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136.再会の願い

last update Last Updated: 2025-11-28 11:03:07

律side

香澄さんが帰った後、凜にすぐさま電話を掛けた。

また、誰かに探すように指示をすれば凜の居場所もすぐに分かるかもしれない。だけどもうこれ以上、凜に失望されたくなかった。もうそんな卑怯な手段は使いたくないと思った。

(虚飾の結婚生活もすべて俺のコンプレックスからくる支配欲だった。あの時の凜の怒りは、当然だ)

何度もコール音が鳴るが、凜は一向に出てくれない。メッセージを送っても既読にさえならない。

(この前の駅での待ち合わせが最後のチャンスだったのか?俺は、そのチャンスを自ら手放ししまったというのか?)

後悔なんて何度したか分からないーーー

凜が怒ったり、泣いたりする顔を見るたびに、嫉妬で素直になれない自分が嫌になったこともあった。そんな自分に嫌気がさして出ていった凜の気持ちも分からなくもない。

(だけど、俺は一度も凜に正面からぶつかっていない。凜にちゃんと向き合ってぶつかるまでは諦めないんだ。俺の想いは遊びでも一時的な物でも何でもない!ただ凛のことが好きでたまらないだけなんだ!)

翌日から、凜に朝と夜に連絡をするようにした。

会うことを強要するような内容や、攻めるような内容、言い訳がましいことは一切打たずに、ただ凜の体を気遣う言葉や、些細な日常を綴った。それは、「凛のいる生活」を思い出させる、素直でシンプルな内容だった。

最初は、ずっと未読のままで、一週間後にやっと既読がつくようになったが次第に既読がつくペースが「三日後」、「翌日」と短くなっていき、その小さな変化に命綱を掴むような思いで励まされていた。

そして一か月が経ったある日、夜メールを送ろうと画面を開くと、朝送ったものの横に小さく既読のマークがついていた。

(凜が見てくれた。当日中に俺のメールを読んでくれた)

それは、初めて卑怯な手段を捨てて、心を開いたことで凜の心が開いたかもしれないという
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