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第12話

Author: 炭酸が抜けたコーラ
オフィスに戻ってからというもの、心愛が誰かに邪魔されることはなかった。

きっと、午前中の瑞樹の一喝が効いたのだろう。

心愛はデスクに突っ伏し、どうすれば貴臣にサインさせられるかと思案していた。

貴臣という男は独占欲が強い。桐生家の名声のためにも、簡単に自分を手放すはずがない。

何かきっかけを掴み、どうしても署名させなければ。

――ドン。

社長室の方角から、何かが床に叩きつけられたような鈍い音が響いた。

オフィスエリアにいる全員が、思わず首をすくめる。また誰かが逆鱗に触れたのだ。

心愛は顔を上げ、固く閉ざされたガラス張りのドアに目をやった。今の貴臣が、眉間に深い皺を刻んでいる光景が、ありありと脳裏に浮かぶ。

あの男、また何でキレてるの。どうせ、葵のことでしょ。

瑞樹の声が、先ほど電話越しに聞こえてきた。葵が病院で情緒不安定になり、食欲がないらしい。そんな些細なことで、貴臣はすでに三人もの部長を怒鳴りつけて追い返したという。

貴臣の忍耐も、優しさも、そのすべてはあの女だけに向けられるものだ。

心愛は伏し目がちになり、きゅっと唇を結ぶと、どうすれば離婚協議書に署名させ
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