屋上の扉を押し開けると、静寂が広がっていた。 悠斗の胸に安堵が染み渡る。チャイムが鳴ってから間もないせいか、人の気配はない。 「よかった……まだ誰もいないみたい」 目の奥に巣食う鈍い頭痛をやり過ごしながら、悠斗は美琴へ微笑みかけた。 「そうですね……良かったです」 美琴の声にほっとした息が混じる。 「……それにしても、二年生からの反応が本当に凄かったね」 悠斗が軽い調子で言うと、美琴は視線を逸らした。 「そ、そんなことは……」 唇を結び、それ以上は言葉が出てこない様子だった。 「きっと今日、周りのみんなに認知されたことで……これから先、たくさんの人が声を掛けてくるかもしれないね」 いつもと違う、少しからかうような口調。その表情には、美琴の反応を楽しむような柔らかな笑みが浮かんでいる。 「か、からかわないでください……」 美琴が頬を膨らませて抗議した。その仕草がどこか幼くて、悠斗の笑みが深くなる。 「あはは。ごめんごめん」 「ところで……」 美琴が言葉を切り、悠斗の横顔をそっと見上げた。 「先輩、副作用の症状の方は今どのような状態でしょうか……? 痛みが増していたりはされていませんか……?」 心配そうな声音。悠斗は一瞬だけ目を細めてから、軽い調子で答えた。 「実はね……もう倒れそうなんだ。視界がぼやけて、足元がふらついてる。息をするたびに胸が重くて、立っているだけで全身が悲鳴を上げてるような感じ」 「ええっ!?」 美琴の顔から、みるみる血の気が引いていく。その反応を見て、悠斗はすぐに穏やかな笑みを浮かべた。 「なんて、冗談だよ。そんなに心配しないで。確かに痛みはあるし、体もしんどいのは事実だけど……それでも、まだ大丈夫だから」 こめかみに手を当て、軽く揉みほぐす。鈍い痛みが、波のように引いては返す。 「良かった……」 美琴はそう呟いてから、すぐに首を横に振った。 「いえ、良くはないですね……。先輩が痛みに耐えていらっしゃるのに、私が安心するなんて……」 安堵と罪悪感の入り混じった瞳が、悠斗を見つめている。 「心配してくれてありがとう」 悠斗は軽く笑った。けれど美琴の真剣な眼差しに触れて、自然と声のトーンが落ちていく。 「ところで……やっぱり、あの話のことかな?」 美琴は小さく
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