「櫻井先輩……!?」 眩い光が暗闇を切り裂いた。 それと同時に飛び込んできたのは、聞き覚えのある声だった。こんな場所で耳にするはずのない響きに、悠斗は目を細めたまま、光の向こうへ視線を向ける。 そこに立っていたのは、夕暮れの桜の下で出会ったあの少女だった。 どこか儚げで、それでいて凛とした空気を纏う後輩――月瀬美琴。 「月瀬さん……!?」 胸の奥で驚きと戸惑いが一度に渦を巻く。こんな場所で彼女と再会するなんて、想像すらしていなかった。 「どうして先輩がこんなところに……? それに、今、すごい音が聞こえましたけど……」 真っ直ぐな視線だった。揺らぎも、怯えもない。 それがかえって、この場の異様さを薄めてしまう気さえして、悠斗は一瞬だけ言葉に詰まった。 ――それはこっちの台詞でもあるんだけど。 喉まで出かかったそれを飲み込み、努めて平静を装う。 「……僕は、ここに入り込んだ友達を探しに来たんだ」 「お友達を……?」 「うん。昨日の夜、面白半分でここに入った連中がいて。その中に親友がいたんだよ。まだ家に帰ってないから……何かあったんじゃないかと思って」 「例の生配信……ですか……?」 悠斗は思わず眉を上げた。 「……知ってるの?」 「いえ、詳しくは知りません。今朝、学校で少し話題になっていたので。ただ、何かの……霊らしきものが映った、と」 美琴は小さく呟き、そっと視線を落とした。 その手に、小さな木彫りの人形が握られているのが見える。ぼろぼろに傷み、塗装も剥げ、犬の足は一本取れてしまっていた。けれど、長い年月を経たものにしかない温かみが、その小さな形にはまだ残っていた。 「それで……月瀬さんは、どうしてここに?」 改めてそう尋ねると、美琴は静かに顔を上げた。その目には、迷いがなかった。 「私は……これを、届けに来たんです」 「その人形を……?」 届ける。その言葉の意味がすぐには掴めなかった。 誰に。どうして。そんな疑問が一度に浮かぶ。けれど、美琴の眼差しはあまりにも真っ直ぐで、冗談ではないのだとすぐに分かった。 「先輩……急に言われても驚くかもしれませんけど……」 美琴は一拍置いて、それから静かに告げた。 「実は、私は霊が見えるんです」 心臓を掴まれたみたいな衝撃が走る。 「え
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