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第6話

Author: 青空
オークション会場は熱気に包まれていた。

司会者が高らかに宣言する。

「おめでとうございます、藤原和也様!ブルガリのイエローダイヤモンドを見事落札されました!」

周囲の羨望の眼差しを浴びながら、和也はトレイからその指輪を手に取り、沙耶の指にはめた。

会場からどよめきと冷やかしの声が上がる。

「うらやましいな、あの方が藤原の奥様か。藤原様は本当に奥さんを大切にしているんだな!」

「そうね、八億ですって。藤原様は瞬き一つせずに落札されたわ。あのブレスレットだって十億よ。本当に奥様を溺愛していらっしゃるのね」

蓮は絵里の手を振り払い、二人の元へと駆け寄った。三人は身を寄せ合って笑い合い、まるで温かな家族そのものだった。

続いての出品物が披露される。それは和也が紹介していたあの絵画だった。

言うまでもなく、この品も和也の手に渡った。

会場の熱気は再び最高潮に達したが、絵里はその喧騒に頭痛を覚えていた。

彼女は一人、風に当たるためあずまやへ戻り、手すりにもたれて遠くを見つめた。

悟から電話が入った。交渉は難航しているという。相手は常にこちらの出方を窺っており、他にも競合がいる可能性が高いとのことだった。

絵里は、あの日沙耶と和也が現れたことを思い出し、返答した。

「文入か、あるいは藤原グループかもしれないわね」

「藤原グループ?もし藤原なら話は早い。我々も藤原と組めばいいじゃないか」

「その可能性はないわ」

絵里はきっぱりと、少し棘のある口調で言い放った。

電話の向こうで少しの沈黙があった。

「まあそうだな、協業するより我々単独で動いた方が、より多くの利益を得られるからな」

「絵里、一人でこそこそ何をしてるの?和也が私に優しくするのを見て、嫉妬で気分でも悪くなった?」

背後から、沙耶の嘲笑うような声が聞こえた。

絵里はスマホの画面を消し、振り返って彼女を見た。

「何しに来たの?」

沙耶はゆっくりと近づいてくる。彼女は自分のお腹を優しく撫でながら、得意げな笑みを浮かべていた。

「まだわからないの?」

絵里の胸の奥が鋭く痛んだが、表面上は冷ややかな笑みを浮かべた。

「母子ともに健やかでありますようにって、お祝いの言葉でも欲しいわけ?」

絵里は二歩前へ進み出た。

「何をする気?言っておくけど、もし私の子供に何かしたら、和也が黙っていないわよ!」

「何もする気なんてないわ。あなたが私の邪魔になっているだけ」

絵里は彼女と関わり合いたくなかったが、沙耶は突然絵里の腕を掴んだ。

「待って、行かせないわ!」

絵里は驚いてよろけた。

「何をするのよ!離して!」

沙耶の声が急に大きくなる。

「絵里、わざとじゃないの。ただ彼を愛しすぎただけなのよ。もしあなたが気に入らないなら、私、和也の元から身を引くわ!」

絵里は必死にもがき、彼女の手を振り払おうとした。しかし次の瞬間、身体が後ろへと傾いた。

「お前たち、何をしている?」

「沙耶さん!」

天地がひっくり返るような感覚の後、絵里は平らな岩場にどうにか落ち止まったが、突き出た石の角に下腹部を強く打ち付けていた。

引き裂かれるような激痛が走り、絵里は身体を丸めてその痛みに耐えようとした。

目の前は真っ暗で何も見えず、耳元で人々の騒ぐ声だけが響いている。

「絵里?どうしてここに?」

「和也、痛い……」

「藤原さんは奥さんを連れて行ってしまったぞ。ああっ!ここにも人が倒れてる。どうしよう?」

「……一緒に病院へ運ぼう……」

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