?」

蓮は唇を尖らせた。

「それなら行かない方がマシ。ママは何して遊ぼうとしてもダメって言うもん。ママと一緒なんて絶対やだ!」

「蓮!」

和也が低い声で叱りつけた。

蓮は不満そうに顔を背ける。

沙耶は彼の頭を撫で、身を屈めてその耳元に顔を寄せた。

「蓮、私がね……」

二人が何を話したのかは分からない。だが、蓮の顔にぱっと喜びの色が広がり、椅子から飛び降りて絵里の前に駆け寄ると、その手を引っ張った。

「ママ、お外で一緒に遊んで!ねえ、一緒に遊んでよ!」

「絵里、蓮と外に行ってやってくれ」

和也の口調は珍しく穏やかだった。

「今日の出品物は、お前の好みじゃないだろうから」

「あなたが昨日紹介してくれたブレスレットと絵画、なかなか良かったわよ」

子供を私に押し付け、彼は愛人と一緒に過ごす。私は何?ただのベビーシッター?

和也の顔が微かに強張った。絵里がそんなことを言い出すとは予想していなかったのだろう。

だが、他人の前では紳士的に振る舞うのを忘れない。

「じゃあ、お前のために気をつけて見ておくよ」

蓮はもう待ちきれない様子で、絵里の手を力任せに外へと引っ張った。

「あずまやに行って遊ぼう!」

蓮は先を急ぐように走り出す。

絵里は彼が転ばないか心配で、思わず声をかけた。

「ちょっと待って、足元に気をつけて」

あずまやに着くや否や、蓮は絵里の手を振り払い、彼女の注意などどこ吹く風で、一人で石のベンチをよじ登ったり降りたりし始めた。

夜が更けるにつれ、山の霧が濃くなり、絵里は少し肌寒さを感じた。

「蓮、もう十分遊んだでしょ。そろそろ戻りましょうか?」

「ママは本当にうるさいなあ。沙耶さんとは大違い。パパといつ離婚するの?僕は沙耶さんにママになってほしいんだから」

その言葉を聞いた瞬間、絵里の心は完全に冷え切った。

「誰にそんなことを教わったの?文入沙耶?それとも他の誰か?」

「誰にも教わってないよ!ママは沙耶さんに全然敵わないもん。沙耶さんの方が百倍も千倍もいい!僕は沙耶さんが大好きなんだ!」

堂々と言い放つ蓮を見つめながら、絵里の脳裏には幼い頃の彼の姿が浮かんでいた。

あんなに聞き分けの良かった子が。私が悲しんでいる時、小さな手で頬の涙を拭い、「ママ泣かないで、蓮がいるよ、蓮はママが大好き」と舌足らずな声で言ってくれたあの子が。

今の絵里は、全身の力が抜け落ちてしまったようだった。足から力が抜け、あずまやの石のベンチにへたり込む。

氷の針のような風が服をすり抜け、容赦なく肌を刺す。だが、絵里の胸の奥底に広がる絶望の冷たさに比べれば、冬の寒さなど取るに足らないものだった。

ただ可笑しくて、絵里は本当に声を上げて笑い出した。

「言いたいことはそれで終わり?終わったなら、戻りましょう」

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